トラックバイアス&血統研究

トラックバイアス(馬場のクセ)と血統を研究

JRA全10場 芝コースの排水性ランキング

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競馬の予想をするうえで欠かせないのが"馬場状態"。芝の良馬場ならディープインパクトなどのサンデーサイレンス系、重馬場ならハービンジャーなどのノーザンダンサー系が好走するといったようなセオリーを持っている人も多いはずだ。

金曜夜の馬場状態は"重"でも、土曜朝には"良"に回復したりして、前日の予想がすべてやり直すなんてこともあるかもしれない。

そこで、JRA全10場の芝コースの排水性ランキングを作成した。

 

【目次】

 

 

 

 

競馬場の排水性とは?

競馬場によって馬場の構造が違う。表層の芝は野芝のみ、野芝と洋芝のオーバーシード、洋芝のみといったものがあり、しかも季節によっても違う。その下の路盤に使われている砂や土壌改良材も異なるため、各競馬場によって排水性に差が出てくる。

特に排水性への影響が大きいのが「暗渠管(あんきょかん)」または「暗渠排水材(あんきょはいすいざい)」だ。これをコースの下に入れることで排水性が抜群に良くなる。

今回のランキングは、暗渠管の有無がポイントとなる。

 

 

1位 新潟競馬場

上記で暗渠管の有無がポイントと書いたが、新潟競馬場は暗渠管が入っていない

ではなぜ1位にしたかというと、暗渠管を設置しなくてもいいほど排水性が良いからだ。

新潟市は砂の街と言われているように新潟砂丘がある。その上に現地の砂を路盤に用いて競馬場が作られたため、他のどの競馬場よりも排水性が良くなっている。

特に顕著だったのが2014年9月13日と14日である。13日のレース中にスコールのような大雨が降り、一気に不良馬場になった。しかし、翌14日の9R以降は良に回復していた。

気温が低い春開催は水分が抜けにくくなることもあるが、夏開催は多少の雨でもすぐに良に回復するほど排水性が抜群である。

 

2位 京都競馬場

京都競馬場は通称「淀競馬場」と言われるように元々湿地帯の上に作られたため、その名残としてコースの中央に池が残っている。

そういったことから昔は水はけが悪かったため、1994年の改修時にコース全周に20mピッチで暗渠管を設置し、排水性が抜群に良くなった。

特に顕著だったのが、2017年5月13日と14日である。13日は朝から雨が降り終日不良馬場。しかし雨が止むと翌14日は徐々に排水され、8R以降はやや重まで回復した。

2017年10月22日、キセキが優勝した菊花賞(GⅠ)の日は大量に雨が降りすぎて排水が追いつかなかったが、基本的に排水性は抜群である。

 

3位 小倉競馬場

小倉競馬場は中央全10場の中で最も南に位置する競馬場である。

スコールのような雨も多く、7月の平均降水量は東京が153.5mmに対し、北九州市八幡は299.9mmとなっている。

そういったことからスコールに対応するため、コース全周に10mピッチで暗渠管が設置された。

小倉は7月後半~9月前半の台風が多い時期に開催されるが、ここ10年で不良馬場になったのはたった3日だけである。

排水性が抜群で、しかも近年は通常の野芝と比べて耐久性が高いエクイターフが多く使用されているため、夏開催の終盤でも馬場が荒れにくくなった。

 

 

 

4位 東京競馬場

東京競馬場はコース全周に10mピッチで暗渠管が設置されている。

しかし、路盤の下に単粒砕石が敷かれていないため、京都や小倉と比べると排水性は高くない。

それでも排水性は良く、2019年6月15日は芝コースでも水が浮くほどの不良馬場だったが、翌16日の10Rにはやや重まで回復していた。

 

余談だが、東京競馬場は大雨が降ったあと数日晴れが続くと、馬場が硬くなり超高速馬場になることがある。これは、路盤に使われている山砂が原因のひとつだ。東京で使用されている山砂は水はけが良く保湿性も高いが、乾く過程で締まって固まる性質がある。

2018年11月25日のジャパンカップ(GⅠ)では、アーモンドアイが2分20秒6の超絶レコードが記録したが、この日まで2週間近く雨が降らなかった。

こういった事態にならないためにはかなりこまめに散水をしなければいけないが、散水量にも限度があるらしい。

他にも、馬場が乾く過程で内が伸びる傾向があるなど、東京競馬場は最も天気に注意が必要な競馬場のひとつである。

 

5位 札幌競馬場

札幌競馬場も暗渠管が設置されているが柵下のみとなっている。

路盤には排水性の高い山砂が使用されその下に単粒砕石が敷かれているが、暗渠管の効果が限定的なため5位とした。

札幌は1990年に芝コースが運用されてから一度も不良馬場になっていないが、それは降水量が少ないからだと思われる。

8月の平均降水量は123.8mm。同時期に開催される新潟は140.6mm、小倉(北九州市八幡)は168.5mmとなっている。梅雨もなく全10場の中で一番北に位置しており、降水量が少ないためそもそも馬場が悪化しにくい。

 

6位 中山競馬場

中山競馬場は全10場の中でも一番排水性が悪かったが、2014年に全面的に馬場を改修したため排水性が抜群に良くなった。

主な内容は、

  • コース全周の内側に単粒砕石を入れた
  • コースの一部(特に水はけが悪いゴール前、外回り等)に暗渠管の設置

である。

その結果、馬場改修以降は一度も不良馬場になっていない。(2019年9月末現在)

以前は皐月賞(GⅠ)の頃になると馬場が悪化し、内ラチ沿いの芝が剥げて見た目が悪くなっていた。しかし、近年は排水性が良くなった影響で、馬場が回復し芝が生育して内から伸びることもある。

 

 

 

7位 中京競馬場

中京競馬場は、2012年に全面改修された当初は全10場の中でも1,2を争うほど排水性が悪く、馬場に水分を多量に含んで馬場が柔らかくなり、外差しがバンバン決まることもあった。

そのため、2016年に2回に分けて、特に水はけが悪かった3~4コーナーに暗渠管を設置

その結果、以前よりは排水性が高くなり、3~4コーナーの内ラチ沿いが荒れにくくなったように感じる……

 

8位 函館競馬場

ここから下位3場は暗渠管が設置されていない

函館競馬場は元々野芝のみでレースが行われていたが、1994年の全面改修で洋芝のみとなった。

それに伴い、路盤を札幌競馬場と同様に改修したが、札幌は水はけが良かったことから函館は暗渠管なしでも排水性が見込まれると判断されたようで、暗渠管の設置が見送られた。

過去10年で不良馬場になったのは1度(2013年8月31日、9月1日)しかないが、それは元々降水量が少ないためだろう。(2019年7月末現在)

基本的に排水性はそれほど高くない。

 

9位 阪神競馬場

阪神競馬場も暗渠管が設置されていない

路盤は山砂、有機堆肥、単粒砕石で構成されているが、それでも排水性が低い。

しかも、開催日程が過密なため芝の状態が悪くなりやすい。1回開催は2月末~4月中旬、2回は6月、3回は9月~10月初旬、4回は12月。

一番間隔が長いのは2回と3回の間で約10週ほど。その間に芝を張替えなければいけないため、良好な状態を保つのが難しい。

中央4場の中では圧倒的に排水性が悪く、良好な馬場状態が少ない競馬場である。

 

 

10位 福島競馬場

福島競馬場も暗渠管が設置されていない

路盤は山砂、バーク堆肥、単粒砕石で構成されているが、それでも排水性が低い。

ではなぜ最下位にしたかというと、エクイターフを導入しているにも関わらず馬場が傷みやすいからだ。

エクイターフは野芝の中で最も耐久性が高い芝で、福島はコースのほとんどにエクイターフが導入されている。

しかし、少しでも雨が降ったり、春や秋の時期のレースでは芝が傷みやすい。

阪神競馬場とは僅差だと思うが、開催が少ないにも関わらずこれだけ馬場が傷みやすいのは、福島の方が排水性が悪いからだろう。

 

まとめ

ここまでJRA全10場の芝コースの排水性ランキングを紹介した。

排水性の根拠は路盤の構成と暗渠管の有無である

排水性が良い山砂を使用し、その下に単粒砕石を敷き、さらに暗渠管を設置することで排水性が高くなる。

今回は路盤の構成と暗渠管の有無でなるべく客観的な視点で書いたが、あくまで個人的見解である。ご留意いただきたい。

 

 

 

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