
2026年度にデビューする新種牡馬は例年と同程度の36頭となっている。後半の5頭は個性派といった印象だが、マカヒキやカラヴァッジオなど活躍が期待できそうな種牡馬もいる。
では、2026年度にデビューする新種牡馬から厳選した10頭を紹介するが、今回は後半として残り5頭を紹介する。
【目次】
オメガパフューム
血統

Northern Dancer 5 x 5+5 Hail to Reason 5+5
父はメトロポリタンハンデキャップ(米GⅠ)など米国でGⅠ2勝のスウェプトオーヴァーボード。産駒にはレッドファルクス、パドトロワなどがいる。
母は中央でダート中距離3勝のオメガフレグランス。
母父はフェブラリーステークス(GⅠ)などGⅠ4勝のゴールドアリュール。母父としてはアンモシエラ、ラムジェットなどを輩出している。
きょうだいには半弟にホウオウルーレット(浦和記念/GⅡなど重賞2勝)がいる。
近親にはエテルナミノル(愛知杯/GⅢ)がいるほか、オープン競争を優勝した馬が数頭いる。
2代母のビューティーメイクは新潟記念で3着に入り、芝2400m~2500mで6勝するなどスタミナがあった。オメガパフュームはスウェプトオーヴァーボード産駒ながら中長距離で活躍できたのは2代母からの遺伝だろう。
現役時代の主な勝ち鞍
- 東京大賞典(GⅠ/2018から4連覇)
- 帝王賞(GⅠ/2019)
- シリウスステークス(GⅢ/2018)
- 平安ステークス(GⅢ/2020)
- アンタレスステークス(GⅢ/2022)
重賞で優勝した距離はダート1800m~2000m。3歳と4歳の時にダート1600mに1回ずつ出走しているが、他はすべてダート1800m~2100mに出走している。スタートはゆっくり出て道中は中団から後方を追走し、直線で決め手を使うのが勝利パターンだった。
産駒の傾向予想

スウェプトオーヴァーボードの後継種牡馬はレッドファルクス、パドトロワがすでに活躍しているが、いずれも芝ダート兼用で短距離が中心となっている。ただ、オメガパフュームはスウェプトオーヴァーボードっぽさが無い印象がある。
馬場適正はダートが中心だろう。オメガパフューム自身の現役時代はすべてダートのレースに出走していたし、きょうだいもダートの活躍馬が多い。血統的にも母父ゴールドアリュール、2代母の父リアルシャダイとなっているため、産駒はほとんどがダート向きだろう。
距離適性は長い方が良さそうだ。オメガパフュームの現役時代はダート1600mでは短い印象だったし、砂が深くてスタミナが要求される地方のコースが得意だった。配合牝馬によっては短い距離を得意とするタイプも出てくるかもしれないが、基本的には長い距離を得意とする産駒が多くなりそうだ。
仕上がりは遅めだろう。オメガパフューム自身のデビューは3歳になってからだったし、きょうだいもほとんどが3歳でデビューしている。本格化したのは3歳後半から4歳にかけてからだったこともあり、産駒も仕上がりが遅いタイプが多くなりそうだ。
産駒の傾向としてはホッコータルマエやルヴァンスレーヴに近いと想定している。2頭ともダート向きのパワー系で中長距離を得意としている。もしかするとオメガパフュームは長い距離が得意な産駒がもう少し多くなるかもしれない。
マカヒキ
血統

Halo 3 x 5 Northern Dancer 5 x 5
父は説明不要のスーパーサイアーであるディープインパクト。産駒にはジェンティルドンナ、キズナなど数多くのGⅠ馬がいる。
母は中央でダート短距離1勝のウィキウィキ。
母父は米国ダートマイル重賞1勝のフレンチデピュティ。母父としてはショウナンパンドラ、ゴールドドリームなど数多くのGⅠ馬がいる。
きょうだいには全姉にウリウリ(CBC賞/GⅢなど重賞2勝)がいる他、全弟に六甲ステークスを優勝したウーリリがいる。
近親にはダイヤモンドノット(京王杯2歳ステークス/GⅡ)がいる。
牝系は近年活躍馬が多く出るようになってきており勢いがある。
現役時代の主な勝ち鞍
- 日本ダービー(GⅠ/2016)
- 弥生賞(GⅡ/2016)
- ニエル賞(GⅡ/2016)
- 京都大賞典(GⅡ/2021)
デビューからすべて芝のレースに出走し、重賞で優勝した距離は芝2000m~2400m。道中は後方に位置し直線で決め手を使うのが勝利パターン。3歳まではキレキレの決め手を使っていたが、4歳以降は道悪や上がりが遅くなるレース展開で好走していた。3歳時のニエル賞以降は中々勝利を挙げられていなかったが、2021年に京都大賞典で5年ぶりに優勝した。
産駒の傾向予想

ディープインパクト系種牡馬は牝系の特徴を産駒に伝えることが多い。例えばキズナは母系がStorm Cat×Damascusなので先行力とパワー、ディープブリランテは母系が重めの欧州血統なのでスタミナやジリっぽさ、リアルインパクトは母系がスピード豊富なので短距離からマイル前後のスピード、という具合だ。
馬場適正は芝ダート兼用だがどちらかというと芝の方が多くなりそうだ。マカヒキの現役時代はすべて芝のレースに出走したこと、父がディープインパクトということもあり産駒の勝ち鞍は芝の方が多くなりそうだ。ただ、母はダートで勝利を挙げているし、きょうだいもディープインパクト産駒ながらダートを走る馬もいる。マカヒキは500kgを超える馬体ということもあり、産駒はダートを走る馬も多く出てきそうだ。割合としては芝が6~7割位、ダートが3~4割位と想定している。
距離適性は短距離から中距離が中心になりそうだ。マカヒキの現役時代は芝の中長距離で活躍していたが、きょうだいのほとんどが短距離からマイル前後を中心に走っている。母は短距離で勝利しているので、産駒は短距離から配合次第で中距離が多くなると想定している。
仕上がりは遅めだと思われる。マカヒキ自身は2歳でデビューしクラシックでも活躍したが、きょうだいはデビューが遅いタイプがほとんどだ。産駒は2歳からガンガンと走るタイプではないと想定している。
産駒の傾向としては同じディープインパクト系種牡馬のエイシンヒカリに近いか、もう少し長い距離が得意と想定している。エイシンヒカリは芝ダート兼用で短距離から中距離を得意としているが、マカヒキ産駒はもう少しダートの勝ち鞍が多く、距離も長めが多くなると思われる。
ステルヴィオ
血統

Northern Dancer 5 x 4
父は香港スプリント(香港GⅠ)2連覇などスプリントとマイルGⅠを6勝したロードカナロア。産駒にはアーモンドアイ、サートゥルナーリアなど多くのGⅠ馬がいる。
母は中央の芝マイル前後を4勝したラルケット。
母父は中山で行われたジャパンカップ(GⅠ)など欧州を中心にGⅠ8勝したファルブラヴ。母父としてはハープスターなどを輩出している。
きょうだいには全妹にNHKマイルカップ2着やオープン競争2勝などのウンブライルがいる。
近親には活躍馬が少ないが、5代母はあのシンボリルドルフの母であるスイートルナである。
現役時代の主な勝ち鞍
- マイルチャンピオンシップ(GⅠ/2018)
- スプリングステークス(GⅡ/2018)
デビューから1レースを除いてすべて芝のレースに出走し、重賞で優勝した距離は芝1600m~1800m。道中は中団に位置し直線で抜け出すのが勝利パターン。時計が速いパンパンの良馬場では凡走することが多かったが、道悪だったり渋った馬場では活躍した。
産駒の傾向予想

ロードカナロアの後継種牡馬としてはサートゥルナーリア、ダノンスマッシュが供用されており、サートゥルナーリアは成功といっていい成績を残しているが、ダノンスマッシュは微妙な成績となっている。ロードカナロアの能力を孫の代まで遺伝させている印象は無い。
馬場適正は芝向きが多くなりそうだ。ステルヴィオ自身の現役時代は芝のレースが中心でダートはいまいちだった。また、母やきょうだいは芝で活躍したタイプが多いことから産駒も芝が中心になりそうだ。ただ、ステルヴィオ自身の現役後半は500㎏を超える雄大な馬体だったこと、アロースタッドで繋養されていることからダート向きのタイプも一定程度は出てきそうだ。
距離適性は短い方がいいだろう。ステルヴィオ自身は胴と繋が短くいかにも短距離馬という馬体をしている。また、母やきょうだいもマイル前後を主戦場にしているため産駒もマイル以下が中心だろう。
仕上がりは早めだろう。ステルヴィオ自身は新馬戦が始まった週に勝ち上がり2歳から能力全開だったし、きょうだいも2歳の早い時期にデビューできている。配合にもよるが産駒の仕上がりが遅いとは考えにくい。
産駒の傾向としては同じロードカナロアの後継種牡馬であるダノンスマッシュに近い印象だ。ダノンスマッシュは配合次第では中距離も走れるが、ステルヴィオは血統的にも距離適性はもう少し短くなるかもしれない。
ジャンダルム
血統

Northern Dancer 4 x 4 Hail to Reason 5 x 4 Nearctic 5 x 5+5
父は米国で芝中長距離GⅠを2勝したKitten's Joy。産駒にはステファニーズキトゥン、ホークビルなど米国を中心に芝の活躍馬を多く輩出している。
母はスプリンターズステークス(GⅠ)などスプリントGⅠ2勝のビリーブ。
母父は説明不要のスーパーサイアー・サンデーサイレンス。母父としてはアーモンドアイ、ドゥラメンテなど数多くのGⅠ馬を輩出している。
きょうだいには、半兄に芝ダートの短距離オープン競争を3勝したファリダット、半姉に芝の短距離オープン競争を2勝したフィドゥーシアがいる。
3代母・Great Lady M.の産駒には、米国の年度代表馬にも選出され「鉄の女」との異名を持つLady's Secretがいる。
2025年、繁殖シーズン3年目が始まった2月24日に左トモ脚の大腿骨骨折により安楽死となった。産駒は2023年産と24年産がほとんどで、25年産は数頭しかいない。
現役時代の主な勝ち鞍
- スプリンターズステークス(GⅠ/2022)
- デイリー杯2歳ステークス(GⅡ/2017)
- オーシャンステークス(GⅢ/2022)
すべて芝のレースに出走し重賞で優勝した距離は芝1200m~1600m。スタート良く上手く先行し直線で抜け出すのが勝利パターン。難しい馬でスタートが決まれば好走するが、スタートで失敗すると大敗する極端なタイプだった。
産駒の傾向予想

父・Kitten's Joyは米国種牡馬にしては珍しく産駒は芝馬が多いタイプ。母・ビリーヴはいろんなタイプの種牡馬を付けられても産駒は短距離馬になることがほとんどだ。
馬場適正は芝向きが多くなりそうだ。ジャンダルムの現役時代はすべて芝のレースに出走したし、父・Kitten's Joyは芝向きの産駒を輩出することが多い。そのため、ジャンダルムの産駒は芝馬が多くなりそうだ。ただ、きょうだいはダートで走るタイプもいて、しかもジャンダルムは500㎏を超える雄大な馬体をしていたこともあり産駒は一定程度ダート向きが出てきそうだ。割合としては芝が7~8割位、ダートが2~3割位と想定している。
距離適性は短い方がいいだろう。母・ビリーヴはどんな種牡馬を付けられても産駒は短距離馬になる。遺伝が相当に強いと思われるので、ジャンダルム産駒も短い距離が中心になりそうだ。
仕上がりは難しいが、早い時期にデビューはできるが成長力もありそうだ。ジャンダルムやきょうだいは2歳にデビューして早い時期に初勝利を挙げていて、ジャンダルムは2歳重賞を優勝している。ただ、ジャンダルムやきょうだいは古馬になってからも成長し、ジャンダルムは7歳でスプリンターズステークスを優勝した。産駒も早い時期にデビューし、本格化は古馬になってからというタイプが多くなると想定している。
産駒の傾向としてはアドマイヤムーンに近いと想定している。アドマイヤムーンは芝短距離が中心で、配合によってはダートや中長距離で走るタイプもいる。ジャンダルムはアドマイヤムーンよりももう少し長い距離が得意かもしれない。
カラヴァッジオ
血統

父はフロリダダービー(米国GⅠ)など米国ダートGⅠ2勝のScat Daddy。産駒にはJustify、ミスターメロディなど世界中で活躍馬を多く輩出している。
母は米国で3勝したMekko Hokte。
母父は米国ダート中長距離GⅠを5勝したHoly Bull。
きょうだいには半姉に米国ダート重賞1勝のMy Jenがいる。
現役時代の主な勝ち鞍
- フェニックスステークス(愛GⅠ/2016)
- コモンウェルスカップ(英GⅠ/2017)
他重賞3勝。
デビュー戦こそオールウェザーだったが、2戦目からはすべて芝のレースに出走し重賞で優勝した距離は芝5F~6F(約1000m~1200m)。良馬場でも重馬場でも走り、しかも優勝するときは後続に差をつけ快勝している。
産駒の傾向予想

カラヴァッジオは日本輸入前に海外ですでに種牡馬として供用されており、アイルランド、アメリカ、そしてオーストラリアで種付け実績がある。日本供用前に10頭以上輸入されていて、それが参考になりそうだ。
馬場適正は芝ダート兼用だろう。輸入された産駒の傾向だと4頭が勝ち上がり、芝が7勝、ダートが2勝。ただ、阪急杯を優勝したアグリが1頭で芝で5勝していることから、全体的には芝ダート半々か、やや芝向きが多いくらい。日本供用後はサンデー系の血が入った肌馬が多いと予想されることから、産駒は芝ダート兼用だが芝向きが多少は多くなりそうだ。割合は芝が6~7割位、ダートが3~4割位と想定している。
距離適性は短い方が良さそうだ。輸入された産駒の傾向だと平均勝利距離が1300m台、勝利を挙げた一番長い距離は1600mとなっている。中長距離をバンバン走る産駒が多く出るとは考えにくく、基本的にはマイル以下だろう。
仕上がりは早めだろう。輸入された産駒の傾向だと2歳の新馬戦でデビューできているタイプが多く、しかも6,7月にデビューできているタイプもいる。そのため、仕上がりが遅いとは考えにくい。
産駒の傾向としてはミッキーアイルやキンシャサノキセキに近いと想定している。両馬とも芝ダート兼用で短距離が中心となっている。カラヴァッジオの方がもっとスピード寄りになることもあり得る。
ただ、輸入された産駒の傾向だと気性面が難しいらしく、スタートが苦手なタイプが多い。短距離向き種牡馬としては致命的な欠点で、日本供用後の産駒がどうなるのかは注意したい。
オジュウチョウサン
血統

Hail to Reason 4 x 5
父は香港ヴァーズ(GⅠ)を優勝し、国内では重賞で2,3着が非常に多かったステイゴールド。産駒にはオルフェーヴルやゴールドシップなどGⅠ馬が多くいる。
母・シャドウシルエットは不出走。
母父は有馬記念(GⅠ)2連覇などGⅠ4勝のシンボリクリスエス。母父としてはレイデオロ、アルクトスなど重賞優勝馬を数多く輩出している。
きょうだいには全兄にラジオNIKKEI賞(GⅢ)を優勝したケイアイチョウサンがいる。また、全弟に障害オープンを2勝したコウキチョウサンもいる。
近親には
- アルアラン(オグリキャップ記念/GⅡなど重賞2勝)
- ユーワフォルテ(新潟大賞典/GⅢ)
- メトロノース(北海道2歳優駿/GⅢ)
などがいる。
現役時代の主な勝ち鞍
- 中山グランドジャンプ(JGⅠ/2016,2017,2018,2019,2020,2022)
- 中山大障害(JGⅠ/2016,2017,2021)
他障害重賞6勝。
デビューから2戦連続で芝のレースで大敗すると、3歳11月から障害に転向。転向当初は勝ち負けを繰り返していたが、5歳時の中山グランドジャンプで優勝すると本格化。障害GⅠ5連勝、同一重賞5連覇など多くの伝説を残した。また、7歳時には再度平地のレースに出走し2連勝、有馬記念では9着であるものの勝ち馬のブラストワンピースからは0.8秒差であった。
産駒の傾向予想

本来は5頭の種牡馬を紹介する予定だったが、注目度の高いオジュウチョウサンも紹介することにした。ステイゴールド系種牡馬は意外性があるタイプが多いので、オジュウチョウサンの産駒は数少ないながらも大物が出てくることもあり得る。
馬場適正は芝向きが中心だろう。きょうだいはほとんどがステイゴールドかオルフェーヴルの産駒だが、すべてが芝馬となっている。ダートが空っ下手なステイゴールドの血を強く遺伝させるようであれば、オジュウチョウサン産駒も芝向きが多くなりそうだ。ただ、オジュウチョウサンの現役時代は500㎏を超える雄大な馬体をしていたことから、一定程度はダート向きが出てきそうだ。
距離適性は長距離が中心だろう。全兄・ケイアイチョウサンこそ2000m前後を主戦場としていたが、他のきょうだいは2000mでも短いようなタイプがほとんど。オジュウチョウサンの現役時代も障害競走や平地長距離を得意としていたため、産駒も長距離が中心だろう。
仕上がりは遅いだろう。オジュウチョウサンの現役時代は本格化したのが5歳になってからで、最後の重賞優勝は11歳。きょうだいも長く活躍するタイプが多いことから、オジュウチョウサン産駒は晩成型だろう。もしかするとデビューが3歳後半や4歳になってからということもあり得る。
産駒の傾向としては……同じ父系のゴールドシップに近いかもしれない。ゴールドシップよりも距離適性は長そうだ。また、平地ではさっぱり走らないが障害競走では走る産駒が出てくる可能性もある。