
2026年度にデビューする新種牡馬は例年と同程度の36頭となっている。注目馬は何頭かいるが、芝向きとしてはエフフォーリア、ダート向きとしてはチュウワウィザードだろう。他にも個性的なタイプが多い印象だ。
では、2026年度にデビューする新種牡馬から厳選した10頭を紹介するが、まずは前半として5頭を紹介する。
【目次】
エフフォーリア
血統

サンデーサイレンス 4 x 3 Hail to Reason 5 x 5
父はジャパンカップ(GⅠ)などGⅠ2勝の超良血馬・エピファネイア。産駒にはデアリングタクト、ダノンデサイルなどGⅠ馬が多くいる。
母は中央のダート中距離3勝のケイティーズハート。
母父は有馬記念(GⅠ)などGⅠ2勝のハーツクライ。母父としてはコスタノヴァ、ミュージアムマイルなど数多くの重賞馬を輩出している。
全妹にジョスラン(小倉牝馬ステークス/GⅢ)がいる。
近親には
- アドマイヤムーン(ジャパンカップ/GⅠなどGⅠ3勝)
- ヒシアマゾン(エリザベス女王杯/GⅠなどGⅠ2勝)
- スリープレスナイト(スプリンターズステークス/GⅠ)
などがおり、他にも重賞優勝馬が数多くいる。
3代母・Katiesからは上記のように数多くの活躍馬を輩出しており、日本でも有数の牝系となっている。この牝系の傾向は馬場や距離を問わないが、活躍馬は中長距離で活躍するタイプが目立つ。
現役時代の主な勝ち鞍
- 皐月賞(GⅠ/2021)
- 天皇賞秋(GⅠ/2021)
- 有馬記念(GⅠ/2021)
他重賞1勝
GⅠで優勝した距離は芝2000~2500m。デビューから有馬記念まで7戦連続連対をして年度代表馬に選出されたが、4歳以降は最高順位が5着と振るわず、5歳初戦の京都記念で心房細動による競争中止を経て引退した。
産駒の傾向予想

父・エピファネイアは芝向きの血統として知られており、後継種牡馬であるエフフォーリアがどの程度似ているかに注意したい。
馬場適正は芝向きが多くなりそうだ。エフフォーリア自身の現役時代はすべて芝で走ったこと、血統的にも芝向きが多いことから産駒も芝が中心になりそうだ。ただ、エフフォーリアは雄大な馬体をしているし、かなりスタミナが強化された血統なので一定程度はダートで走る産駒も出てきそうだ。全体的には芝が6~7割位、ダートが3~4割位で父のエピファネイアよりはダート向きが少し多くなると想定している。
距離適性はマイルから長距離が中心になりそうだ。エフフォーリアのきょうだいは意外とマイラーが多いため、産駒はマイルも対応できるだろう。ただ、エフフォーリアの現役時代や血統背景からすると距離は長い方が良いだろう。もしかすると父のエピファネイアよりも距離適性が長く出ることまであり得る。
仕上がりは平均的かやや遅めだろう。エフフォーリア自身は2歳8月にデビューしているし、きょうだいも2歳でデビューできているため、産駒も仕上がりは平均程度になると思われる。ただ、やはり血統的にかなり重いので本格化するのは3歳後半から4歳になってからだと思われる。
産駒の傾向としては父・エピファネイアと同じような感じか、やや"もっさり"しそうな印象がある。エフフォーリアは4歳以降に勝ち鞍を挙げられなかったため、産駒には成長力がどの程度遺伝されるかに注意したい。
チュウワウィザード
血統

Mr. Prospector 3 x 5 ノーザンテースト 4+5 Northern Dancer 5+5 x 5
父は説明不要のスーパーサイアーであるキングカメハメハ。産駒はロードカナロア、ホッコータルマエ、ドゥラメンテなど距離や馬場を問わず多くのGⅠ馬がいる。
母は中央中距離ダート3勝のチュウワブロッサム。
母父はマイルCS連覇など芝短距離GⅠ3勝のデュランダル。母父としてはブローザホーン、トーセンスーリヤなどを輩出している。
近親には
- ルヴァンスレーヴ(チャンピオンズカップ/GⅠなどGⅠ4勝)
- アイアンテーラー(クイーン賞/GⅢ)
などがいる。
この牝系の産駒のほとんどがダートで走っており、かなりダート向きの牝系となっている。チュウワウィザードがそのダート向きの傾向を産駒にどれだけ遺伝させるかに注視したい。
現役時代の主な勝ち鞍
- JBCクラシック(GⅠ/2019)
- 川崎記念(GⅠ/2020,2022)
- チャンピオンズカップ(GⅠ/2020)
他重賞3勝。
GⅠの優勝距離はダート1800m~2100m。重賞は1900m~2500m。良馬場でも道悪でも、そして中央でも地方でも強い内容で優勝したレースがあった。ペースが流れたりスタミナが問われる展開で強かった印象がある。
産駒の傾向予想

キングカメハメハの後継種牡馬はロードカナロア、ホッコータルマエ、ドゥラメンテなどがいるが、種牡馬の現役時代と同じような傾向の産駒が多くなる印象だ。
馬場適正は完全にダート向きだろう。チュウワウィザードはダートで活躍したことと、上記のようにキングカメハメハの後継種牡馬は現役時代と同じような傾向の産駒が多くなることがあるので、チュウワウィザード産駒はほぼほぼダートで活躍しそうだ。
距離適性は長い方が良さそうだ。キングカメハメハの後継種牡馬は現役時代と同じような傾向の産駒が多くなることがあるので、中長距離が得意だったチュウワウィザードの産駒は距離が長い方が良いだろう。
仕上がりは遅めだろう。チュウワウィザードのデビューは3歳2月だったし、本格化するのも遅く、しかも長く活躍した。産駒は3歳後半から4歳になってから本格化するタイプが多くなると想定している。
産駒の傾向としてはホッコータルマエに近いと想定している。ホッコータルマエは中長距離が得意で小回り適正が高い。もしかするとホッコータルマエよりも長い距離を得意とする可能性もある。
サリオス
血統

Northern Dancer 5 x 5
父は有馬記念であのディープインパクトを下したハーツクライ。産駒にはドウデュース、ジャスタウェイ、ノットゥルノなど数多くのGⅠ馬がいる。
母は独オークスを優勝したサロミナ。
母父はバーデン大賞などドイツでGⅠ3勝のLomitas。
きょうだいには
- 半姉・サラキア(府中牝馬ステークス/GⅡ)
- 全妹・サフィラ(阪神牝馬ステークス/GⅡ)
などがおり、他にもローズステークス2着のサリエラもいる。
きょうだいは勝ち上がり率が非常に高く、しかも2勝以上している馬が多い。また、きょうだいの勝ち鞍のほとんどが芝となっているように芝の一族でもある。
現役時代の主な勝ち鞍
- 朝日杯フューチュリティステークス(GⅠ/2019)
- 毎日王冠(GⅡ/2020,2022)
- サウジアラビアロイヤルカップ(GⅢ/2019)
すべて芝のレースに出走し重賞優勝距離は芝1600m~1800m。他に皐月賞とダービー2着がある。速めのペースで先行し抜け出すのが勝利パターン。時計が速いパンパンの良馬場や多少の道悪程度であれば好走したが、馬場が傷んでいたり時計が遅くなるようだと凡走していた。また、サウジアラビアロイヤルカップと2022年の毎日王冠でレコードタイムを出しているようにスピードがあった。
産駒の傾向予想

ハーツクライの後継種牡馬はジャスタウェイとスワーヴリチャードが供用されているが、ジャスタウェイは馬場も距離も不問、スワーヴリチャードは芝マイル~中距離が中心となっており、おおむね想像通りだ。
馬場適正は芝が中心だろう。ドイツ牝系にハーツクライという配合であるためダートでガンガン走るようには考えにくく、基本的には芝が中心だろう。ただ、かなり雄大な馬体をしているため配合牝馬によってはダートで走る産駒もちらほらと出てくることもあり得る。
距離適性はマイルから長距離が中心になりそうだ。サリオスの現役時代はマイルから中距離前後が中心で、しかもレコードタイムを2回更新するなどスピードがあった。そのため、牝馬はマイルから中距離前後が中心、牡馬はもう少し長めの距離を得意とする産駒が多くなると想定している。
仕上がりは標準位か少し遅めだろう。サリオス自身は2歳6月にデビューし朝日杯フューチュリティステークスを優勝するなど2歳から能力全開だったが、きょうだいは本格化するのが遅いタイプが多い。そのため、一部の産駒は2歳から走るだろうが、多くは3歳後半から4歳にかけて本格化するタイプが多くなると想定している。
産駒の傾向としては同じハーツクライ系種牡馬のスワーヴリチャードに近いと想定している。スワーヴリチャード産駒は芝向きでマイルから中長距離を中心に活躍している。サリオス産駒はもう少しスピードと決め手があるタイプが多くなるかもしれない。
ウィルテイクチャージ
血統

Fappiano 3 x 4
父はフロリダダービー(米GⅠ)など米ダート中距離GⅠ2勝のUnbridled's Song。産駒にはArrogate、ラヴェリータなどダートで活躍した馬が数多くいる。
母はスピンスターステークス(米GⅠ)など米ダートGⅠ3勝、重賞8勝のTake Charge Lady。
母父は米ホープフルステークス(米GⅠ)など米ダートGⅠ2勝のDehere(デヒア)。母父としてはグレイトパールなどを輩出している。
きょうだいには
- 半兄・Take Charge Indy(フロリダダービー/米GⅠ)
- 半妹・As Time Goes By(ビホルダーマイルステークス/米GⅠ)
など、他にも重賞好走馬が多くいる。
また、近親にも活躍馬が多く、日本ではストロングサウザーなどが活躍している。
現役時代の主な勝ち鞍
- トラヴァーズステークス(米GⅠ/2013)
- クラークハンデ(米GⅠ/2013)
他重賞2勝。
重賞で優勝した距離はダート8.5F~10F(約1700m~2000m)。道中は中団から後方に位置し直線で差し切るのが勝利パターン。Unbridled's Song産駒にしては珍しく揉まれても好走していた。
産駒の傾向予想

ウィルテイクチャージ産駒は日本供用前に5頭輸入されており、4頭が勝ち上がっている。勝ち鞍はすべてダート1400m~1800m。Unbridled系らしい印象だ。
馬場適正はダート向きだろう。Unbridled系種牡馬は日本で多く供用されているが、産駒のほとんどがダート向きとなっている。ウィルテイクチャージの現役時代もダートで活躍したことから、産駒のほとんどがダートだろう。芝向きは一部の牝馬にとどまると思われる。
距離適性は短距離~中距離が中心になりそうだ。ウィルテイクチャージの現役時代はダート約1700m~約2000mで活躍したが、血統的にはスピード系が多い。牝馬は短距離からマイルが中心、牡馬はマイルから中距離が中心になると想定している。
仕上がりは早めだろう。ウィルテイクチャージ自身は2歳8月にデビューしたし、きょうだいも2歳でデビューできているタイプが多い。血統的にも早熟だと思われる。
産駒の傾向としてはシニスターミニスターやダノンレジェンドに近いと想定している。両馬とも産駒のほとんどがダートで、距離も短距離から中距離が中心となっている。ウィルテイクチャージはもう少しスピードタイプかもしれない。また、日本供用前に輸入された産駒を参考にすると揉まれると脆いタイプが多くなるかもしれない。
ホットロッドチャーリー
血統

Deputy Minister 3 x 5 Mr. Prospector 5 x 5
父はプリークネスステークス(米GⅠ)を優勝したOxbow。産駒にはドバイゴールデンシャヒーンを優勝したTuzがいるくらい。
母は米国未勝利のIndian Miss。
母父はサンタアニタダービー(米GⅠ)を優勝したIndian Charlie。母父としてはJournalism、シヴァージなどを輩出している。
きょうだいには半兄にMitole(ブリーダーズカップスプリント/米GⅠなど米国GⅠ4勝)がいる。
現役時代の主な勝ち鞍
- ペンシルベニアダービー(米GⅠ/2021)
他重賞3勝。
重賞で優勝した距離はダート1800m~1900m。他にベルモントステークス(米GⅠ/ダート12F)で2着がある。逃げてそのまま押し切るのが勝利パターン。直線で一度抜かれても抜き返す勝負根性がある。また、ルイジアナダービーではレコードタイムで優勝したようにスピードがあった。
産駒の傾向予想

父系はDeputy Minister系で、日本ではクロフネとフレンチデピュティ親子やマインドユアビスケッツと同じ系統だ。おおまかにだがスピードに優れ芝ダート兼用になることが多い印象がある。
馬場適正は芝ダート兼用だがどちらかというとダートの方が中心になりそうだ。ホットロッドチャーリー自身の現役時代は2歳時に芝の未勝利戦に出走し敗れているが、スピードがあるため配合牝馬によっては芝も走れそうだ。ただ、基本的にダート向きが多くなりそうだ。勝ち鞍は芝が2~3割、ダートが7~8割位と想定している。
距離適性は短距離から中距離が中心になりそうだ。ホットロッドチャーリー自身の現役時代は中長距離で活躍していたが、ルイジアナダービーではレコードタイムで優勝したようにスピードもある。牝馬は短距離から1800mくらい、牡馬はマイルから中距離くらいが中心になると想定している。
仕上がりはどちらかというと早めだと思われる。ホットロッドチャーリー自身の現役時代は2歳時にブリーダーズカップジュベナイルで2着に入っているし、3歳のクラシックでも活躍したので仕上がりが遅いとは考えにくい。配合牝馬によっては成長力にも期待できる。
産駒の傾向としては同じ系統のマインドユアビスケッツに近いと想定している。マインドユアビスケッツは芝ダート兼用だがダートの方が勝ち鞍が多く、短距離から中距離を中心に活躍している。社台スタリオンステーションで繋養されているので、マインドユアビスケッツよりはもう少し芝向きの産駒が多くなるかもしれない。