2022年度の新種牡馬は例年よりも少し多い40頭以上が登録されている。例年のように多くの繁殖牝馬を集める人気種牡馬が少なく、産駒も大器を感じさせるタイプは少ない印象だ。ただ、上位5位以内にはリアルスティールやデクラレーションオブウォーなど今後が楽しみな種牡馬がいる。
全部で2022年度新種牡馬ファーストサイヤーリーディングの上位10頭を紹介する予定だが、今回は第一弾として1~5位のデータを紹介する。
【目次】
1位・マインドユアビスケッツ
Deputy Minister 3 x 4 Blushing Groom 4 x 5 Hail to Reason 5 x 4
データで見るマインドユアビスケッツ産駒の特徴
距離適性・芝
2022,6,1~2022,12,31
距離適性・ダート
2022,6,1~2022,12,31
馬場適正
2022,6,1~2022,12,31
牡牝の違い
2022,6,1~2022,12,31
月別出走数と連対率
2022,6,1~2022,12,31
解説
データはすべて出走数、複勝数、複勝率で表している。これは勝利数や勝率だとデータが少なすぎるので、サンプルが多い出走数、複勝数、複勝率で出すことにした。
距離適性は幅広めだが、おおむねマイル前後となっている。データ集計期間内の代表産駒はデルマソトガケだが、ダート1800mを2勝したのちにダート1600mの全日本2歳優駿(GⅠ)を優勝した。ただ、マルカラピッドは母父ダイワメジャーで1200mのエーデルワイス賞(GⅢ)を優勝したように、母父で距離適性がある程度変わってきている。
馬場適正はどちらかというとダート向きが多い。出走数も勝利数も血統通りダートが多く、代表産駒もダート馬だ。ただ、芝がダメな訳ではなく、社台系生産馬を中心に芝で勝ち上がる馬もいる。マインドユアビスケッツ自身は米国ダート短距離血統馬のような筋骨隆々のタイプではなく、マイルから中距離も走れそうなスラッとした馬体をしている。基本的にはスピードがあるタイプだろうが、配合牝馬次第では芝の中長距離馬が出てきてもおかしくない。
牡牝の違いはどちらかというと牡馬優勢となっている。ただこれは、牝馬はダートが苦手なタイプが多いというダート向き種牡馬の宿命で、芝の成績は牡牝ではあまり変わらない。
仕上がりは目立った特徴が出ていない。2歳重賞を優勝した産駒が出ているように仕上がりが早い産駒は多そうだが、データ的には早熟では終わらなさそうだ。
イメージとしては同じVice Regent(ヴァイスリージェント)系のクロフネに近いか、もう少し距離適性を伸ばした印象だ。ダート適性は2頭の重賞馬を輩出したように感じられるので、あとは芝の重賞級が出るのかが注目される。
2位・リアルスティール
Northern Dancer 5 x 4+5
データで見るリアルスティール産駒の特徴
距離適性・芝
2022,6,1~2022,12,31
距離適性・ダート
2022,6,1~2022,12,31
馬場適正
2022,6,1~2022,12,31
牡牝の違い
2022,6,1~2022,12,31
月別出走数と連対率
2022,6,1~2022,12,31
解説
データはすべて出走数、複勝数、複勝率で表している。これは勝利数や勝率だとデータが少なすぎるので、サンプルが多い出走数、複勝数、複勝率で出すことにした。
距離適性はおおむねマイル以上が中心となっている。1200mは1勝3着3回とあまり走らない傾向で、しかも勝ち鞍を挙げたのは7月となっており苦手なのだろう。1600m以上になると勝利数も複勝率も上がってくる傾向で、将来的にも1600m~2400mくらいが守備範囲になりそうだ。
馬場適正は芝が中心だ。データ集計期間内で全16勝しているが、芝が13勝、ダートが3勝となっており、オールパルフェがデイリー杯2歳ステークス(GⅡ)を優勝しているように基本的には芝向きであろう。ただ、ダートがからっきしという訳ではなく、複勝率は芝もダートもあまり変わらないため、将来的にはダート馬も一定程度は出てきそうだ。
牡牝の違いは牡馬優勢となっている。勝利数も複勝数もダブルスコアで牡馬の方が多いので、よほど牡馬が走りやすい種牡馬なのだろう。
仕上がりは目立った特徴が出ていない。ただ、データ集計期間内で2勝しているのがオールパルフェだけなので、もしかしたら晩成傾向があるのかもしれない。
全体的な印象は、同じディープインパクトを父に持つキズナをもう少し素軽くして、ダートを苦手にしたような印象だ。勝ち上がった産駒は上手く逃げ先行して押し切るタイプが多く、まだディープインパクト産駒のようなキレキレな決め手を使うタイプは少ない。3歳になり体力がついてきて、決め手を使えるタイプが増えてくるとクラシックで優勝する産駒も出てきそうだ。
3位・デクラレーションオブウォー
Northern Dancer 3 x 5 Mr. Prospector 5 x 4 Nijinsky 5 x 4
データで見るデクラレーションオブウォー産駒の特徴
距離適性・芝
2022,6,1~2022,12,31
距離適性・ダート
2022,6,1~2022,12,31
馬場適正
2022,6,1~2022,12,31
牡牝の違い
2022,6,1~2022,12,31
月別出走数と連対率
2022,6,1~2022,12,31
解説
データはすべて出走数、複勝数、複勝率で表している。これは勝利数や勝率だとデータが少なすぎるので、サンプルが多い出走数、複勝数、複勝率で出すことにした。
距離適性は短距離から長距離まで幅広い。デクラレーションオブウォー産駒は日本で供用される前に北米、欧州、豪州などで供用されていて、短距離から長距離、芝ダートともにGⅠ馬を輩出している。配合牝馬の特徴がそのまま産駒に遺伝されるケースが多く、日本でもその傾向が出ている。ホープフルステークス(GⅠ)で2着に入ったトップナイフは半兄にステラウインド(万葉ステークス/OP)がいるし、ききょうステークス(OP)で2着に入ったクインズエルサの母はキャンディバローズ(ファンタジーステークス/GⅢ)となっている。距離適性は母、もしくは牝系を見ることが重要だ。
馬場適正は芝向きが多い。ただ、上記の通り配合牝馬の特徴がそのまま産駒に遺伝されるケースが多く、デクラレーションオブウォーの配合牝馬もサンデーサイレンスの血を含んでいるのが中心なので、この結果になったのだろう。
牡牝の違いは牡馬が優勢となっている。集計期間内だと牡馬の馬体重はおおむね平均並みだが、牝馬は440kg以下が多く500kg以上はいない。これが影響しているものと思われる。
仕上がりはまあまあ早め。ただ、2勝したのはホープフルステークス(GⅠ)で2着に入ったトップナイフのみとなっており、もしかしたら仕上がりが遅いタイプが多いのかもしれない。
配合牝馬の特徴がそのまま産駒に遺伝されるケースが多い種牡馬といえばサンデーサイレンスやキングカメハメハが挙げられるが、それらと比べると産駒の質はそこまで高くない。ただ、配合相手に社台系牝馬が少ないながらもこの結果を残したのは素晴らしい。配合牝馬の質が上がってくるとリーディング上位に食い込んでくるかもしれない。
4位・サトノダイヤモンド
Halo 3 x 4+5 Northern Dancer 5 x 5+5
データで見るサトノダイヤモンド産駒の特徴
距離適性・芝
2022,6,1~2022,12,31
距離適性・ダート
2022,6,1~2022,12,31
馬場適正
2022,6,1~2022,12,31
牡牝の違い
2022,6,1~2022,12,31
月別出走数と連対率
2022,6,1~2022,12,31
解説
データはすべて出走数、複勝数、複勝率で表している。これは勝利数や勝率だとデータが少なすぎるので、サンプルが多い出走数、複勝数、複勝率で出すことにした。
距離適性は中長距離が中心。データ集計期間内では1500m以下にはのべ18頭が出走し勝ち鞍は無し、3着1回だけとなっており、勝ち鞍の最低距離は1600m。ここまで徹底的に中長距離が得意なのは珍しい。将来的にはステイヤー種牡馬になるのは確実と言ってもいいくらいだ。
馬場適正は芝が中心。データ集計期間内では全11勝しているが、芝は9勝、ダートは2勝となっている。ただ、ダートが苦手という訳ではなさそうで、勝率や複勝率は芝より少し低いくらいだ。芝ダート兼用とまではならないが、これからはダート向きの産駒が一定程度は出てきそうだ。
牡牝の違いは牡馬優勢となっている。一般的に、パワーやスタミナが優れた種牡馬は牡馬優勢、スピードが優れた種牡馬は牝馬優勢になりやすい。サトノダイヤモンドはパワーやスタミナが優れたタイプだと思われるので、今後も牡馬の方が走りやすくなるかもしれない。
仕上がりは遅めだろう。6月にいきなり産駒初勝利を挙げたがその後は勝ち切れず、10月以降になって勝ち鞍を一気に増やした。一般的にファーストシーズンサイアーは仕上がりを早めて生産者にアピールするものだが、この結果を見ると産駒の多くは仕上がりきらなかったのだろう。3歳以降に勝ち鞍を増やすものと思われる。
全体的な印象は、ダンスインザダークやステイゴールドに近いものを感じる。どちらの種牡馬もスタミナ豊富な産駒が多く、特にダンスインザダーク産駒はもっさりとしていてかなり似ている。クラシックではダービーやオークスでは切れ味が足りず、菊花賞向きの産駒を輩出しそうだ。
5位・サトノクラウン
Northern Dancer 4 x 5 Mr. Prospector 4+5 Buckpasser 5 x 5 Sir Ivor 5+5
データで見るサトノクラウン産駒の特徴
距離適性・芝
2022,6,1~2022,12,31
距離適性・ダート
2022,6,1~2022,12,31
馬場適正
2022,6,1~2022,12,31
牡牝の違い
2022,6,1~2022,12,31
月別出走数と連対率
2022,6,1~2022,12,31
解説
データはすべて出走数、複勝数、複勝率で表している。これは勝利数や勝率だとデータが少なすぎるので、サンプルが多い出走数、複勝数、複勝率で出すことにした。
距離適性は短距離から中距離まで幅広いが、どちらかというと中距離が中心。芝の出走数は1800mが最多で、勝ち鞍は2000mが最多。血統的に欧州色が強く、現役時代も中長距離で活躍したためこの結果になったのだろう。3歳以降も中長距離が中心になりそうだ。ただ、欧州血統にはありがちだが、力任せに1200m~1400mを走る産駒も一定程度出てくるだろう。
馬場適正はほぼ芝向きとなっている。データ集計期間内ではダートにのべ31回出走し勝ち鞍はなし、3着2回のみとなっている。地方競馬ではダートを走る産駒が多少ながらいるので、今後はダート向きの産駒も多少は出てくるかもしれない。ただ、その割合はステイゴールドやハービンジャー並みに少なくなりそうだ。
牡牝の違いは牝馬優勢となっている。牡馬はスピード不足のタイプが多く、それがこの結果になったのだと思われる。今後は長距離やダートで走る産駒も増えてくると思われるので、牡馬の数字も上がってくるだろう。
仕上がりは目立った特徴が出ていない。いきなり6月に産駒初勝利を挙げ、8月には月間5勝し上々の出だしだったが、その後が続かなかった。長距離向きの産駒が多いと思われるので、晩成傾向があるのではないか。
全体的な印象は、同じ欧州血統のハービンジャーやエイシンフラッシュに近いものを感じる。ただ、ハービンジャーのような小回り適性は感じないし、エイシンフラッシュのようなしぶとさも感じない。社台系繁殖牝馬に多く配合されたため産駒の特徴が分かってくると成績も上がってきそうだが、大器を感じさせる産駒が出てこないと厳しい。