トラックバイアス&血統研究

トラックバイアス(馬場のクセ)と血統を研究

【2024年度デビュー新種牡馬】活躍が期待される新種牡馬13頭の傾向を予想!!

 

2024年度にデビューする新種牡馬は例年並みの約40頭となっている。今年度の特徴としては国内のクラシックで活躍した馬は少なく、ダートを主戦場にした馬や外国産馬が例年よりも多い印象だ。

では、2024年度にデビューする新種牡馬から厳選した13頭の傾向を予想する。

【目次】

 

 

 

 

 

ルヴァンスレーヴ

血統

Roberto 3 x 5  Hail to Reason  4 x 5

 

父は天皇賞秋(GⅠ)と有馬記念(GⅠ)を2連覇したシンボリクリスエス。産駒にはエピファネイアやサクセスブロッケンなどがいる。

母は中央の中距離ダートで4勝したマエストラーレ。

母父は日本ダービー(GⅠ)と皐月賞(GⅠ)を優勝したネオユニヴァース。母父としてはアエロリットやデルマソトガケを輩出している。

 

近親には

  • チュウワウィザード(チャンピオンズカップ/GⅠなどGⅠ4勝)
  • アイアンテーラー(クイーン賞/GⅢ)

などがいる。

 

4代母・ダイナフェアリーからの牝系はどの種牡馬をつけてもダートを走るというダート牝系となっている。

 

現役時代の主な勝ち鞍
  • 全日本2歳優駿(GⅠ/2017)
  • ジャパンダートダービー(GⅠ/2018)
  • マイルチャンピオンシップ南部杯(GⅠ/2018)
  • チャンピオンズカップ(GⅠ/2018)

他重賞1勝。

 

すべてダートのレースに出走し重賞で優勝した距離は1600m~2000m。4歳時は脚部不安により全休。5歳5月に約1年半ぶりにレースに復帰したもののかつての輝きは無く引退、種牡馬入りした。

 

産駒の傾向予想

 

3代父・Robertoの系統の種牡馬はパワーに優れた牡馬を輩出することが多い。ルヴァンスレーヴも父系と同じ傾向の産駒を輩出するのか、それともまったく違う傾向になるのかが注目される。

馬場適正は断然ダート向きだろう。父・シンボリクリスエスは芝ダート兼用種牡馬だったが、ルヴァンスレーヴの牝系はダート向きの産駒を多く輩出していることから、牝系の遺伝が強く出てダート向きの産駒が多くなりそうだ。ただ、ノーザンファームなど社台系繁殖牝馬との配合が多いことから、母父ディープインパクトなどから一定程度の芝馬も出てきそうだ。

距離適性は長い方が良さそうだ。現役時代は南部杯などマイル重賞で3勝しているが、血統背景からすると母父ネオユニヴァース、2代母の父ティンバーカントリー、3代母の父リアルシャダイなど、スタミナがある血統で固められている。母、きょうだい、近親と中長距離のダートで活躍するタイプが多いことから、ルヴァンスレーヴ産駒は中長距離の産駒が多くなりそうだ。

仕上がりは標準的かやや遅めだろう。ルヴァンスレーヴは2歳8月にデビューしているが、母、きょうだい、近親は仕上がりが遅めが多い。社台系繁殖牝馬との配合が多いため一部は2歳から走るだろうが、基本的には初勝利が3歳、本格化は3歳後半から4歳になってからが多くなりそうだ。

3歳ダート三冠競争が整備され、ルヴァンスレーヴにかかる期待は大きい。現役時代は東京競馬場のような大きいコースや、川崎競馬場のような小回りコースでも好走したように中央地方問わず活躍。馬場状態も問わない。血統的にもサンデーサイレンス、ミスタープロスペクター、ノーザンダンサーの血が薄く配合しやすい。生産者からの期待も大きく、種付け料を毎年値上げしているものの毎年200頭前後と配合している。ダート向きの種牡馬は芝と比べると目立った種牡馬は少ないので、次世代のダートリーディングサイヤーとしての活躍が期待される。

 

 

サートゥルナーリア

血統

Northern Dancer 5 x 4

 

父は史上最強のスプリンターとの称されるロードカナロア。産駒にはアーモンドアイ、パンサラッサなどがいる。

母は日米のオークスを優勝したシーザリオ。

母父は日本ダービー(GⅠ)などGⅠ4勝のスペシャルウィーク。母父としてはディアドラ、ジュンライトボルトなどを輩出している。

 

きょうだいには

  • エピファネイア(ジャパンカップ・GⅠなどGⅠ2勝)
  • リオンディーズ(朝日杯フューチュリティステークス・GⅠ)

がいる。

 

近親にはオーソリティ(アルゼンチン共和国杯/GⅡなど重賞4勝)など、他にもオープンクラスで活躍した馬が多数いる。

 

きょうだいはJRAでデビューしたほぼすべての産駒が勝ち上がり、しかもサートゥルナーリアを含め3頭がGⅠ馬になるなど、母・シーザリオの繁殖牝馬としての能力はかなり高い。近親は芝の中長距離で活躍するタイプが多く、スタミナを遺伝する能力が高い様だ。

 

現役時代の主な勝ち鞍
  • ホープフルステークス(GⅠ/2018)
  • 皐月賞(GⅠ/2019)
  • 神戸新聞杯(GⅡ/2019)
  • 金鯱賞(GⅡ/2020)

 

GⅠで優勝した距離は2000m、重賞は2000m~2400m。落ち着きがない気性でテンションが高く、2カ月以上間隔を空けると好走するが、間隔を詰めると凡走する。騎手は2000mがベストと言っていたが、気性に問題がなければもっと長い距離も好走していたと思われる。

 

産駒の傾向予想

 

母・シーザリオは現役時代も素晴らしい活躍をしたが、繁殖牝馬としても素晴らしくGⅠ馬を3頭も輩出した。牝系は芝の中長距離で活躍するタイプが多いため、サートゥルナーリアもその傾向を遺伝させるかが注目される。

馬場適正は芝ダート兼用だがどちらかというと芝の活躍馬が多くなりそうだ。きょうだいのエピファネイア産駒はほぼ芝、リオンディーズは芝ダート兼用だが活躍馬は芝が中心。キングカメハメハ系種牡馬は芝ダート兼用になることが多いためサートゥルナーリアも芝ダート兼用になりそうだが、母は遺伝力が強いシーザリオなので上級条件で活躍する産駒は芝が多くなりそうだ。

距離適性はマイルからクラシックが中心になりそうだ。馬体からすると父・ロードカナロアに似ている印象でどちらかというと短い距離が向きそうだが、血統や実績は中長距離向き。配合や気性によって距離適性が変わりそうで、配合牝馬が短距離だったり気性が前向きだとマイル前後、繁殖牝馬が長距離だったり気性がおっとりしていると中距離前後になりそうだ。

仕上がりは標準的だろう。きょうだいはほとんどが2歳にデビューできており、エピファネイア、リオンディーズの両産駒も仕上がりはおおむね標準的だ。血統的に成長力はありそう。

産駒の傾向としてはエピファネイアとリオンディーズの中間か、ややリオンディーズ寄りといった印象だ。エピファネイアは中長距離で芝向き、リオンディーズは短距離から中距離で芝ダート兼用。サートゥルナーリアは両種牡馬のきょうだいなので、両種牡馬と似た産駒が多くなりそうだ。クラシック向きの産駒が多くなりそうで、あとは気性がどれだけ遺伝するかが注目される。

 

 

 

 

 

ゴールドドリーム

血統

Northern Dancer  4 x 5  Special 4 x 5  Turn-to 5 x 5  Nijinsky 5 x 5

 

父はフェブラリーステークス(GⅠ)などGⅠ4勝のゴールドアリュール。産駒にはエスポワールシチー、コパノリッキーなどがいる。

母は中央でダート中距離4勝のモンヴェール。

母父は米国のダート重賞1勝のフレンチデピュティ。母父としてはショウナンパンドラ、マカヒキなどを輩出している。

 

近親には目立った活躍馬はいない。

 

5代母・SpecialはNureyevやFairy Bridge(Sadler's Wellsの母)として知られ、4代母・Numberはジェイドロバリーの母でもある。近親に活躍馬はいないが、ゴールドドリームは世界的名牝系の出身である。

 

現役時代の主な勝ち鞍
  • フェブラリーステークス(GⅠ/2017)
  • チャンピオンズカップ(GⅠ/2017)
  • かしわ記念(GⅠ/2018、2019)
  • 帝王賞(GⅠ/2018)
  • ユニコーンステークス(GⅢ/2016)

 

GⅠを優勝した距離はダート1600m~2000m。1600m~2000m以外に出走したことは無い。ダートで活躍した馬にしてはスタートが苦手で逃げたことが無く、惜敗が多い馬であった。

 

産駒の傾向予想


サンデーサイレンス系種牡馬は芝向きの産駒を多く輩出するが、父・ゴールドアリュールは異例でダート向きの産駒を多く輩出する。ゴールドアリュール系の種牡馬は何頭かいるが、産駒はやはり多くがダート適性をみせている。

馬場適正は完全にダート向きだろう。父・ゴールドアリュールの産駒は勝ち鞍の9割以上がダートだし、他のゴールドアリュール系種牡馬の産駒も同じ傾向だ。牝馬や2歳戦ではごく一部が芝で走るだろうが、基本的には勝ち鞍の9割以上がダートになりそうだ。

距離適性はマイルから中距離が中心だろう。きょうだいや近親の多くがマイルから中距離で活躍していたし、ゴールドドリームも現役時代は1600m~2000mで活躍した。牝系は米国のスピード血統が多いので短距離で走る産駒もいるだろうが、平均するとマイルから中距離が中心になりそうだ。

仕上がりは標準的だろう。きょうだいの多くは2歳でデビューできているし、ゴールドドリーム自身もデビューは2歳12月だった。2歳からガンガン走るかは微妙だが、3歳のダート三冠競走には十分間に合いそうだ。

産駒の傾向としては父・ゴールドアリュールや、同父系のエスポワールシチーやスマートファルコンと似たようなイメージだ。3歳ダート三冠が整備されたことでゴールドドリームにかかる期待は大きい。

 

 

モズアスコット

血統

Miswaki 4 x 3  Northern Dancer 4+5 x 5+5  Mr. Prospector 5 x 4

 

父はデビューから14戦無敗で21世紀最強馬とも称されるFrankel。産駒にはソウルスターリング、Alpinistaなど世界中に活躍馬がいる。

母は北米でダート重賞2勝のIndia。

母父は北米の2歳ダートGⅠを優勝したHennessy(ヘネシー)。

 

近親には

  • To Honor and Serve(ウッドワードステークス/米国GⅠなどGⅠ2勝)
  • Angela Renee(シャンデリアステークス/米国GⅠ)

などがいる。

 

血統は、父系にはSadler's Wells、Danehill、Blushing Groom、母系にはStorm Cat、Nijinskyがいるように、世界的な名血が凝縮されている。特にNorthern Dancer系が5代血統表内に4本も入っているため、そこが配合のポイントになるかもしれない。

 

現役時代の主な勝ち鞍
  • 安田記念(GⅠ/2018)
  • フェブラリーステークス(GⅠ/2020)
  • 根岸ステークス(GⅢ/2020)

 

GⅠの優勝距離は1600m、重賞は1400m。体質が弱くデビューは3歳6月の未勝利戦。初重賞制覇は4歳時の安田記念。その後は芝で勝ち切れないレースが続いたが、6歳になり初ダートに矛先を転じると根岸ステークス、フェブラリーステークスを制覇。芝ダートともに決め手が武器だった。

 

産駒の傾向予想

 

父・Frankelの種牡馬の特徴は、配合牝馬やその牝系の特徴を上手く引き出しやすく、言うなればサンデーサイレンスやキングカメハメハに似ている。モズアスコットは母・Indiaが米国ダート重賞2勝、母父はStorm Cat系のHennessyなので、筋肉が軟らかい若いうちは芝で活躍し、筋肉が硬くなる6歳になりダートで活躍したのだと思われる。そのため、モズアスコット産駒は母・Indiaやその牝系の特徴を遺伝しやすいと想定している。

馬場適正はダートが中心になりそうだ。上記の通り母・Indiaやその牝系の特徴を遺伝しやすいと思われるので、産駒はダート向きが多くなりそう。ただ、母父はStorm Cat系のHennessyで、Storm Cat系の特徴として若い2歳から3歳前半は芝で走り、3歳後半以降はダートに転向する馬が一定数いるため、芝がダメという訳でなさそうだ。

距離適性は短距離からマイルが中心で、配合次第で中距離までとなりそうだ。母父はStorm Cat系のHennessyで、Storm Cat系の特徴として日本では短距離からマイルを主戦場にするタイプが多い。そのため、モズアスコット産駒は基本的に短い距離を得意とし、配合牝馬がスタミナ血統だと中距離も守備範囲だろう。

仕上がりは早めになりそうだ。母・Indiaやその牝系の特徴通りだと2歳から走りそう。ただ、モズアスコット自身は体質が弱くデビューが遅れたため、それがどの程度遺伝するのかは蓋を開けてみないとわからない。

産駒の傾向としては母・Indiaや母父・Hennessyの影響が強く出そうだ。Hennessyはヨハネスブルグ、ヘニーヒューズの父なので、この2頭の産駒に似たタイプが多くなるのではないだろうか。

 

 

ナダル

血統

Mr. Prospector 4 x 4  Northern Dancer 5+5 x 5

 

父はBCクラシックなど北米ダートGⅠ3勝のBlame。産駒にはSenga(仏オークス)やランドネ(福島牝馬ステークス3着)などがいる。

母は北米未勝利のAscending Angel。

母父は北米ダート重賞2勝のPulpit。母父としてはミスエルテ、ミアネーロきょうだいなどを輩出している。

 

近親には目立った活躍馬はいない。

 

父・Blameの産駒は海外でも日本でも、芝馬ダート馬どちらも輩出している。ナダルは母父Pulpitなのでダートで走ったのだろうが、故障によりわずか4戦しか走っていないため実力が未知数なところがある。

 

現役時代の主な勝ち鞍
  • アーカンソーダービー(米GⅠ/2020)(分割競走2)

他重賞2勝

 

重賞で優勝した距離はダート7F~9F(約1400m~1800m)。故障によりデビューは3歳1月だったが、デビュー戦を勝利すると、2,3戦目で重賞制覇。4戦目のアーカンソーダービーを快勝しクラシックの有力候補となったが、故障により引退、社台スタリオンステーションにて種牡馬入りとなった。

 

産駒の傾向予想

 

ナダルは種牡馬用に体を作ったことで馬体重が約700㎏にもなるとのことで、脚が太く明らかにパワーがありそうだ。社台スタリオンステーションに種牡馬入りしたことで母父サンデー系の繁殖牝馬との配合も多いようなので、繁殖牝馬からどれだけスピードが遺伝するかで産駒の傾向が変わりそうだ。

馬場適正はダートが中心になりそうだ。雄大な馬体、太い脚、大きな筋肉からするとダート向きが多くなると考えるのは妥当だろう。ただ、父・Blameは芝ダート兼用で、5代血統表内に芝向きもいる、社台スタリオンステーションで種牡馬入りしたことで芝向きの繁殖牝馬も多いことなどを考えると、一定程度は芝向きの産駒も出てきそうだ。

距離適性は幅広そうだが、短すぎる距離は合わないかもしれない。5代血統表内にスピード血統が少なく、どちらかというとパワーやスタミナ色が濃い。ナダルの現役時代はアーカンソーダービーが一番強い内容で勝利していることから、産駒は短くてもマイルで長い方が良さそうだ。

仕上がりは標準的だろう。雄大な馬体、太い脚、大きな筋肉からすると2歳からバンバン走るとは考えにくく、標準位か少し遅めかもしれない。

産駒の傾向としては同じロベルト系のフリオーソに近いのではないか。フリオーソは中距離以上の乾いた馬場で強く、パワータイプ。ナダル産駒はフリオーソに近く、社台スタリオンステーションに繋養されているのでもう少し芝向きの産駒が出てくるかもしれない。

 

 

タワーオブロンドン

血統

Mr. Prospector 4 x 5  Northern Dancer 5 x 4

 

父はクイーンエリザベス2世ステークス(英GⅠ)などGⅠ2勝のRaven's Pass。

母はフランスで芝中距離2勝のスノーパイン。

母父は凱旋門賞(仏GⅠ)などGⅠ4勝のDalakhani。

 

近親は活躍馬がかなり多く

  • ディーマジェスティ(皐月賞/GⅠ)
  • オースミタイクーン(マイラーズカップ/GⅡなど重賞2勝)
  • オセアグレイト(ステイヤーズステークス/GⅡ)
  • ジェネラス(キングジョージ6世&クイーンエリザベスダイヤモンドステークス/英GⅠなどGⅠ4勝)
  • Imagine(英オークス/GⅠなどGⅠ2勝)

など、他にも重賞優勝馬が多数おり、しかも重賞では優勝できなかったが2,3着の馬も多数いる。

 

3代母・Doff the Derbyは繁殖牝馬としてかなり優秀で、上記の通り活躍馬を多く輩出している。一族は主に欧州で走っており、マイルから長距離を主戦場にする馬が多い。タワーオブロンドン自身は短距離で活躍したが牝系はスタミナがある。

 

現役時代の主な勝ち鞍
  • スプリンターズステークス(GⅠ/2019)
  • 京王杯2歳ステークス(GⅡ/2017)
  • 京王杯スプリングカップ(GⅡ/2019)
  • セントウルステークス(GⅡ/2019)
  • アーリントンカップ(GⅢ/2018)

 

すべて芝1600m以下に出走。GⅠはスプリンターズステークスのみだが、重賞では1200mから1600mまで勝ち鞍がある。折り合い重視で道中は中団から後方に位置し、上位の上がりを繰り出すのが勝利パターン。しかし1200mと1400mでレコードタイムで優勝しているようにスピードがある。道悪で優勝が無く、高松宮記念で大敗しているように道悪は苦手だったようだ。

 

産駒の傾向予想

 

父・Raven's Passは芝ダート両方でGⅠを優勝しており、産駒も芝ダートでGⅠ馬を輩出している。タワーオブロンドンは芝のレースしか出走していないが、雄大な馬体ということもありダートでも走る素養があったかもしれない。

馬場適正は芝ダート兼用だろう。タワーオブロンドン自身は芝のレースで活躍したし、牝系は芝の活躍馬が多いため芝向きの産駒が多く出てくるだろう。ただ、父Raven's Passは芝ダート兼用の種牡馬との評価だし、繁殖牝馬は非社台系が多いためダート向きの産駒もかなりの割合で出てきそうだ。大物は芝向きが多くなりそう。

距離適性は短い方が良さそうだ。タワーオブロンドンの牝系は芝中長距離の血統が多いが、タワーオブロンドン自身の馬体は短距離という感じなので基本的には短距離向きの産駒が多くなりそうだ。ただ、配合次第では中長距離向きの産駒も出てくるかもしれない。

仕上がりは標準的か、少し遅めだろう。タワーオブロンドン自身は2歳7月にデビューしたし、きょうだいも2歳でデビューできているため、産駒も早い時期からデビューできるだろう。ただ、タワーオブロンドン自身はGⅠ優勝が4歳後半だったし、牝系は成長力があるので産駒の本格化は3歳後半から4歳になってからだと思われる。

産駒の傾向としてはロードカナロア、アドマイヤムーン、キンシャサノキセキに近いと想定している。ロードカナロアは短距離向きが多く芝ダート兼用だが芝の大物が多い所、アドマイヤムーンは短距離からマイル向きの産駒が多い所、キンシャサノキセキは芝ダート兼用の短距離馬が多い所が似てきそうだ。日本は短距離向きの種牡馬が少ないので、早い時期に目立てば短距離向きの種牡馬として一定以上の地位を築くかもしれない。

 

 

 

 

 

フォーウィールドライブ

血統

Mr. Prospector 4+5

 

父は米国三冠など米国でGⅠ8勝のAmerican Pharoah。産駒にはカフェファラオ、ダノンファラオなどがいる。

母は北米で2勝のFunfair。

母父は米国の短距離ダートGⅠ1勝のMore Than Ready。母父としてはドゥレッツァ、ナックビーナスなどを輩出している。

 

近親にはFurthest Land(ブリーダーズカップダートマイル/米GⅠ)がいる程度。

 

現役時代の主な勝ち鞍
  • ブリーダーズカップジュベナイルターフスプリント(米GⅡ/2019)
  • フューチュリティステークス(米GⅢ/2019)

 

重賞で優勝した距離は芝5F~6F(約1000m~1200m)。2歳の8月に芝5.5Fのステークス戦でデビューするとレコードタイムで優勝。その勢いのままに2歳時は2つの重賞を優勝した。3歳になり一般競争で復帰するも12頭中7着に敗れそのまま引退した。

 

産駒の傾向予想

 

American Pharoahの産駒は米国ではちらほらと活躍馬が出ている程度だが、日本ではカフェファラオやダノンファラオが活躍したためか多くの産駒が輸入されている。フォーウィールドライブは待望の直系の種牡馬であり、ブリーダーズスタリオンステーションでの種牡馬入りながら多くの繁殖牝馬を集めており、今後の活躍が期待されている。

馬場適正はダートが中心になりそうだ。父・American Pharoahはアメリカで芝でもダートでもGⅠ馬を輩出しているが、アメリカでも日本でも牡馬はほぼダート一辺倒、牝馬は芝ダート兼用だがダート向きが多くなっている。これは父系のエンパイアメーカー系の傾向通りであり、フォーウィールドライブの産駒も牡馬はほぼダート向き、牝馬は芝ダート兼用だがダート向きが多くなりそうだ。

距離適性は短距離向きが中心になりそうだ。フォーウィールドライブの現役時代は短距離で活躍していたし、母も同様だ。馬体を見るといかにも短距離馬という感じなので、産駒も短距離が中心になりそうだ。

仕上がりは早そうだ。フォーウィールドライブ自身は2歳から能力全開だったし、血統的にも仕上がり早が多い。そのため、産駒も2歳の早い時期から活躍できそうだ。

産駒の傾向としてはサウスヴィグラスやヨハネスブルグに近いと想定している。どちらも仕上がり早で2歳から能力全開だったし、短距離向きの産駒が多い。フォーウィールドライブはこの2頭よりもさらにスピードタイプかもしれない。

 

 

ノーブルミッション

血統

Northern Dancer 3 x 4  Natalma 4 x 5+5  Buckpasser 5 x 5

 

父は英愛ダービーと"キングジョージ"を制したGalileo。英愛リーディングに12回も輝いた名種牡馬で、欧州を中心に数多くのGⅠ馬を輩出している。

母は英国で芝短距離リステッドを2勝したKind。

母父は英スプリントカップ(英GⅠ)を優勝したDanehill。母父としてはフェノーメノ、アスコリピチェーノなどを輩出している。

 

きょうだいには

  • Frankel(英2000ギニー/英GⅠなどGⅠ10勝)
  • Bullet Train(リングフィールドダービートライアルステークス/英GⅢ)

がいる。

 

14戦無敗の歴史的名馬・Frankelの全弟。Galileo×Danehillの黄金配合で、競争成績はFrankelの全弟としては物足りないが、それでもGⅠを3勝しているように一流馬である。

 

現役時代の主な勝ち鞍
  • タタソールズ金杯(愛GⅠ/2014)
  • サンクルー大賞(仏GⅠ/2014)
  • 英チャンピオンステークス(英GⅠ/2014)

他重賞3勝。

 

GⅠの優勝距離は芝約10F(2000m)~2400m。重賞もほぼ同じ。初勝利は3歳4月と遅く、3歳7月に重賞初制覇したがクラシックには縁が無かった。その後は勝ち負けを繰り返したが5歳になると本格化。重賞2連勝のあとGⅠを3勝するなど活躍した。5歳時に出走したレースはすべて道悪であり、7戦5勝、2着2回と好成績を収めた。

 

産駒の傾向予想

 

現役引退後はアメリカで種牡馬デビューし、産駒は世界中で重賞ウィナーを輩出しており、芝ダート、距離は短いと芝5.5F、長いと芝約3600mの勝ち鞍がある。日本にも中央では5頭がデビューし、1頭がダート2100mで未勝利戦を勝利している。基本的には芝中長距離が得意な産駒が多いようだ。

馬場適正は血統的にも実績的にも芝向きが多くなりそうだ。Galileo×Danehillの黄金配合、Frankelの全弟、現役時代は欧州の芝中長距離で活躍したことを考慮すると、芝向きが多くなると考えるのが妥当だ。しかし、このような欧州の本格的な血統というのは、日本の芝だとスピード不足になりダートに矛先を転じる産駒が一定以上いる。エリシオ、ケープブランコなどがまさにそうだ。もし日本の芝ではスピード不足で、パワーが勝るような産駒が多いようだとダートの割合が多くなりそうだ。

距離適性は血統的にも実績的にも長い方が良さそうだ。血統、現役時代の実績、種牡馬としての実績を考慮すると長距離向きと考えるのが妥当だ。しかし、このような欧州の本格的な血統というのは、力任せに短距離を走るタイプが一定割合出る。ワークフォース、エイシンフラッシュなどがまさにそうだ。そのような力任せに短距離を走るタイプは2勝クラスまでに頭打ちとなり、一気に距離延長して中長距離を勝利することもあるので注意したい。

仕上がりは遅めだろう。全兄・Frankelは2歳から活躍したが、それは例外と思っていいだろう。ノーブルミッション自身は本格化したのが5歳になってからなので、産駒も仕上がりは遅いだろう。

すでにデビューした産駒は世界中で、距離不問、馬場不問で活躍しているため日本生まれの産駒を予想するのは難しいところがある。ただ、スピードがある訳ではないし、日本ですでにデビューした産駒を参考にすると、上記のような予想になる。

産駒の傾向としては、同じ欧州の本格的な血統という括りだと、ワークフォース、エイシンフラッシュ、ケープブランコに近いと思われる。どの種牡馬の産駒も日本ではスピード不足のタイプが多く、あまりパッとしない。

 

 

ミスターメロディ

血統

Mr. Prospector 3+5  Northern Dancer 5 x 4

 

父はフロリダダービー(米GⅠ)など米国ダートGⅠを2勝のScat Daddy。産駒には米国三冠のJustify、日本で種牡馬入りしているカラヴァッジオなどがいる。

母・Trusty Ladyは不出走。

母父は米国でダートGⅠ2勝のDeputy Minister。母父としてはカネヒキリ、サングレーザーなどを輩出している。

 

3代母・Kool Arrivalは米国のダートGⅠを勝利しており、産駒にはダート重賞を6勝したクールアライヴァルがいる。2代母は米国の芝ダートで両方の重賞勝ちがある。

 

現役時代の主な勝ち鞍
  • 高松宮記念(GⅠ/2019)
  • ファルコンステークス(GⅢ/2018)

 

重賞で優勝した距離は芝1200m~1400m。デビューはダートで、ダート1300m~1400mを2勝したあと、芝のレースに矛先を転じファルコンステークス優勝。その後は芝で勝ち切れないレースが続いたが、4歳時に高松宮記念を優勝。その後は芝ダート両方で走り5歳まで現役を続けたが勝利は無かった。芝ダートともに馬場状態不問で勝利している。

 

産駒の傾向予想

 

基本的にStorm Cat系種牡馬は筋肉豊富でパワーに優れたタイプが多く、日本では産駒はダート向きになることが多い。ミスターメロディ自身はStorm Cat系の中ではそこまで筋肉が多い訳ではないが、それでもStorm Cat系と感じられる馬体をしている。

馬場適正は芝ダート兼用だが、基本的にはダート向きが多くなりそうだ。上記の通りStorm Cat系種牡馬は筋肉豊富でパワーに優れたタイプが多く、日本では産駒はダート向きになることが多い。ただ、ミスターメロディ自身は現役時代は芝で活躍するなどスピードが豊富なので、一定以上は芝向きが出てきそうだ。そのため、牡馬はStorm Cat系らしくダートが多くなり、牝馬は軽やかなスピードが遺伝され芝ダート兼用になりそうだ。ただ、Storm Cat系種牡馬の産駒は2,3歳頃は芝でも走るが、古馬になると筋肉が硬くなりダートを主戦場にする産駒が行って割合出てくるので注意したい。

距離適性は短い方がいいだろう。ミスターメロディ自身の現役時代は短距離で活躍したし、血統的にもスタミナの要素はかなり少ない。ダートは1800mを走る産駒が一定程度は出てくるだろうが、基本的には距離は短い方がいいだろう。

仕上がりは早そうだ。ミスターメロディ自身は2歳11月にデビューしレコードタイムで優勝したし、他のStorm Cat系種牡馬も仕上がりは早い。ミスターメロディ自身は4歳でGⅠを優勝したように成長力はあるだろうが、産駒は基本的には仕上がりは早そうだ。

産駒の傾向としては同じHennessyの系統のヘニーヒューズや、Scat Daddyを父に持つヨハネスブルグと似た感じになりそうだ。特にヨハネスブルグは芝ダート兼用だがダート向きが多く、短距離が得意で、仕上がりが早いことから、ヨハネスブルグにかなり似た傾向になりそうだ。

 

 

フィエールマン

血統

Northern Dancer 5 x 5

 

父は説明不要のスーパーサイアー・ディープインパクト。

母はイタリアの芝中距離GⅠを優勝したリュヌドール。

母父はフランス2000ギニーなどフランス芝GⅠ2勝のGreen Tune。

 

近親の活躍馬はフランスの重賞を制した馬が1頭いるのみ。

 

現役時代の主な勝ち鞍
  • 菊花賞(GⅠ/2018)
  • 天皇賞春(GⅠ/2019,2020)

 

GⅠで優勝した距離は芝3000m~3200m。重賞の連対の最短距離は1800m。すべて芝のレースに出走し、日本国内では11回出走し上がり最速は7回。日本国内のすべてのレースで掲示板を確保したように安定感がある。

 

産駒の傾向予想

 

ディープインパクト系種牡馬は種牡馬自身の牝系の特徴を遺伝させる傾向だ。例えば、キズナは母系がStorm Cat×Damascusなので先行力とパワー、ディープブリランテは母系が重めの血統なのでスタミナやジリっぽさ、そしてリアルインパクトは母系がスピード豊富なので短距離~マイルが得意、という具合だ。フィエールマンは母と2代母が欧州の芝中長距離重賞で好走していたため、スタミナが豊富なタイプだと思われる。

馬場適正は芝向きだろう。血統的にはダートの要素が全くないし、フィエールマン自身も現役時代はすべて芝のレースに出走した。きょうだいもほとんどが芝のレースで走っていることから、フィエールマン産駒も芝向きになりそうだ。もしかするとステイゴールドやハービンジャーくらいダートが空っ下手の可能性がある。

距離適性は長い方がいいだろう。上記の通りディープインパクト系種牡馬は種牡馬自身の牝系の特徴を遺伝させる傾向だ。フィエールマンは母と2代母が欧州の芝中長距離重賞で好走しているし、きょうだいもほとんどが中長距離で走っている。牝馬はマイル前後で活躍するタイプも一定程度は出てくるだろうが、基本的には距離は長い方が良さそうだ。

仕上がりは標準位か遅めだろう。フィエールマン自身は3歳1月にデビューし、GⅠ初制覇は菊花賞。他のきょうだいも2歳でデビューした馬もいるが、本格化するのは古馬になってからが多い。フィエールマン自身はは3~5歳にGⅠを制覇したことから、産駒は仕上がりが遅めで成長力があると思われる。

産駒の傾向としてはステイゴールドに似そうだ。ステイゴールド産駒はほとんどが芝向き、中長距離が得意、仕上がりは遅めで成長力がある傾向だ。フィエールマン自身は上がり最速を何度も記録していることから、ステイゴールドよりは決め手がある産駒が多くなるかもしれない。

 

 

ウインブライト

血統

ノーザンテースト 4 x 4  Nijinsky 5+5 

 

父は7歳に香港ヴァーズでGⅠ初勝利を挙げたステイゴールド。産駒にはオルフェーヴル、ゴールドシップなどがいる。

母は中央の芝短距離で3勝したサマーエタニティ。

母父は安田記念などGⅠ2勝のアドマイヤコジーン。母父としてはテイエムスパーダ、トゥラヴェスーラなどを輩出している。

 

近親の活躍馬はオープン競走を優勝した2頭がいる程度。

 

5代母・ミスブゼンの牝系からはそれなりに活躍馬が出ており、コスモドリーム(オークス・GⅠ/1988)、オースミシャダイ(阪神大賞・GⅡ/1990など重賞2勝)、ハクサンムーン(セントウルステークス・GⅡ/2013など重賞3勝)などがいる。

 

現役時代の主な勝ち鞍
  • クイーンエリザベス2世カップ(香港GⅠ/2019)
  • 香港カップ(香港GⅠ/2019)
  • スプリングステークス(GⅡ/2017)
  • 中山記念(GⅡ/2018、2019)
  • 福島記念(GⅢ/2017)
  • 中山金杯(GⅢ/2019)

 

重賞で優勝した距離は芝1800m~2000m。現役時代に出走したレースの馬場状態は稍重が1回あったただけで、他はすべて良馬場だった。小回りコースを得意としており、特に中山は10回出走し優勝5回、2着2回となっている。香港のシャティン競馬場も大得意としており、香港のレースは3回出走し優勝2回、2着1回とパーフェクト連対をしている。

 

産駒の傾向予想

 

ステイゴールドの後継種牡馬はすでに何頭か供用されていて、ドリームジャーニーとゴールドシップは芝向き、オルフェーヴルとナカヤマフェスタは芝ダート兼用だがどちらかというと芝向き、フェノーメノも芝ダート兼用だがどちらかというとダート向きとなっている。ステイゴールドらしくバラエティー豊富で、もはや何が出てくるのかは蓋を開けてみないと分からない。

馬場適正は芝向きが多くなると思われる。ウインブライト自身は芝で活躍したし、母やきょうだいも芝が中心。普通に考えればウインブライト産駒は芝が中心になると思われる。ただ、ステイゴールド系なので何が出てくるのかは蓋を開けてみないと分からないところがある。

距離適性はマイル~中距離前後だと思われる。ウインブライト自身は中距離で活躍したことと、ステイゴールド系ということもあり短すぎると厳しそうだ。あとはどれだけステイゴールドの血が騒ぎ長距離適性を伝えるかがポイントだ。

仕上がりは遅めだと思われる。ウインブライト自身は2歳6月にデビューしたが、本格化したのは3歳暮れ、もしくは5歳になってから。ノーザンテーストの4×4という血統もあるので、古馬になってから能力を発揮するタイプだと思われる。

産駒の傾向は何とも言えない。やはりステイゴールド系ということもあり、何が出てくるのかは蓋を開けてみないと分からない。ステイゴールドの後継種牡馬ではゴールドシップがおおかたの予想通りの産駒を出してるが、そのゴールドシップ産駒も短距離やダートを得意とするタイプがちらほら出ている。意外性のあるステイゴールドの後継種牡馬なので、じっくり観察して傾向を確認したいところだ。

 

 

アドマイヤマーズ

血統

Halo 3 x 5+5  Northern Dancer 4 x 5

 

父はマイルCS連覇など芝マイルから中距離GⅠ5勝のダイワメジャー。産駒にはレシステンシア、カレンブラックヒルなど他にも多くのGⅠ馬がいる。

母はフランスの芝マイル重賞を優勝したヴィアメディチ。

母父はエクリプスステークスなどイギリスの芝GⅠ2勝のMedicean。

 

近親には目立った活躍馬はいない。

 

現役時代の主な勝ち鞍
  • 朝日杯フューチュリティステークス(GⅠ/2018)
  • NHKマイルカップ(GⅠ/2019)
  • 香港マイル(香港GⅠ/2019)
  • デイリー杯2歳ステークス(GⅡ/2018)

 

重賞で優勝した距離はすべて芝1600m。スタート良く好位置につけて直線で抜け出すのが勝利パターン。2000mの皐月賞では直線で伸びきれず4着だったことから、あまり長い距離は不得意だと思われる。

 

産駒の傾向予想

 

ダイワメジャーの後継種牡馬のメインは今のところカレンブラックヒルである。カレンブラックヒル産駒の中央の勝ち鞍は、芝が2割、ダートが8割といったことろで、特に牡馬はダートしか走らない状態だ。ダイワメジャーらしいスピードは産駒に伝えているようだが、それよりもパワーが勝っている。アドマイヤマーズはカレンブラックヒルよりも血統的に芝の要素が強いので、産駒にそれがどう伝わるかがポイントだ。

馬場適正は芝ダート兼用だがどちらかというとダート向きが多くなりそうだ。アドマイヤマーズ自身は芝で活躍したし、血統的にも芝要素が強く普通に考えれば産駒も芝中心になりそうだ。ただ、カレンブラックヒル産駒はダートが中心であることと、産駒は少ないがコパノリチャードは牡馬はダート向き、牝馬は芝向きのタイプが多い。このことからダイワメジャーの後継種牡馬は、牡馬はダートが中心、牝馬は芝が中心になるのかもしれないため、アドマイヤマーズ産駒も芝ダート兼用だがダート向きが多くなるとの評価だ。

距離適性は長くても中距離までだろう。ダイワメジャーやその傾向種牡馬の距離適性を見ると、2200mを超えると成績が落ちる。もちろん長距離を得意とする産駒もいるが、上級条件で厳しくなる。ダイワメジャーの系統は短い距離が得意というよりも、長い距離が苦手なのかもしれない。

仕上がりは早そうだ。アドマイヤマーズ自身は2歳から能力全開で朝日杯FSを制したし、ダイワメジャーやその傾向種牡馬の産駒も仕上がりは早い。ただ、ダイワメジャーの母父であるノーザンテーストは成長力を伝える能力が高く、アドマイヤマーズ産駒もそれが遺伝されれば単なる早熟では終わらないだろう。

産駒の傾向としては父・ダイワメジャーと似るか、後継種牡馬であるカレンブラックヒルかコパノリチャードに似そうだ。おそらくカレンブラックヒルかコパノリチャードに似る確率が高そうで、そうなると牡馬は短距離から中距離のダート、牝馬は芝ダート兼用だがどちらかというと芝短距離~マイルが中心になりそうだ。

 

 

シスキン

血統

Sir Ivor 4+5  Mr. Prospector 5 x 5  Northern Dancer 5 x 5

 

父は米国短距離ダートGⅠを優勝したFirst Defence。産駒には米国中距離ダートGⅠを5勝したClose Hatchesなどがいる。

母はフランスで1勝のBird Flown。

母父はイギリスの短距離GⅠを3勝したOasis Dream。母父としては毎日杯を制したピースオブエイトを輩出している。

 

近親には上記のClose Hatchesの他に、Idiomatic(BCディスタフ/米GⅠなどGⅠ4勝)などがいる。

 

現役時代の主な勝ち鞍
  • フェニックスステークス(愛GⅠ/2019)
  • 愛2000ギニー(愛GⅠ/2020)

他重賞1勝

 

重賞の優勝距離は芝6F~8F(約1200m~1600m)。道中は中団から後方に待機し、最後の最後で決め手を繰り出すのが勝利パターン。良馬場、道悪ともにGⅠで優勝している。

 

産駒の傾向予想

 

シスキンは種付け初年度に転倒したらしく、初年度産駒はかなり少ない。しかし、2年目以降はそれなりの牝馬を集めているようで、2025年度以降に産駒が増えてきそうだ。

馬場適正は芝ダート兼用だろう。血統はダート向きだし馬体を見ると筋肉質だが、脚が細めで繋ぎもまあまあ長め。社台スタリオンステーションにて繋養されており社台系の繁殖牝馬に多く種付けされている。そのため、社台系繁殖の産駒や牝馬は芝向き、非社台系繁殖の産駒や牡馬はダート向きが多くなりそうだ。

距離適性は短い方が良さそうだ。血統的に短距離が多いし、シスキン自身も現役時代はマイルまでだった。長距離が得意とは考えにくい。

仕上がりは早そうだ。シスキン自身は2歳の5月にデビューし2歳GⅠを優勝したし、血統的にも早熟が多い。仕上がりが遅いとは考えにくい。

産駒の傾向としてはロードカナロア、キンシャサノキセキに近いのではないか。あとは、父系のFappianoの系統が強く遺伝されれば逃げると抜群に強い産駒が出てくるし、シスキン自身の現役時代の傾向が強く遺伝されてば決め手を使える産駒が出てきそうだ。

 

 

 

 

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