トラックバイアス&血統研究

トラックバイアス(馬場のクセ)と血統を研究

【2020年度新種牡馬 2歳リーディング】6位~10位をデータで分析

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前回の2020年度新種牡馬リーディングはドゥラメンテやモーリスを紹介したが、今回はダノンレジェンド、ラブリーデイ、ホッコータルマエなど一癖も二癖もありそうな種牡馬が多くなっている。特にダート向きと思われる種牡馬はこれから勝ち鞍が増えてくるかもしれないので、特徴をつかんでおきたい。

今回は第二弾の6位~10位を紹介する。

 

【目次】

 

 

 

 

6位・ディスクリートキャット

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Northern Dancer 4 x 5  Buckpasser 4+5  Bold Ruler 5+5  Ribot 5 x 5

 

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データで見るディスクリートキャット産駒の特徴

距離適性、芝

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2020,6,1~2020,12,31

 

距離適性、ダート

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2020,6,1~2020,12,31

 

馬場適正

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2020,6,1~2020,12,31

 

牡牝の違い

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2020,6,1~2020,12,31

 

月別出走数と連対率

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2020,6,1~2020,12,31

 

解説

距離適性は、2020年にデビューした産駒は1400m以下の短距離中心となっている。しかし持ち込み馬も含めると、短距離が多いながらも1800mで活躍する産駒もいる。持ち込み馬のエアハリファは1600m前後で活躍しているため、牡馬はマイル前後、牝馬は1600m以下が中心になりそうだ。

馬場適正は、2020年デビューの産駒は芝で活躍する産駒が多いが、持ち込み馬はダートの方が圧倒的に多い。Storm Cat(ストームキャット)系なので2歳や3歳前半は芝で走る産駒もいるが、基本的にはダートで走る産駒が多くなってくるだろう。

牡牝の違いは、おおむね平均的な数字となっている。ただ、ディスクリートキャット自身は筋骨隆々だということなので、大物は牡馬が多くなるのではないだろうか。

月別出走数は、早熟傾向が見られる。2020年デビューの産駒は早い時期に芝でポンポンと3勝したし、持ち込み馬も2歳戦の勝率が50%となっている。ただ、ディスクリートキャットの母系にはDamascus(ダマスカス)やBuckpasser(バックパサー)など異系が多いし、Ribot(リボー)の5×5のクロスもある。エアハリファも6歳で根岸ステークス(GⅢ)を優勝しているように、成長力も期待できそうだ。

基本的には、他のStorm Cat系と同じようにダート向きで短距離が中心だが、配合によっては中距離も走る産駒が多くなりそうだ。あとは、揉まれると走れないとか、脚抜きが良い馬場でないと走れないといったような、産駒個別の個性を把握できるかが重要になりそうだ。

 

 

7位・アジアエクスプレス

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クロスなし

 

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データで見るアジアエクスプレス産駒の特徴

距離適性、芝

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2020,6,1~2020,12,31

 

距離適性、ダート

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2020,6,1~2020,12,31

 

馬場適正

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2020,6,1~2020,12,31

 

牡牝の違い

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2020,6,1~2020,12,31

 

月別出走数と連対率

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2020,6,1~2020,12,31

 

解説

距離適性は、2020年末時点では完全に短距離中心となっている。もちろん1600m以上に出走する産駒も多いが、着差を離されて敗れるケースが目立つ。アジアエクスプレスの引退時の馬体重が554kgで筋骨隆々だったので、それが産駒に遺伝して距離が持たないのかもしれない。今後は父のヘニーヒューズと同じく短距離が中心で、配合次第で中距離で走る産駒も出てくるだろう。

馬場適正は、ほぼ完全にダート向きである。父のヘニーヒューズは2,3歳戦で偶に芝で走る産駒も出すが、アジアエクスプレスは2020年末時点ではその傾向は見られない。Storm Cat(ストームキャット)系なので2,3歳戦では芝で走る産駒に注意が必要だが、基本的にはダート血統と思っていいだろう。

牡牝の違いは、牡馬が優勢……と言いたいところだが、牡馬は2着が多く、牝馬は1着が多い傾向となっている。牡馬は1着3回、2着10回、3着6回に対し、牝馬は1着5回、2着1回、3着3回である(2020年末時点)。もしかしたら2歳時点では、牡馬はデカい馬が多くまだ体が出来上がっておらず勝ち切れないのかもしれない。3歳以降の休み明けの激走に注意したい。

月別出走数は、早熟傾向が見られる。7月に入りダート戦が多く組まれるようになると、ニシノミズカゼが福島ダート1150mでレコード勝ちするなど続々と勝ち上がる産駒が目立った。父のヘニーヒューズと同じく、ダート戦が多く組まれる3歳春まででどれだけ勝ち上がる産駒を輩出するかが勝負だろう。

全体的な印象としては、父のヘニーヒューズと同じような傾向か、少しスケールが小さいイメージだ。もちろん配合の質が違うので単純には比較できないが、ヘニーヒューズの初年度産駒と比べると勝率も低く、1勝クラスを突破した産駒もいない。ただ、期待が大きい500kg以上のデビューしていない大型馬がいるようなので(2020年末時点)、今後はそういった馬に注目したい。

 

 

 

 

 

8位・ダノンレジェンド

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Raise a Native 5 x 5

 

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データで見るダノンレジェンド産駒の特徴

距離適性、芝

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2020,6,1~2020,12,31

 

距離適性、ダート

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2020,6,1~2020,12,31

 

馬場適正

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2020,6,1~2020,12,31

 

牡牝の違い

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2020,6,1~2020,12,31

 

月別出走数と連対率

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2020,6,1~2020,12,31

 

解説

距離適性は芝とダートで違っていて、芝は短距離が中心、ダートは短距離から中距離まで満遍なく走っている。芝は全出走数の約9割が1400m以下で、連対はすべて1200m以下というように徹底的に短距離が中心だ。ダートは短距離を中心に出走しているが、勝ち鞍は1000m~1800mまで満遍なくある。母父の血統で距離傾向が変わることはないので、折り合いがつくかどうかで距離適性が変わるのかもしれない。

馬場適正は、やはりダートが中心だ。ダノンレジェンドの現役時代のように揉まれずに逃げ先行すると、強い内容で勝つケースが目立つ。しかし、芝がまったく走らない訳ではなく、1200mを中心に穴をあける場面が目立つ。ダノンレジェンドの現役時代のように馬体重が軽い産駒が多いので、芝でも走るタイプが出るのかもしれない。

牡牝の違いは、牝馬優勢の傾向となっている。おそらくだが、スピードタイプが多いことと、ダノンレジェンドの現役時代のように馬体重が軽い産駒が多いので牝馬の活躍馬が目立つのかもしれない。

月別出走数は、少し早熟傾向が見られる。7月に入りダート新馬戦が多く組まれるようになるとポンポンと勝ち上がる産駒が出てきて、その後も順調に勝ち鞍を増やした。11月以降も勝ち上がる産駒もいたため、ダノンレジェンドの現役時代のように成長力も期待できる。

サンデーサイレンスを含まない血統でしかも異系色も強く、配合相手を選ばないのが長所である。しかし勝ち上がった産駒の母系の血統を見ると約半数がまったくサンデーを含んでいないため、種牡馬のレベルがかなり高い可能性がある。今後、配合牝馬の質が上がるとダート界の主役の種牡馬になるかもしれない。

ただ、馬体重が軽い産駒が多いことが気になる。ダートはパワーが要求されるので、一般的には馬格があるタイプが有利だ。牝馬を中心に440~460kgくらいの産駒が多いため、今後は坂のあるコースや、乾燥した馬場の凡走に注意したい。

 

 

9位・ホッコータルマエ

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Mr. Prospector 3 x 5  Northern Dancer 5+5

 

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データで見るホッコータルマエ産駒の特徴

距離適性、ダート

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2020,6,1~2020,12,31

 

馬場適正

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2020,6,1~2020,12,31

 

牡牝の違い

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2020,6,1~2020,12,31

 

月別出走数と連対率

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2020,6,1~2020,12,31

 

解説

まず、芝は2020年末時点で連対がないので、距離適性を出さなかった。

距離適性は、牡馬は1800m、牝馬は1400m以下と分かれている。牡馬も牝馬もスタートが苦手な産駒が多く、特に牡馬は1400m以下だとテンについていけないケースが目立つため、短距離は向かないのだろう。牝馬もスタートが苦手だが、二の足が良く好位につけて差し切るケースが目立つため、短距離で走れるのだろう。ただ、あまりスピードを感じさせない産駒が多いため、将来的には特に牡馬は中長距離向きが多くなるのではないだろうか。

馬場適正は完全にダート向きである。産駒のJRA初出走だったエナジーロッソがいきなり芝で3着に入り芝でもいけるのか?……という雰囲気もあったが、その後がまったく続かず。結局ホッコータルマエの現役時代と同じくダート適性が感じられる産駒がほとんどとなった。

牡牝の違いは、2020年末時点では牝馬が優勢となっている。ただ、これは距離適性でも書いたが、牡馬は短距離だとテンについていけない産駒が多く、中長距離適性が感じられるためだろう。3歳になり中長距離のレースが増えてくると牡馬の活躍も増えてくるかもしれない。

月別出走数は晩成傾向が見られる。ダート向きが多いというのもあるが、産駒の初勝利は9月になってからなので仕上がりが遅いように感じる。ただ、地方競馬では産駒が続々と勝ち上がりファーストシーズンサイアーを獲得したようなので、育成傾向が把握できてくればJRAでも早い時期から活躍する産駒が多くなるはずだ。

スタートが苦手な産駒が多いことが気になる。ホッコータルマエの現役時代も3歳の前半はスタートが安定せず結果が伴わなかったが、安定してスタートを出るようになると本格化し成績も上昇してきた。産駒も筋肉がついてきてスタートが安定してくると、特に牡馬は成績も良くなってくるのではないだろうか。

 

 

 

 

 

10位・ラブリーデイ

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Northern Dancer 5+5 x 5

 

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データで見るラブリーデイ産駒の特徴
距離適性、芝

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2020,6,1~2020,12,31

 

距離適性、ダート

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2020,6,1~2020,12,31

 

馬場適正

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2020,6,1~2020,12,31

 

牡牝の違い

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2020,6,1~2020,12,31

 

月別出走数と連対率

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2020,6,1~2020,12,31

 

解説

距離適性は、2020年末時点では1600m以下となっている。母ウリウリの牝馬・ジャカランダレーンなどのように先行力を武器に短距離を押し切る産駒が目立つ。しかし、血統表を見ると母系にダンスインザダーク、トニービン、リアルシヤダイがいるように短距離向きとは思えない。今後は成長と共に中長距離向きの産駒が多くなるのではないだろうか。

馬場適正は芝が中心となっている。ラブリーデイの現役時代もそうだし、血統表を見ても芝中心は納得だ。ダートはクールシャワーが1着になった以外は3着以内がいないし、地方競馬でも産駒はあまり活躍していないので、ダートはステイゴールドやハービンジャー並みに苦手だと思われる。

牡牝の違いは、2020年末時点では牡馬優勢となっている。血統表を見るとスタミナタイプと思われるのでこの結果も納得だ。大物は牡馬からだろう。

月別出走数は……なんとも言えない。早い時期から短距離でポンポンと勝ち上がったが、その後が続かなかったため早熟に見える。しかしラブリーデイの現役時代は本格化するのが遅かったし、血統表を見ても晩成だと思われるので、産駒が本格的に活躍するのは3歳春以降だろう。

産駒個別の成績を見ると、未勝利戦の巻き返しが少ない。普通は、新馬で敗れても2戦目以降に成績を上げるタイプがいるものだが、ラブリーデイ産駒はそういうのが少ない。晩成傾向だからかもしれないが、もしかしたら当たりはずれが大きい種牡馬なのかもしれないので注意したい。

 

 

オマケ 11位・エイシンヒカリ

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Northern Dancer 5 x 4

 

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データで見るエイシンヒカリ産駒の特徴

距離適性、芝

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2020,6,1~2020,12,31

 

馬場適正

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2020,6,1~2020,12,31

 

牡牝の違い

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2020,6,1~2020,12,31

 

月別出走数と連対率

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2020,6,1~2020,12,31

 

解説

まず、距離適性のダートは連対どころか掲示板にのったのも1回だけなので、データは出せなかった。

距離適性は、1200mから2000mまで幅広い距離で連対している。エイシンヒテンのように1200m~1600mで2勝を挙げ4連対しているようにスピードがあるタイプもいれば、シャイニングライトのように2000mで結果を残したタイプもいる。全体的な印象としては、上手く逃げ先行してそのままスピードで押し切るタイプが目立ち、同じディープインパクト×Storm Catの配合のキズナ産駒と似ている印象だ。

馬場適正は、2020年末時点では完全に芝向きである。そもそもダートへの出走が少ないというのもあるが、ダート向きと思われる配合の産駒もまったく歯が立たっていない。ただ、地方競馬ではちらほらと勝ち鞍を挙げているので、仕上がってくればJRAでも勝ち鞍が出てくるだろう。

牡牝の違いは、2020年末時点では完全に牝馬優勢となっている。牡馬はそもそも1番人気に推された産駒がおらず、レースのスピードについていけないような印象だ。エイシンヒカリ自身が体質が弱くデビューが3歳4月と遅かったので、産駒も2歳ではまだ体が仕上がっていないのかもしれない。一方牝馬は人気に推された産駒が順調に勝ち上がっているし、人気薄でも良いスピードを見せて穴をあける場面も目立つ。牝馬は一般的に仕上がりやすいとされているので、2歳から走れる産駒もいるのだろう。

月別出走数は、やはりエイシンヒカリの現役時代と同じく晩成傾向だと感じる。8月まではそもそも出走数自体が少なく、JRA初勝利は9月に入ってから。おそらく、牡馬が仕上がってくる3歳春以降から勝ち鞍が増えてくるだろう。

産駒にどれだけエイシンヒカリの特性が遺伝されるかが注目される。自身は国内GⅠは優勝できなかったものの、香港カップ(GⅠ、芝2000m)で海外GⅠを制し、イスパーン賞(仏GⅠ、芝1800m)では圧巻のレースを見せてくれた。あまり早い時計の決着は得意とせず、国内でも少し時計が遅いレースや、海外のタフな芝に適性があったようだ。

そのため、産駒は速い時計決着に対応できるのか、ディープインパクト産駒のようにキレキレの決め手が使えるのか、同じ配合のキズナ産駒のように芝ダートで距離不問のタイプがいるのか、そして3歳以降や古馬になって本格化するのかなどが注目される。もし2020年末時点のような成績だと種牡馬としては厳しいものになりそうだ。

全体的な印象としては、同じ配合のキズナからダート適性と早熟性を割り引いて、少しスケールを小さくしたイメージである。ただ、晩成傾向だと思われるので3歳以降に成績を上げてくるかもしれない。

 

 

 

 

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