トラックバイアス&血統研究

トラックバイアス(馬場のクセ)と血統を研究

【2019年度新種牡馬 2歳リーディング】 6位~10位をデータで分析

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今回は2019年度新種牡馬2歳リーディングの第二弾である。前回はキズナやエピファネイアなどクラシックを賑わすであろう芝向きの種牡馬が多かったが、第二弾はマジェスティックウォリアーやエスケンデレヤなどダート向きと思われる種牡馬が多くなっている。

今回は第二弾の6位~10位とオマケの11位を紹介する。

 

【目次】

 

 

 

 

 

6位・マジェスティックウォリアー

  • 出走回数:117
  • 勝利数:11
  • 賞金:107,300,000円
  • E・I:0.87

 

表で見るマジェスティックウォリアー産駒の特徴

距離適正、芝

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2019,6,1~12,31

 

距離適正、ダート

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2019,6,1~12,31

 

馬場適性

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2019,6,1~12,31

 

牡牝の違い

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2019,6,1~12,31

 

月別出走数と連対率

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2019,6,1~12,31

 

【解説】

マジェスティックウォリアーは日本で種牡馬デビューする前に米国で種牡馬入りしており、その時の産駒にベストウォーリアやエアアルマスがいる。しかし、今回はそのデータは含まれていない。

距離は、データ上では短距離型と中距離型に分かれる印象だ。ただ、A.P. Indy系の中では短距離に強いパイロよりも、中距離に強いシニスターミニスターに近いのかもしれない。2歳は短距離戦が多いためこの数字になったと思われるので、今後はマイルや中距離向きの産駒が増えてくるだろう。ちなみに、ベストウォーリアやエアアルマスはマイル前後が得意である。

馬場適性は、ダート向きのようだ。芝でも勝ち鞍は挙げているが、それは牝馬の軽量馬や、牝系にサンデーサイレンスの血が入っている馬が多いからだろう。基本的にはダート向きの種牡馬である。ただ、同じA.P. Indy系のパイロやシニスターミニスターよりは芝もこなしそうだ。

牡牝の違いは、今のところ牡馬優勢の傾向である。出走数も倍近く牡馬の方が多く、連対率も高い。ただ、牝馬の方が勝率が高いため今後は牝馬の活躍が増えてくる可能性がある。

月別出走数は、米国血統のためか仕上がりが早い馬が多い印象だ。ただ、ダート戦が増えてくる秋以降も勝ち鞍を伸ばしているため、単純な早熟ではなさそうだ。ベストウォーリアやエアアルマスを見ても古馬になってから成長しているように、ダート戦が増えてくる3歳以降の活躍に期待したい。

血統は、2019年12月末までに中央競馬では11頭が勝ち上がっているが、そのうち10頭が牝系にサンデーサイレンスを内包している。もしかしたらサンデー系とニックスなのかもしれないし、サンデー系は仕上がりが早いため偶々多いだけかもしれない。

他の特徴は、中穴をあけることが多い印象だ。1番人気での勝率は平均くらいだが、2~6番人気くらい、単勝5~20倍くらいで穴をあける場面が目立つ。A.P. Indy系はそういったことが多いので、マジェスティックウォリアー産駒のその傾向通りなのかもしれない。

 

 

7位・カレンブラックヒル

  • 出走回数:103
  • 勝利数:6
  • 賞金:88,493,000円
  • E・I:1.02

 

表で見るカレンブラックヒル産駒の特徴

距離適正、芝

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2019,6,1~12,31

 

距離適正、ダート

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2019,6,1~12,31

 

馬場適性

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2019,6,1~12,31

 

牡牝の違い

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2019,6,1~12,31

 

月別出走数と連対率

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2019,6,1~12,31

 

【解説】

距離は、やはりマイル以下が中心。2019年12月末時点で2000mの出走はなく、芝もダートも勝ち鞍は1600m以下である。牝系次第では父のダイワメジャーと同じく2000m以上も走ると思うが、基本的には短距離向きの種牡馬である。

馬場適性は、出走数は芝の方が多いものの、連対率や勝率、勝利数はダートの方が多い。ハクアイブラック、オヌシナニモノがダートで大勝しているように、もしかしたらダート向きの種牡馬なのかもしれない。ただ、2019年12月末時点で6勝を挙げているが、ダートはすべて牡馬、芝はすべて牝馬となっているため、牡馬と牝馬で違うのかもしれない。

牡牝の違いは、大きな差はない。牡馬の方が出走数自体は多いが、勝率も連対率も大して変わらない。ただ、父のダイワメジャーは牝馬優勢だったので、そのうち牝馬の勝ち鞍が増えてくるかもしれない。

月別出走数は、意外と晩成傾向っぽい印象だ。早い時期に出走した産駒も多いが、初勝利は7月末である。しかしその後は勝ちきれず、勝利数が増えたのは10月になってからだ。ダート向きの種牡馬っぽいので晩成傾向に見えるだけかもしれないが、データ上では晩成型と判断できる。

血統は、今のところ大きな特徴はなさそうだ。大まかにネイティヴダンサー系やロイヤルチャージャー系との相性がいいかな?くらいで、まだこれといった特徴は見つけられない。

他の特徴は、新馬戦が苦手で、叩いて調子を上げる産駒が多い印象だ。新馬戦は勝率がたったの3.3%で、単勝回収率も6%である。使われながらレースを覚えて調子を上げ、3戦目以降くらいで穴をあける場面が目立つ。おそらく、長期の休み明けも苦手なのではないだろうか?

 

 

 

 

 

8位・フェノーメノ

  • 出走回数:117
  • 勝利数:11
  • 賞金:107,300,000
  • E・I:0.87

 

表で見るフェノーメノ産駒の特徴

距離適正、芝

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2019,6,1~12,31

 

距離適正、ダート

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2019,6,1~12,31

 

馬場適性

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2019,6,1~12,31

 

牡牝の違い

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2019,6,1~12,31

 

月別出走数と連対率

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2019,6,1~12,31

 

【解説】

距離は、正直言って分からない。芝もダートも1200mで走る産駒もいるし、1800m以上の中距離で走る産駒もいる。1200mが多いのを見ると母父がDanehill(デインヒル)なのでそれに似たのかもしれないし、中距離で走るのを見るとフェノーメノやその父のステイゴールドに似たのかもしれない。大まかに見ると母父の血統が距離適正に出ている印象なので、距離適正は牝系からだと思うとこのデータも腑に落ちる。

馬場適性は、今のところ芝ダート兼用の印象だ。ダートの方が連対率が高いが、同じステイゴールド系のナカヤマフェスタも最初はダートの勝ち鞍が多かったこともあるため、今後の結果に注意したい。ただ、馬場適性も牝系から遺伝しているようにも思える。

牡牝の違いは、今のところは牝馬優勢の傾向だ。ただ、全体的に見ると牡馬は仕上がりが遅い産駒が多い印象なので、この結果になったのだと思われる。未勝利戦が増える3歳以降は牡馬の勝ち鞍が増えるのではないだろうか?

月別出走数は、晩成傾向だ。6月にいきなり産駒初勝利を挙げたが、2勝目は10月になってから。その後も11月、12月と勝ち鞍があることから、おそらく3歳になってから本格化する産駒が多くなるだろう。

血統は、母父ネイティヴダンサー系との相性がよさそうだ。2019年12月末までに6勝を挙げているが、そのうち4勝が母父ネイティヴダンサー系である。まだデータが少ないので難しいが、もしかしたら仕上がりが早い血統との相性がいいのかもしれない。

全体的に見ると、馬体重が軽い産駒が多い印象だ。まだ重量馬がデビューしていないだけかもしれないが、500kg前後あったフェノーメノとは違い産駒は軽量馬が多い。もしかしたら父のステイゴールドからの隔世遺伝が強いのだろうか?

はっきり言ってフェノーメノ産駒はつかみどころがない印象だ。距離適正もバラバラだし、父と違い軽量馬も多い。もしかしたら牝系の良さを引き出す種牡馬なのかもしれないが、あと2~3年経たないとはっきりとした傾向は見えてこないだろう。

 

 

9位・エスケンデレヤ

  • 出走回数:99
  • 勝利数:2
  • 賞金:51,303,000円
  • E・I:0.51

 

表で見るエスケンデレヤ産駒の特徴

距離適正、芝

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2019,6,1~12,31

 

距離適正、ダート

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2019,6,1~12,31

 

馬場適性

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2019,6,1~12,31

 

牡牝の違い

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2019,6,1~12,31

 

月別出走数と連対率

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2019,6,1~12,31

 

【解説】

距離は、短距離でも走る産駒はいるが基本的にはマイル~中距離が多い。2歳時点でここまでということは、将来的には中距離以上が得意になる可能性がある。エスケンデレヤは日本で供用される前は米国で種付けされていたが、その時の産駒はマイル前後が多い。しかし、日本ではその素軽さは感じられず、もう少し長い距離が得意な産駒が多くなりそうだ。

馬場適性は、やはりダート向きである。2019年12月末時点で2勝しているがすべてダートでのもの。ただ、ダートしか走らないわけではなく、芝でも2,3着があるように芝もそこそこ走る。基本的にはダート向きではあるが、配合次第では芝でも走る産駒が出てくるだろう。

牡牝の違いは、圧倒的に牡馬優勢である。ここまで牡馬に偏るのは珍しいためそのうち牝馬も多くなってくるだろうが、今のところは牡馬しか狙えない。

月別出走数はサンプルが少ないため分からない。おそらく早熟ではないと思うが……。

正直、期待はずれ感がある。2019年2歳世代の種付け料が180万円とのことだが、2歳戦でこの結果は……。地方ではそれなりに走っているためそのうち中央のダートでも走るはずなので、気長に結果が出るのを待ちたい。

 

 

 

 

 

10位・ヴァンセンヌ

  • 出走回数:39
  • 勝利数:4
  • 賞金:46,664,000円
  • E・I:1.11

 

表で見るヴァンセンヌ産駒の特徴

距離適正、芝

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2019,6,1~12,31

 

馬場適性

f:id:KITANOKURIGE:20200128211533p:plain

2019,6,1~12,31

 

牡牝の違い

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2019,6,1~12,31

 

月別出走数と連対率

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2019,6,1~12,31

 

【解説】

まず、ダートの距離適正はサンプル数が少なすぎて出さなかった。

距離適正は、短距離が中心。2019年12月末時点では勝ち鞍のすべてが1400m以下である。ヴァンセンヌ自身もマイル前後を得意としていたし、ヴァンセンヌの母のフラワーパークは最優秀短距離馬なので、今後もマイル以下が中心になるだろう。

馬場適性は、2019年12月末時点では完全に芝向きである。ヴァンセンヌ自身の馬体重が500kgを超えていたためそのうちダートを走る産駒も出てくるだろうが、基本的には芝向きの種牡馬だろう。

牡牝の違いは、今のところどちらが優勢ということはないようだ。出走数は牡馬の方が多いが、連対率は変わらない。ただ、スピードがある種牡馬なのでそのうち牝馬優勢になるかもしれない。

月別出走数は、晩成傾向のようだ。6月は出走自体がなく、初勝利と2勝目は8月の小倉の九州産限定レースである。その次の勝ち鞍は11月なので、ヴァンセンヌと同じく晩成傾向のようだ。思えば、ヴァンセンヌの母父のニホンピロウイナーは晩成型のスプリンターであったため、それが遺伝しているのだろう。

出走数が少なく、しかも配合牝馬のレベルがあまり高くないながらもこれほどE・Iが高いのでこれから期待できそうだ。晩成型のスプリンター・マイラーっぽいので、3歳になってから勝ち上がり、NHKマイルやサマースプリント・マイルに出走し、古馬になってスプリント・マイル路線で活躍するのが成長パターンだろう。

 

 

オマケ 11位・トゥザワールド

  • 出走回数:92
  • 勝利数:2
  • 賞金:39,550,000円
  • E・I:0.50

 

表で見るトゥザワールド産駒の特徴

距離適正、芝

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2019,6,1~12,31

 

馬場適性

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2019,6,1~12,31

 

牡牝の違い

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2019,6,1~12,31

 

月別勝利数と勝率

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2019,6,1~12,31

 

【解説】

オマケで、まだ勝利数は少ないが今後期待できそうなトゥザワールドを紹介する。

まず、ダートの距離適正は連対がないのでデータは出せなかった。

距離適正は、1200mが多いがもっと幅広い距離が得意そうな印象がある。全兄のトゥザグローリー産駒も幅広い距離を走っているため、今後は牝系次第では中長距離を走る馬も出てくるだろう。

馬場適性は、今のところ芝オンリーである。しかし、地方競馬ではファーストシーズンサイアーランキングで首位を独走しているように、今後はダートの勝ち鞍が増えてくるはずだ。全兄のトゥザグローリーと同じく、ダートの方の勝ち鞍が多い芝ダート兼用種牡馬になるだろう。

牡牝の違いは、今のところ牝馬優勢である。しかし、今後はダートの勝ち鞍が増えそうなところを見ると、牡馬の数字も増えてくるはずだ。

月別勝利数は、晩成傾向だと思われる。仕上がりが早めの産駒が多いが、全兄のトゥザグローリーや地方競馬での産駒の活躍を見ると、3歳か古馬になってから勝ち鞍が増えてくるだろう。

全体的に見ると、丈夫で仕上がりやすく、器用なパワー型でスピード不足の産駒が多い印象だ。スピードが足りないため中央の2歳戦では通用しないが、叩かれながら成長し3歳や古馬になってから出世する馬が多くなるだろう。中央では3歳以降に、地方競馬のファーストシーズンサイアーランキング首位の実力を発揮してくるはずだ。

 

 

 

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