トラックバイアス&血統研究

トラックバイアス(馬場のクセ)と血統を研究

【2022年度デビュー新種牡馬・後半】活躍が期待される種牡馬16頭の産駒の傾向を予想!!

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2022年にデビューする新種牡馬は個性派が多くなりそうだが、それでも前回はサトノクラウンやサトノダイヤモンド、リアルスティールなどリーディング上位を狙える種牡馬を紹介した。しかし後半はさらに個性が強い種牡馬が多く、狭い部門で個性を発揮しそうな種牡馬が目立つ。

では、2022年にデビューする新種牡馬の中から厳選した16頭の傾向を予想するが、今回は後半の8頭を紹介する。

【目次】

 

 

 

 

 

タリスマニック

血統

Northern Dancer 4 x 4  Natalma 5 x 5+5

 

父はトラヴァーズステークス(米GⅠ)など米国の中距離ダートGⅠを3勝したMedaglia d'Oro(メダグリアドーロ)。産駒には北米の最優秀2歳牝馬に選出されたSongbird(ソングバード)など、北米を中心に芝ダート問わず数多くの活躍馬を輩出している。

母はフランスのマイル重賞を優勝したMagic Mission(マジックミッション)。

母父はフランスの2歳GⅠを2勝したMachiavellian(マキャヴェリアン)。産駒にはドバイワールドカップを優勝したStreet Cry(ストリートクライ)などがいる他、母父としてはシュヴァルグランなどを輩出している。

 

近親にはロジクライ(富士ステークス/GⅢ)、STAGE MAGIC(シェーヌ賞/仏GⅢ)などがいる。

 

4代母・Burghclereはディープインパクトの祖母である。5代母・Highclere(ハイクレア)の一族からはディープインパクト以外にもレイデオロ、ウインクリューガー、ゴルトブリッツなど日本でも数多くの活躍馬がいることから、そういった血統が評価されてダーレー・ジャパンに種牡馬入りしたのだと思われる。

 

 

現役時代の主な勝ち鞍

  • ブリーダーズカップターフ(米GⅠ/2017)
  • モーリスドニュイユ賞(仏GⅡ/2017)
  • ゴントービロン賞(仏GⅢ/2018)

 

重賞で優勝した距離は2000m~2800m。他にも香港ヴァーズの2着などがある。フランスでデビューしたためほとんど芝のレースで使われた。ダートは唯一ドバイワールドカップに出走しているが、10頭立ての9着、1着とは約30馬身差をつけられている。

 

 

産駒の傾向予想

 

タリスマニックはフランスの2800mの重賞で優勝しているが、その他にはブリーダーズカップターフで優勝、香港ヴァーズで2着に入っているように、いわゆる"作られた馬場"の適性が高いように感じる。これは母父Machiavellianの影響が強いと思われ、もし日本のレースに出走していればそれなりに活躍できたのではないだろうか。この"作られた馬場"の適性が産駒にどれだけ遺伝されるかが種牡馬としての成功のカギになりそうだ。

馬場適正は芝向きが多くなりそうだ。タリスマニック自身は芝で活躍していたし、母父もMachiavellian、そして母系はHighclere一族である。パワーが強く出る産駒の一部はダートで走るだろうが、基本的には芝を得意とする産駒が多くなるだろう。

距離適性は長い方がよさそうだ。父・Medaglia d'Oro、母父Machiavellianなので一定程度のスピードはありそうだが、タリスマニック自身の現役時代は2歳時でも短い距離で苦戦していた。2000m以下で優勝したのは道悪の時かオールウェザーだったので、基本的にはスピードよりもスタミナやパワーが勝っていると思われる。そのため、産駒にもそれが遺伝されれば距離は長い方が良さそうだ。ただ、こういったスタミナタイプの一部の産駒は、力任せに短距離を走る場合があるので注意したい。

仕上がりは遅めになりそうだ。タリスマニック自身も本格化したのは4歳になってからだし、母系のHighclere一族もどちらかというと晩成型が多い印象がある。サンデー系の繁殖牝馬と多く配合されているので仕上がりが早い産駒も一部出てくるだろうが、基本的には仕上がりは遅めだろう。

種牡馬のタイプとしてはハービンジャーに似た感じになるのではないか。ハービンジャーはスタミナとパワーがあり仕上がりは遅めで、意外と器用で小回りが得意な傾向だ。あとはサンデーサイレンス系の繁殖牝馬と配合されてスピードが遺伝されれば、マイル前後でも対応できるかもしれない。

 

 

ミッキーロケット

血統

Mr. Prospector 3 x 5  Nureyev 4 x 4  Northern Dancer 5+5 x 5+5

父は説明不要のスーパーサイアー・キングカメハメハ。

母は英国で2勝のマネーキャントバイミーラヴ。

母父はナンソープステークス(英GⅠ)を優勝したPivotal(ピヴォタル)。産駒にはジャンリュックラガルデール賞(仏GⅠ)を優勝したSiyouni(シユーニ)などがいる他、母父としては英オークスを圧勝したLove(ラヴ)などがいる。

 

近親には、仏2000ギニーを優勝したLandseer(ランドシーア)がいるくらいだ。

 

キングカメハメハは繁殖牝馬や配合牝馬の母系の特徴を引き出す能力が高い。母系の血統は2代母の父はCaerleon(カーリアン)、3代母の父はMiswaki(ミスワキ)となっているため、ミッキーロケットが芝で活躍したのはその影響が強いと思われる。

 

 

現役時代の主な勝ち鞍

  • 宝塚記念(GⅠ/2018)
  • 日経新春杯(GⅡ/2017)

 

重賞で優勝した距離は2200m~2400m。条件戦も含めて勝利した距離は1800m~2400m。全5勝のうち、北海道のコースで2勝、道悪で2勝となっており、スピードよりもスタミナとパワーがあった。

 

 

産駒の傾向予想

 

上記の通りキングカメハメハは繁殖牝馬や配合牝馬の母系の特徴を引き出す能力が高い。ミッキーロケットの母系の血統を見るとサドラーズウェルズ系やダンジグ系が無いだけで、欧州選手権血統っぽい印象だ。

馬場適正は芝向きが多くなりそうだ。ミッキーロケット自身の現役時代はすべて芝のレースだったし、血統的にも芝の要素が強い。基本的には芝向きの産駒が多くなるだろうが、キングカメハメハ系種牡馬の特徴として一定以上の割合でダート産駒を輩出するというのがある。中央では芝が5~6割、ダートが4~5割くらいではないか。

距離適性は長い方が良さそうだ。ミッキーロケット自身の現役時代もすべて中長距離のレースに出走していたし、血統的にもスタミナが豊富だ。一部の産駒で力任せに短距離を走るタイプも出てくるだろうが、基本的には長い距離の方が得意そうだ。

仕上がりは遅めだろう。ミッキーロケット自身が初勝利を挙げたのが3歳、重賞を初勝利したのが4歳、宝塚記念を優勝したのが5歳となっており、仕上がりは遅かった。きょうだいも仕上がりは遅い傾向なので、産駒も仕上がりは遅めだろう。

種牡馬のタイプとしてはメイショウサムソンに近そうだ。メイショウサムソンはサドラーズウェルズ系のオペラハウス×ダンシングブレーヴの配合で、本格的な欧州選手権血統である。ミッキーロケットにはサドラーズウェルズ系などの血統は内包されていないが、血統的にも実績的には欧州選手権血統に近い。

基本的にはメイショウサムソン産駒と同じようにコーナー4つ以上の中長距離が得意で、仕上がりは遅めだろう。一部のサンデー系繁殖牝馬と配合された牝馬はマイルでのスピード勝負もできるだろうが、良馬場でのスピード比べは不得意ではないか。

 

 

 

 

 

シャンハイボビー

血統

Blushing Groom 4+5  Raise a Native 5 x 5

 

父はフロリダダービー(米GⅠ)など米国の中距離ダートGⅠを3勝したHarlan's Holiday(ハーランズホリデー)。産駒には北米リーディングサイアーのInto Mischief(イントゥミスチーフ)や、スワンステークス(GⅡ)など重賞2勝のアルビアーノなどがいる。

母は北米5勝のSteelin'(スティーリン)。

母父はブリーダーズカップスプリント(米GⅠ)など米国の短距離ダートGⅠを2勝したOrientate(オリエンテート)。

 

 

現役時代の主な勝ち鞍

  • シャンペンステークス(米GⅠ/2012)
  • ブリーダーズカップジュヴェナイル(米GⅠ/2012)
  • ホープフルステークス(米GⅡ/2012)

 

現役時代はすべてアメリカのダートに出走し、重賞を優勝した距離はダート7F~8.5F。デビューからBCジュベナイルまで5連勝しエクリプス賞最優秀2歳牡馬に選出されたが、3歳になると調子を落とし、繋靭帯の故障により3歳で引退。

 

 

産駒の傾向予想

 

シャンハイボビーはすでに北米で種牡馬として繋養されており、産駒は2017年にデビューし、南米にもシャトルされていた。北米新種牡馬リーディング4位。北米では重賞勝ちがチラホラ出た位だが、南米ではAero Trem(アエロトレム)を始め複数のGⅠ馬を輩出している。

馬場適正はダートが中心だろう。馬産地の評価では仕上がりが早いようなので、仕上がりの早さと持ち前のスピードで2歳~3歳前半の若駒のうちや、牝馬は芝向きの産駒もそれなりに出てくるだろう。しかしシャンハイボビー自身が筋肉質であることから段々とパワーが勝るようになり、ダート向きへシフトしていきそうだ。通算の勝ち鞍は芝が2~3割、ダートが7~8割くらいになるのではないか。

距離適性は短い方が良さそうだ。アメリカや南米に残した産駒は中距離でもかなり走っているが、やはり日本だと距離が長いと厳しいのではないか。というのも、日本の芝中距離はサンデーサイレンス系やキングマンボ系のように末脚のキレが要求される。米国血統のシャンハイボビー産駒は一本調子のタイプが多く出ると想定されるため、少なくとも芝中~長距離は厳しいだろう。ダートであれば配合次第で中距離も守備範囲に入りそうだ。ただ、基本的には距離が短い方が良さそうだ。

仕上がりは早めだろう。シャンハイボビー自身の現役時代は2歳に活躍していたし、すでにアメリカや南米でデビューしている産駒も仕上がりは早いタイプが多いため、早熟傾向だろう。

産駒の傾向としては同じストームキャット系のヘニーヒューズやヨハネスブルグと似た感じになるのではないか。ヘニーヒューズ産駒は多少距離が持つタイプも多いが、基本は早熟ダート血統。ヨハネスブルグ産駒は芝を走るタイプも多いが、基本は早熟短距離血統。シャンハイボビー産駒は典型的な米国血統のイメージで、早熟ダート短距離向きが中心になりそうだ。

 

 

ファインニードル

血統

Sharpen Up 5 x 4  Northern Dancer 5 x 5+5

 

父はジャパンカップ(GⅠ)などGⅠ3勝で年度代表馬に選出されたアドマイヤムーン。産駒には高松宮記念(GⅠ)を制したセイウンコウセイなど、短距離戦線を得意とするタイプが多い。

母は欧州でマイル前後の重賞を2勝したニードルクラフト。

母父は英2000ギニー(GⅠ)などイギリスのマイルGⅠを2勝したMark of Esteem(マークオブエスティーム)。母父としてはNHKマイルカップを優勝したダノンシャンティなどを輩出している。

 

近親にはGⅠ馬はいないが、欧州のマイルから中距離の重賞を優勝した馬が複数いる。牝系は芝のマイル前後を得意とするタイプが多く、父・アドマイヤムーンと牝系からスピードが遺伝されたため、ファインニードル自身も短距離が得意だったのだろう。

 

 

現役時代の主な勝ち鞍

  • 高松宮記念(GⅠ/2018)
  • スプリンターズステークス(GⅠ/2018)
  • セントウルステークス(GⅡ/2017、2018)
  • シルクロードステークス(GⅢ/2018)

 

重賞で優勝した距離はすべて1200m。デビュー以降、1600mに出走したのは1回だけで、他はすべて1400m以下となっている。しかも1400mで勝利したのは未勝利のみで、他9勝はすべて1200mとなっているように、純然たるスプリンターだ。

デビューから勝ち負けを繰り返し出世が遅れたが、4歳夏のセントウルステークスで初重賞制覇。5歳になると本格化し、GⅠ2勝を含む重賞4勝を挙げ、最優秀短距離馬に選出された。

 

 

産駒の傾向予想

 

父系のフォーティナイナー系は遺伝力が高い種牡馬が多く、自身の競争成績や血統通りの産駒を輩出することが多い。例えば、アドマイヤムーンは芝短距離、サウスヴィグラスはダート短距離を得意とする産駒が多い傾向だ。ファインニードル産駒も同じ傾向になる可能性が高い。

馬場適正は芝向きだろう。ファインニードル自身の現役時代も芝で活躍したし、牝系も芝向きのタイプが多い。父のアドマイヤムーンと同じく芝の勝ち鞍が7~8割、ダートが2~3割となり、代表産駒は芝からになりそうだ。

距離適性は短距離が中心だろう。上記の通り父系のフォーティナイナー系は遺伝力が高い種牡馬が多いため、産駒もファインニードル同様に短距離を得意とするタイプが多くなるだろう。ただ、配合牝馬次第ではマイルや中距離をこなす産駒も多少は出てきそうだ。

仕上がりは遅めだろう。父のアドマイヤムーンの産駒は2歳に初勝利を挙げるタイプが多いが、3歳になると伸び悩み、4歳以降に本格化する傾向となっている。ファインニードル産駒も同じ傾向の産駒が多くなりそうだ。

産駒の傾向としては父のアドマイヤムーンとほぼ同じような感じだろう。上記でも書いたが、2歳に初勝利を上げ、3歳は伸び悩み、4歳以上に本格化する芝短距離向きの産駒が多くなりそうだ。あとはサンデー系牝馬との配合が多くなるはずなので、サンデークロスがどの程度影響するのか確認したい。

 

 

 

 

 

ゴールドアクター

血統

Northern Dancer 5+5 x 4  Hail to Reason 5+5

 

父はジャパンカップを9番人気で優勝したスクリーンヒーロー。産駒にはマイルから2000mのGⅠを6勝したモーリスなどがいる。

母は平地では未勝利だが、障害競走で2勝したヘイロンシン。

母父は中央5勝のキョウワアリシバ。

 

近親やきょうだいにはこれといった活躍馬はいない。近親は地方や障害競走で1~3勝するまでがほとんどで、正直に言えばここまで貧相な牝系からGⅠ馬のゴールドアクターが出てくるのは突然変異としか思えない。これが産駒にどのような形で遺伝されるかが注目される。

 

 

現役時代の主な勝ち鞍

  • 有馬記念(GⅠ/2015)
  • アルゼンチン共和国杯(GⅡ/2015)
  • オールカマー(GⅡ/2016)

 

重賞を優勝した距離は2200m~2500m。2000mに出走したのは3回で、すべて4着以下に敗戦している。デビュー3戦目以降はほぼすべて2200m以上のレースに出走しており、3歳春までは勝ち切れずに伸び悩んだ。しかし3歳夏から本格化し菊花賞3着すると、翌年は1000万条件から有馬記念まで4連勝した。

レースが非常に上手なタイプで、上手く先行し道中は2~5番手付近のポジションを取ると、直線では抜け出し押し切るのが勝利パターン。

 

 

産駒の傾向予想


ゴールドアクターの父系であるロベルト系種牡馬は、現役時代の競争成績と産駒の成績が比例しないことで知られている。例えば、サンシャインフォーエヴァーは米国で芝GⅠを3勝し種牡馬としての期待は高かったが、重賞馬を2頭出しただけで終わった。しかし、いとこのブライアンズタイムは種牡馬としての期待はそこまで高くなかったが、ナリタブライアンなど活躍馬を多く輩出した。ロベルト系種牡馬は一発大逆転があるので注意したい。

馬場適正はどちらかというと芝向きだろう。ゴールドアクター自身の現役時代は芝で活躍していたし、馬体もそこまで筋肉質ではない。父のスクリーンヒーローはダートのオープン馬も出ているのでゴールドアクターもダートの活躍馬が出てくるだろうが、代表産駒は芝からだろう。通算の勝ち鞍は芝が5~6割、ダートは4~5割位と想定している。

距離適性は長い方がいいだろう。ゴールドアクター自身の現役時代の勝ち鞍はすべて2200m以上の距離だったように、かなり長距離適性が感じられる。血統的にスピードの要素も少ないので、長距離が得意な産駒が多くなりそうだ。

仕上がりは遅めだろう。父のスクリーンヒーロー産駒も晩成型が多いし、父が同じモーリスの産駒も晩成っぽい印象がある。ゴールドアクター自身も現役時代は本格化するのが3歳夏だったため、産駒も仕上がりは遅い傾向だろう。

ロベルト系種牡馬は上記の通り現役時代の競争成績と産駒の成績が比例しないことが多い。ゴールドアクターは血統が地味でスピードの要素も少なく、一見すると種牡馬として疑問符が残るが、ロベルト系種牡馬は一発逆転がある。スクリーンヒーローからゴールドアクターやモーリスが出たように、ゴールドアクターからも大物が出る可能性が十分ある。

 

 

グレーターロンドン

血統

Northern Dancer 5 x 4+5

 

父は説明不要のスーパーサイアー・ディープインパクト。

母はファンタジーステークス(GⅢ)を優勝したロンドンブリッジ。

母父は英ダービー(GⅠ)など欧州でGⅠ3勝のドクターデヴィアス。産駒には香港ヴァーズ(GⅠ)など各国のGⅠで3勝したCollier Hill(コリアーヒル)、福島記念(GⅢ)を制したオーバーザウォールなどがいる。

 

半姉にオークス(GⅠ)を制し重賞4勝のダイワエルシエーロ。

半兄に京都金杯(GⅢ)など重賞2勝のビッグプラネット。

 

近親には菊花賞(GⅠ)を制したキセキがいる。

 

2代母は下河辺牧場が輸入した繁殖牝馬のオールフオーロンドンで、ここから多くの活躍馬が出て一大牝系を築きつつある。この牝系からは芝ダート、短距離から長距離まで様々なタイプの産駒が輩出されているが、基本的にはスピードに優れたタイプが多い。

 

 

現役時代の主な勝ち鞍

  • 中京記念(GⅢ/2018)

 

デビューは3歳2月と遅く、しかも2戦目は落鉄して2着に敗れ、その後はソエ、蹄葉炎などの影響もあり、素質は期待されていたが出世は遅れた。しかし4歳後半から順調に使われ始めると、3歳後半から5歳前半まで5連勝を飾る。

しかしその後は展開や馬場、末脚の不発などで勝ち切れなかったが、6歳時の中京記念ではレコードタイムで優勝した。ところが、またしても蹄の不安が出てその後はレースに出走せず引退、種牡馬入りした。

 

 

産駒の傾向予想

 

前記事のリアルスティールの項目でも書いたが、ディープインパクト系種牡馬は牝系の特徴を伝えることが多い。例えば、キズナは母系がStorm Cat×Damascusなので先行力とパワー、ディープブリランテは母系が重めなのでスタミナやジリっぽさ、リアルインパクトは母系がスピード豊富なので短距離からマイル前後のスピード、という具合だ。

馬場適正は芝が中心だろう。グレーターロンドン自身の現役時代は芝で活躍していたし、馬体も芝馬らしいしなやかさがある。きょうだいはダートで活躍した馬もいるが、基本的には芝向きの産駒がほとんどになるだろう。ステイゴールドやハービンジャー、ディープインパクトくらいダートが苦手になる可能性がある。

距離適性はマイルから中距離が中心になりそうだ。グレーターロンドン自身の現役時代はマイル前後で活躍したし、牝系もスピード豊富だ。配合牝馬によっては短距離や長距離を走る産駒も出てくるだろうが、牝馬はマイル前後が中心、牡馬はマイルから中距離が中心になりそうだ。

仕上がりは遅めだろう。グレーターロンドン自身も仕上がりは遅めだったし、牝系も3歳春から夏にかけて初勝利を挙げ、本格化するのは3歳後半から4歳になってからが多い。産駒も本格化するのは3歳夏以降だろう。

産駒の傾向としてはリアルインパクトに似た感じで、もう少し距離はあっても良さそうな印象がある。あとはディープインパクト系種牡馬は父のようなキレキレの決め手を遺伝させるタイプがほぼおらず、グレーターロンドンが産駒にどれだけ決め手を遺伝させるかが注目される。

 

 

ヤマカツエース

血統

Northern Dancer 5+5 x 5

 

父は説明不要のスーパーサイアー・キングカメハメハ。

母は中央で3勝したヤマカツマリリン。

母父はグランプリ3連覇したグラスワンダー。産駒には、ジャパンカップ(GⅠ)を制したスクリーンヒーロー、宝塚記念(GⅠ)を制したアーネストリーなどがいる。母父としては牝馬GⅠ3勝のメイショウマンボがいる。

 

近親には重賞を優勝した活躍馬はいないが、半妹のヤマカツグレースはフローラステークス(GⅡ)2着、半妹のヤマカツマーメイドはフィリーズレビュー(GⅡ)2着などがある。

 

 

現役時代の主な勝ち鞍

  • 金鯱賞(GⅡ/2016,17)
  • ニュージーランドトロフィー(GⅡ/2015)
  • 中山金杯(GⅢ/2016)
  • 福島記念(GⅢ/2015)

 

重賞を優勝した距離は1600m~2000m。道悪や時計の掛かる馬場、スローペースを得意としており、ニュージーランドトロフィーと福島記念は道悪、金鯱賞と中山金杯はスローペースであった。

デビューは2歳6月と早く、初勝利は2歳7月。得意な馬場や展開だと強く、GⅠでも3着に入るなど実力はあった。しかし展開が向かないと大敗し、ハイペースの消耗戦となった2016年の宝塚記念(GⅠ)では13着に大敗するなど、大穴ほどではないが中穴馬として活躍した。

 

 

産駒の傾向予想

 

キングカメハメハ系種牡馬は牝系の特徴を素直に出す傾向がある。例えば、ロードカナロアは母がスプリンターだったため産駒も短い距離が得意なタイプが多いし、ルーラーシップは母がエアグルーヴなので産駒もスタミナ豊富なタイプが多い。ヤマカツエースの牝系はスピード豊富なタイプが多いため、産駒もスピードがあるタイプが出てくる可能性がある。

馬場適正はどちらかというと芝向きが多くなりそうだ。ヤマカツエース自身も現役時代は芝で活躍していたし、きょうだいも勝ち鞍はすべて芝だ。母や近親も芝で活躍するタイプがほとんどなので、産駒も基本的には芝向きが多くなりそうだ。ただ、キングカメハメハ系種牡馬は一定以上のダート馬を出す傾向がある。通算の勝ち鞍は芝が6割前後、ダートが4割前後と想定している。

距離適性は短距離~中距離が中心になりそうだ。ヤマカツエース自身はマイルから中距離で活躍したが、きょうだいと母はマイル以下で活躍した。牝系はスピード豊富なのでヤマカツエース産駒もどちらかというと短い距離の方が得意そうだ。ただ、母父グラスワンダーの影響もありヤマカツエース自身は中距離でも活躍したので、一定の割合で中距離を得意とする産駒も出てくるはずだ。

産駒の傾向としては同父系のロードカナロアと似た感じと思われる。どちらも母はスプリンターでスピード豊富だ。ヤマカツエースは母父がグラスワンダーなのでもう少し距離が持つかもしれないが、基本的にはロードカナロアに近い感じになりそうだ。

 

 

ネロ

血統

Northern Dancer 5 x 4

 

父は欧米で2歳芝短距離GⅠを4勝したヨハネスブルグ。産駒にはフロリダダービー(米GⅠ)を勝利し種牡馬としても活躍したScat Daddy(スキャットダディ)など、世界各国でGⅠ馬を輩出している。

母は中央1勝、ファンタジーステークス(GⅢ)3着のニシノタカラヅカ。

母父は説明不要のスーパーサイアー・サンデーサイレンス。

 

近親には

  • ニシノフラワー(桜花賞/GⅠなどGⅠ3勝、重賞6勝)
  • チャームアスリープ(関東オークス/GⅡ)

などがおり、他にもオープン特別2勝のマヤノライジンや、マイラーズカップ(GⅡ)2着のニシノマナムスメなど、重賞にあと一歩届かなかった馬が多くいる。

 

5代母・Somethingroyal(サムシングロイヤル)はSecretariat(セクレタリアト)やSir Gaylord(サーゲイロード)の母で、4代母・The Brideはそれらのきょうだいにあたる。このSomethingroyalの系統はかなりの名牝系であり、ロードカナロアやチチカステナンゴは遠い親戚になる。

 

 

現役時代の主な勝ち鞍

  • 京阪杯(GⅢ/2016,2017)

 

1600mには1回、1400mには5回出走したことがあるが、勝ち鞍はすべて1200m以下となっているように生粋のスプリンター。重賞の勝ち鞍は京阪杯の2勝しかないが、オープンクラスで3勝、ダート重賞で2着2回、3着1回がある。

スタートが上手く、逃げ先行して押し切るのが勝利パターン。道悪適正が高く、全10勝のうち4勝が道悪だった。

 

 

産駒の傾向予想

 

父のヨハネスブルグの産駒は、ストームキャット系にしては日本では珍しく芝の勝ち鞍の方が多い。ストームキャット系は筋肉量が豊富でパワーに優れたタイプが多いため日本ではダートを得意とするが、ヨハネスブルグ産駒はストームキャット系にしては小さめの産駒が多いため芝向きになるのだろう。ネロも現役時代は470kg前後と標準位の馬体重だったし、しかも母父がサンデーサイレンスだったため芝で活躍したのだと思われる。

馬場適正は芝ダート兼用だろう。父のヨハネスブルグも通算の勝ち鞍は芝が6割、ダートが4割だし、ネロも現役時代は芝とダートで活躍した。ネロは母父がサンデーサイレンスなので父のヨハネスブルグよりも芝の活躍馬が多くなるかもしれないが、基本的には芝ダート兼用だろう。

距離適性は短距離が中心だろう。ネロの現役時代はスピード満点……というよりスタミナに課題があった。配合牝馬にもよるが、距離は短ければ短い方が良いタイプだろう。

仕上がりは早いだろう。ネロ自身も2歳8月の新馬戦で勝利しているし、近親も2歳のうちに初勝利を挙げるケースが多い。父のヨハネスブルグの産駒も2歳からガンガン走れるタイプが多いので、仕上がりは早そうだ。ただ、ヨハネスブルグ産駒は3~4歳前半でスランプに陥りながら、4歳後半から5歳にかけて突如復活するケースがあるため、ネロ産駒も古馬になってからの成長も見込める。

産駒の傾向としては父のヨハネスブルグや、サクラバクシンオーと似た感じになりそうだ。距離が短ければ短い方が良く、しかもスタートも上手い。配合牝馬の質があまり高くないようだが、デビュー年の2歳馬の活躍があれば一気に人気種牡馬になる可能性もある。

 

 

 

 

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