トラックバイアス&血統研究

トラックバイアス(馬場のクセ)と血統を研究

【ルーラーシップ】種牡馬の特徴 牡馬優勢の長距離血統で晩成傾向(2020,6,20更新)

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出遅れ癖がありながらも、直線一気の豪脚で掲示板をほとんど外さなかったルーラーシップ。国内のG1ではあと一歩届かないレースを続けていたが、香港のクイーンエリザベス2世カップ(GⅠ)では圧倒的な強さを見せ、初GⅠ制覇を海外で成し遂げた。2012年の有馬記念3着後に引退、種牡馬入りし、産駒は2016年からデビューしている。

ここでは、ルーラーシップ産駒の特徴を紹介する。

 

 

【目次】

 

 

血統

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Northern Dancer 5+5 × 4

 

父は日本ダービー(GⅠ)などGⅠ・2勝、重賞4勝し、種牡馬として数多くの活躍馬を送り出しているキングカメハメハ。

母は天皇賞・秋(GⅠ)などGⅠ・2勝、重賞7勝の名牝・エアグルーヴ。

母父は御三家と言われるトニービン。

母の母はオークス(GⅠ)を優勝し、繁殖牝馬として日本でもトップクラスの牝系を築いているダイナカール。

 

半姉にエリザベス女王杯(GⅠ)2勝など重賞5勝のアドマイヤグルーヴ。

半兄に種牡馬入りしたザサンデーフサイチ。

半兄にステイヤーズステークス(GⅡ)など重賞2勝のフォゲッタブル。

半妹にマーメイドステークス(GⅢ)優勝のグルヴェイグ。

 

近親の一部には

  • アドマイヤグルーヴ(エリザベス女王杯/GⅠなどGⅠ2勝、重賞5勝)
  • ドゥラメンテ(日本ダービー/GⅠなどGⅠ2勝、重賞3勝)
  • オレハマッテルゼ(高松宮記念/GⅠなど重賞2勝)
  • アイムユアーズ(フィリーズレビュー/GⅡなど重賞4勝)
  • エガオヲミセテ(阪神牝馬特別/GⅡなど重賞2勝)

などがおり、他にも多数活躍馬がいる。

 

2代母のダイナカールはオークスを優勝するなど一流の競争成績を残したが、繁殖牝馬として日本ではこれ以上ないほどの子孫を残している。

4番仔のエアグルーヴはオークスを母娘2代で制したほか、天皇賞・秋を優勝するなど牡馬顔負けの成績を挙げた。産駒にはルーラーシップ、アドマイヤグルーヴなど、孫にはドゥラメンテがいるなど繁殖牝馬としても優秀だ。

他にも、2番仔のカーリーエンジェルからはオレハマッテルゼが輩出するなど、今ではダイナカール牝系として日本でもトップクラスの一族となっている。

ルーラーシップはその一流牝系にキングカメハメハを配合したことから種牡馬として重宝され、しかもサンデーサイレンスの血を含まないため配合しやすく一流牝馬が多く集まっている。

 

 

現役時代

デビューは2009年12月27日と遅く、有馬記念の裏開催、阪神芝2000mの新馬戦だった。このレースでは3馬身2分の1差で快勝したが、その後は引退まで悩まされる出遅れ癖と不器用さで出世が遅れる。

やっとダービートライアル・プリンシパルステークスで快勝し日本ダービー(GⅠ)出走にこぎつけたが、ダービーはスローの切れ味勝負に対応できず5着に惨敗。

ダービー後、重賞を勝ったり負けたりを繰り返しながら実力をつけると、2012年4月29日に香港で行われたクイーンエリザベスⅡ世カップ(GⅠ)を4馬身差で圧勝し、初GⅠ制覇を海外で成し遂げる。

その後は、GⅠ競争でオルフェーヴル、ジェンティルドンナ、ゴールドシップという歴史的名馬を前に2~3着と惜敗し、2012年12月の有馬記念(GⅠ)を最後に引退。社台スタリオンステーションで種牡馬入りした。

すべて1800m以上の距離に出走し、重賞を制した距離は1800~2400m。重馬場に強く、不良馬場で行われた2レースを快勝している。ちなみに、やや重以上の馬場での3着以内率は100%である。

 

主な勝ち鞍
  • 鳴尾記念(GⅢ/2010)
  • 日経新春杯(GⅡ/2011)
  • 金鯱賞(GⅡ/2011)
  • AJCC(GⅡ/2012)
  • クイーンエリザベスⅡ世カップ(GⅠ/2012)

 

代表産駒

初年度産駒は2016年にデビュー。サンデーサイレンスの血を持たず、日本屈指の血統であることから、初年度は200頭を超える牝馬に種付けし、その後も毎年200頭以上を相手に種付けする大人気種牡馬となっている。

 

  • 2014年産駒

 ・キセキ(菊花賞・GⅠ/2017、2020年5月末時点)

 ・ダンビュライト(AJCC・GⅡ/2018、他重賞1勝、2020年5月末時点)

 ・ムイトオブリガード(アルゼンチン共和国杯・GⅡ/2019、2020年5月末時点)

 

  • 2015年産駒

 ・メールドグラース(コーフィールドカップ・豪GⅠ/2019、他重賞3勝、2020年5月末時点)

 ・テトラドラクマ(クイーンカップ・GⅢ/2018)

 ・Hush Writer(ニューカースルゴールドカップ・豪GⅢ/2019、2020年2月末時点)

 

  • 2016年産駒

 ・リオンリオン(青葉賞・GⅡ/2019、他重賞1勝、2020年5月末時点)

 ・パッシングスルー(紫苑ステークス・GⅢ/2019、2020年5月末時点)

 ・ディアンドル(葵ステークス・重賞/2019、2020年5月末時点)

 ・フェアリーポルカ(中山牝馬ステークス・GⅢ/2020、他重賞1勝、2020年5月末時点)

 

 

 

 

 

ルーラーシップ産駒の特徴

距離適正

世代限定戦、芝

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2016,6,1~2020,5,31

古馬、芝

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2017,6,1~2020,5,31

世代限定戦は短距離でも走らないこともないが1600m以上になると勝ち鞍が増え、距離が長いほど勝率の高くなる。短距離は長距離血統にありがちな力任せに走っている印象で、上級条件になると頭打ちになることが多い。母系がスプリンター血統ではない限り割引した方がいいだろう。

古馬になると、1600m以下はほぼ走らなくなり、1800m以上が主戦場になる。3000m以上の勝ち鞍はキセキ1頭しかないが、そのうち出てきそうだ。

どちらも長距離になると勝率が上がるため、スタミナがある長距離血統ということがわかる。

 

世代限定戦、ダート

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2016,6,1~2020,5,31

古馬、ダート

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2017,6,1~2020,5,31

世代限定戦は短距離の出走自体が少なく、勝率も低い。大飛びで不器用な面が目立つため、1600m以下は忙しいのだろう。

1800mになると出走数がグンと多くなるのも、不器用な面が影響しているものと思われる。ゆったりと運べる中距離以上が良いのだろう。

しかし、古馬になると1400mの勝利数が増える。ただ、これはアディラート(グリーンチャンネルカップ/L)が4勝しているためで、基本的には苦手な距離だ。しかも、1200m以下はまだ3勝しかしていない。

古馬も基本的には中距離以上が良い。しかも1900m以上になると勝率も高くなるため、今後は長距離に期待できそうだ。

そのため、ルーラーシップ産駒はダートでも長距離血統と言える。

 

馬場適性

世代限定戦、芝とダートの割合

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2016,6,1~2020,5,31

古馬、芝とダートの割合

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2017,6,1~2020,5,31

 

ダートの勝利数は少めだが、勝率を見ると芝ダート兼用と言える。

デビューは芝が多い。そのまま芝で勝利を挙げて出世するタイプが多いが、時計に限度がある産駒だとダートへ鞍替えし勝利を挙げるパターンが目立つ。

ルーラーシップ産駒は不器用なタイプが目立つが、パワーとスタミナが豊富である。そのためダートも十分こなせる。

ただ、出世するのは芝馬が多い。ダートは重賞に出走する自体が少なく、まだ重賞の勝利を挙げられていない。OPEN特別勝ちした産駒はいるためそのうちダートでも活躍馬が出てくるだろうが、出世するのは基本的には芝である。

現時点では、ダートも走るが基本的には芝馬と思っていいだろう。

 

 

コース適正

世代限定戦、芝

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2016,6,1~2020,5,31

古馬、芝

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2017,6,1~2020,5,31

 

不器用な産駒が多いため、基本的には中央4場や長い直線がある競馬場が得意な傾向だ。

特に勝利数も勝率も高いのは東京競馬場である。東京はコーナーが緩く直線も長いため、不器用なルーラーシップ産駒に向くのだろう。

他は京都外回り、新潟外回り、小倉競馬場、北海道が得意な傾向だ。東京も含めたこの得意コースは、母父のトニービンの得意コースでもある。トニービンは大飛びで長く脚を使えるという特徴があるため、ルーラーシップ産駒はその特徴を受け継いでいるようだ。

苦手なのは阪神競馬場と中京競馬場である。どちらも最後の直線に急坂があるため、大飛びが多いルーラーシップ産駒は厳しいのかもしれない。思えばトニービン産駒も苦手にしていたように思える。

つまり、ルーラーシップはトニービンと似たような特徴を産駒に伝えている

 

世代限定戦、ダート

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2016,6,1~2020,5,31

古馬、ダート

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2017,6,1~2020,5,31

 

京都と阪神の勝利数が多く、中山と札幌は少ない。何故こうなるかと言うと……よく分からない。おそらくだが、栗東の調教師は美浦と比べるとルーラーシップ産駒を積極的にダートに使っているからかもしれない。

 

 

牡牝の勝利数の違い

世代限定戦

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2016,6,1~2020,5,31

古馬

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2017,6,1~2020,5,31

世代限定戦では牡牝の違いは大きくないが、古馬になると牡馬の勝利数の方が多くなる。

おおまかに言うと、スピードに優れた種牡馬は牝馬の活躍が多く、スタミナとパワーに優れた種牡馬は牡馬の活躍が多くなる。そのため、ルーラーシップは産駒にスタミナとパワーを伝える種牡馬ということだろう。

 

 

 

 

 

クラス別勝利数

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2016,6,1~2020,5,31

 

ダート

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2016,6,1~2020,5,31

 

芝はGⅠの勝率こそ低いが、全体的に見ると勝率は高めとなっていて特に2勝クラス以上の勝率が高い。

これは、ルーラーシップ産駒が大飛びなタイプが多いためだと思われる。大飛びの馬は一瞬のキレ勝負だとモタつくため対応できず、ある程度ペースが流れた方が良いことが多い。そのため、クラスが上がるとペースも速くなるため、そうなると勝率も上がるのだろう。

ダートは新馬戦の勝利数も勝率もかなり低い。おそらくサンデーサイレンス系との配合が多く芝向きと思われているため、ダートから使うこと自体が少ないためだろう。

ただ、ダートもOPEN以上を除けばクラスが上がる毎に勝率も上がっているため、ダート向きの配合が増えればダートの一流馬をそのうち出すかもしれない。

 

 

母父の血統

世代限定戦、芝

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2016,6,1~2020,5,31

ノーザンD系=ノーザンダンサー系

ネイティヴD系=ネイティヴダンサー系

ロイヤルC系=ロイヤルチャージャー系

 

古馬、芝

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2017,6,1~2020,5,31

ノーザンD系=ノーザンダンサー系

ネイティヴD系=ネイティヴダンサー系

ロイヤルC系=ロイヤルチャージャー系

 

そもそもルーラーシップはサンデーサイレンスの血が含まれていないため、飽和するサンデー系牝馬との配合が多くなっている。ただ、上級クラスで走っているほとんどがサンデー系との配合かサンデーの血を含んでいるため、サンデーとの相性は良いようだ。

他は相性が良い系統は特に見当たらないが、ノーザンテーストの血を持つ牝馬との産駒で出世する馬が目立つ。ルーラーシップ自身もノーザンテーストの血を含んでおり、クロスになるため出世する馬が多いのかもしれない。

 

世代限定戦、ダート

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2016,6,1~2020,5,31

ノーザンD系=ノーザンダンサー系

ネイティヴD系=ネイティヴダンサー系

ロイヤルC系=ロイヤルチャージャー系

 

古馬、ダート

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2017,6,1~2020,5,31

ノーザンD系=ノーザンダンサー系

ネイティヴD系=ネイティヴダンサー系

ロイヤルC系=ロイヤルチャージャー系

 

ダートもサンデーサイレンス系との相性は悪くない。OPENを勝っているアディラートの母父はマンハッタンカフェだし、2勝クラス以上を勝った馬のほとんどが母父サンデー系である。

芝もダートも配合云々よりも、サンデー系の血を含んでいるか、繁殖牝馬の質が高いかのほうが重要なのかもしれない。

例えば、代表産駒のキセキの2代母はロンドンブリッジだし、ダンビュライトは近親にクリソベリルがいる。

 

 

成長度

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2016,6,1~2020,5,31

2歳の早い時期から使える馬が多く、それなりに早熟性はある。ただ、3歳以降も勝率が落ちず、5歳まで8%台と高い数字をキープしている。これは晩成型とされるステイゴールドと同等の数字なので、完全に晩成傾向である。

代表産駒のキセキやダンビュライトのようになかなか勝ちきれずもどかしいレースをしながら実力をつけ、スタミナが要求される展開で一発決めるのが勝ちパターンとなることが多い。

 

 

ルーラーシップ産駒の特徴まとめ

  • 芝もダートも長距離が得意
  • 馬場適性は芝ダート兼用だが、出世するのはほとんどが芝
  • 芝のコース適正はトニービンと似たような傾向
  • 牡牝の勝利数は牡馬の方が優勢
  • 芝もダートもクラスが上がるほど勝率も上がる
  • 母父の血統はサンデーサイレンスの血を持っているほうがよさそう
  • 成長度は2歳から走れるが晩成型

 

 

個人的なルーラーシップ産駒の感想

芝コースのルーラーシップ産駒が得意なバイアスは、

  • 馬場    軽い、やや軽い、標準、やや重い、重い、極悪
  • 上がり   速い、やや速い、標準、やや遅い、遅い、極悪
  • 枠     超内、内、フラット、外、超外
  • 直線の伸び 内、やや内、フラット、やや外、外
  • 前後    超前、前、展開次第、差し、超差し

と想定。

馬場は不問である。パワー・スタミナ系が多いのでどちらかというと馬場は重い方がいいのだが、そこまで気にしないほうがいいだろう。

上がりは遅いほうが良い。母父トニービンの遺伝の影響か、大飛びでエンジンの掛かりが遅いタイプが多い。そのため、スローのヨーイドンのようなディープ産駒が得意な条件だとキレ負けすることが多いため、ペースが流れて上がりが掛かるか、長い直線のロングスパートが得意である。

枠は外枠有利が得意。データでは5枠より外、特に7,8枠の成績が良い。

直線の伸びは外伸びの方が良い。上記の通り大飛びでエンジンの掛かりが遅いため、揉まれずに外をノビノビと走った方が末脚を発揮できる。

前後は不問である。代表産駒のキセキは菊花賞を優勝するまでは上がり3ハロン32秒台を出すなど差し馬として活躍していたが、ジャパンカップでは逃げて速い一定のペースで2400mを走りぬいた。ようは、大飛びが活躍できる条件であれば脚質は問わないということだろう。

 

ダートコースのルーラーシップ産駒が得意なバイアスは、

  • 馬場    軽い、やや軽い、標準、やや重い、重い
  • 上がり   速い、やや速い、標準、やや遅い、遅い
  • 枠     超内、内、フラット、外、超外
  • 直線の伸び 内、やや内、フラット、やや外、外
  • 前後    超前、前、展開次第、差し、超差し

馬場は不問に近いが、どちらかというと軽い方が良い。若干ではあるが、脚抜きが良くなるほど成績が良くなる。ルーラーシップは基本的に芝血統なのでそうなるのだろう。

上がりは遅い方が良い。大飛びで緩急が苦手なため、決め手はあまり無い。速いペースで逃げ先行して押し切るのが得意。

枠は外枠有利が得意。データでは6枠より外の成績が良い。大飛びで不器用だし、芝血統なので内枠で砂を被ったり揉まれたりするよりも、外をノビノビと走った方が実力を発揮しやすい。

前後は若干前有利が得意。ダートも基本的には大飛びで一本調子のタイプが多いため、逃げ先行押し切れる条件だと実力を発揮しやすい。

 

個人的には、ダートも走れるトニービンと思っている。キセキが2着に粘ったジャパンカップのように、ルーラーシップ産駒は長距離でペースが流れると好走するというイメージがある。

ダートもそれなりに走れるというのは、ダイナカール牝系にあるのではないか?ダイナカール牝系だけではなく日本の名牝系は、スタミナとパワーが優れていることが多い。それがダートに合い、ダートも"こなせる"のだろう。

 

 

 

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