トラックバイアス&血統研究

トラックバイアス(馬場のクセ)と血統を研究

【ドレフォン】種牡馬の特徴 勝ち鞍の8割がダート!?牡馬は早熟、牝馬は晩成か?(2024,1,31更新)

 

現役時代はブリーダーズカップスプリントなど米国ダート短距離のGⅠを3勝したドレフォン。引退後は”新車”として社台スタリオンステーションに種牡馬入りすると、サンデーサイレンスの血を含まないことから初年度から多くの牝馬を集めることに成功した。産駒も2021年から続々とデビューしており、初年度産駒から皐月賞馬のジオグリフを輩出するなど期待の大きい種牡馬となっている。

ここでは、ドレフォン産駒の特徴を紹介する。

 

 

【目次】

 

 

 

 

 

血統

Raise a Native 4+5

 

父は米国の8F~11Fの芝GⅠを7勝したGio Ponti(ジオポンティ)。ドレフォンの他に目立った産駒はほとんどいない。

母は不出走のEltimaas(エルティマース)。

母父はBCクラシックをレコードタイムで優勝するなど米国GⅠを4勝のGhostzapper(ゴーストザッパー)。母父としては金鯱賞(GⅡ)を優勝したギベオンなどを輩出している。

 

近親にはBCジュヴェナイル(米GⅠ)を優勝したAction This Day(アクションディスデイ)がいる。

 

ドレフォンはストームキャット系らしく筋肉質で重心が低い馬体をしている。社台スタリオンステーションで繋養されているため一定以上の芝馬は出てきているが、この馬体が強く遺伝するようならダート向きが多くなるかもしれない。

 

 

現役時代

デビューは2歳10月のダート5.5Fで、8頭立ての5着に敗れる。

しかし2戦目のダート6Fで2着に9馬身以上の差をつけ勝利し、2歳シーズンを終える。

3歳はオプショナルクレーミング(D6F、D6.5F)を2連勝する好スタート。

その勢いのままにキングスビショップステークス(米GⅠ/D7F)でGⅠ初出走。スタート良く逃げると直線では後続にリードを広げ、2着に3馬身差をつけ優勝、GⅠ初制覇となった。

その後はブリーダーズカップスプリント(米GⅠ/D6F)に出走。スタートはあまり良くなかったが、3コーナーに入る頃には先頭に。直線ではMind Your Biscuits(マインドユアビスケッツ)との叩き合いとなったが、1馬身差をつけ優勝、GⅠ2勝目となり3歳シーズンを終えた。この勝利によりエクリプス賞最優秀短距離馬に選出された。

4歳の初戦は落馬により競争中止となる。

しかしフォアゴーステークス(米GⅠ/D7F)は大外から逃げる形となり、そのまま直線に向くと後続を突き放し4馬身差で優勝、GⅠ3勝目となった。

その後は連覇を狙いブリーダーズカップスプリントに出走するが、スタートが悪く中団を追走する形となる。直線では進路を外に取り追い込むものの良い所がなく6着に敗れた。

このレースを最後に引退し社台グループが購入。2018年から社台スタリオンステーションで種牡馬として繋養されている。

GⅠで優勝した距離はD6F~7F(約1200m~1400m)。スタートと二の脚が速く、スムーズに逃げるとしぶとい。しかしすんなりと逃げられないと脆く、4歳時のブリーダーズカップスプリントでは中団を追走する形となり、良い所が無く敗れている。

 

 

主な勝ち鞍

  • キングスビショップステークス(米GⅠ・ダート7F/2016)
  • ブリーダーズカップスプリント(米GⅠ・D6F/2016)
  • フォアゴーステークス(米GⅠ・D7F/2017)

 

 

代表産駒

2019年産駒

・ジオグリフ(皐月賞・GⅠ/2022、他重賞1勝、2023年5月末現在)

 

 

 

 

 

ドレフォン産駒の特徴

距離適正

2021,6,1~2023,12,31

 

芝はまだ出走数や勝利数が少ないため、若駒と古馬のデータを合わせた。

短距離から長距離まで勝ち鞍があるが、基本的にはマイル前後が中心である。

牡馬はマイル前後が中心だが、どちらかというと中距離寄りとなっている。代表産駒のジオグリフは札幌2歳ステークス(芝1800m)と皐月賞(芝2000m)を優勝して、朝日杯フューチュリティステークスは5着に敗れた。1600mではスピードが不足している産駒が多い印象なので、今後は配合次第だが1800m以上の勝ち鞍が増えてくるのではないか。

一方牝馬は1600m以下が中心。1800m以上は集計期間内でのべ69回出走し勝ち馬は無し、3着以内も4回となっている。スタミナが不足している産駒が多い印象なので、今後も1600m以下の勝ち鞍が中心になるのではないか。

牡馬牝馬ともに決め手がある産駒は少ない。偶に上がり33秒台を記録している産駒もいるが、そのほとんどが母父ディープインパクトなどサンデー系だ。基本的には上がりが遅くなる展開が得意なようだ。

 

 

若駒戦、ダート

2021,6,1~2023,12,31

 

古馬、ダート

2022,6,1~2023,12,31

ダートの守備範囲は短距離から長距離まで幅広い。

牡馬牝馬ともに出走数や勝ち鞍は1800mが最多だが、短距離から長距離まで勝ち鞍がある。血統や馬体では距離適性が出ず、気性が前向きなタイプは短距離に、少しおっとりしているタイプは中長距離になる傾向だ。

馬場状態は稍重の成績が若干良いが、あまり差は出ていない。

 

 

馬場適正

若駒戦、芝とダートの割合

2021,6,1~2023,12,31

 

古馬、芝とダートの割合

2022,6,1~2023,12,31

勝ち鞍の約8割がダートとなっているため、ダート血統である。

ストームキャット系種牡馬らしく、若駒のうちは芝で走ることもある。代表産駒のジオグリフが芝でデビューし、札幌2歳ステークスを優勝し、皐月賞も優勝。しかし古馬になると天皇賞秋や香港カップでは敗れ、全馬のデータでも古馬では12勝しかしていない。

一般的にだが、ストームキャット系の産駒はスピードがあるため3歳春くらいまでは芝でも走ることがあるが、古馬になると筋肉がついて体も硬くなり、ダートへシフトする産駒が多くなる傾向がある。ドレフォン産駒もその傾向が強いようだ。

あと、芝の45勝のうち、のべ25勝がノーザンファーム生産馬となっており、ノーザンファームの芝向き一流繁殖牝馬のアシストがないと芝で走るのは厳しいようだ。

ダートは2歳から走り、一部の産駒はオープンクラスでも好走している。強い勝ち方をする産駒も出ており、基本的にはダート向き種牡馬と思ってよさそうだ。

 

 

コース適正

2021,6,1~2023,12,31

 

芝は出走数も勝利数も少ないため、若駒と古馬のデータを合わせた。

得意なコースは少ないが、札幌と中山芝1600mの勝率が高いため、コーナーが緩く、かつ、直線が短いコースが得意なようだ。阪神内回りも勝率は悪くない。

苦手なコースは福島競馬場である。データ集計期間内でのべ42頭が出走し勝ち馬は1頭のみ。複勝率はそこまで低くはないが、勝ち切れない傾向だ。

 

若駒戦、ダート

2021,6,1~2023,12,31

 

古馬、ダート

2022,6,1~2023,12,31

あまり得意不得意があるタイプではないが、若干ではあるが東京ダート1600m以外の芝スタートのコースは苦手な傾向だ。特に新潟ダート1200mは勝率が3.2%となっている。ただ、基本的には苦手はコースは少ない。

 

 

牡牝の勝利数の違い

若駒戦

2021,6,1~2023,12,31

 

古馬

2022,6,1~2023,12,31

 

牡馬も牝馬も勝利数はあまり変わらない。通常、ダートを得意とする馬は馬格があるタイプが有利で、そのためダート向き種牡馬は牡馬優勢になることが多い。

しかし、ドレフォンは通算の勝利数が牡馬も牝馬もほとんど変わらず、これはかなり珍しい。理由は分からないが、牝馬優勢と言ってもいいだろう。

 

 

 

 

 

クラス別勝利数

2021,6,1~2023,12,31

 

ダート

2021,6,1~2023,12,31

芝は新馬から上級条件まで勝率はあまり落ちない傾向となっている。ただ、まだ出走数が少ないので何とも言えない。

ダートも新馬から上級条件まで勝率はあまり落ちない傾向となっている。一般的には上級条件になるとペースが上がるので、追走力がある馬の好走確率が上がる。そのため、ドレフォン産駒はスピードがあるタイプだというのが分かる。

 

 

母父の血統

2021,6,1~2023,12,31

ノーザンD系=ノーザンダンサー系 ロイヤルC系=ロイヤルチャージャー系

 

ドレフォンはサンデーサイレンスの血を含まないので、サンデー系と配合しやすい。そのため、芝の勝利数の半数以上がサンデー系との配合となっている。

しかも、ノーザンダンサー系やミスプロ系も2代母の父はサンデー系がほとんどで、芝ののべ勝利数45のうち、サンデーサイレンスの血を含まない馬は3頭しかいない。ドレフォンはダート向き種牡馬ということもあり、芝で走るためにはサンデーサイレンスのアシストが必要なようだ。

あと、サンデー系の中でもスタミナがあるタイプとの相性が良いようだ。ディープインパクト、スペシャルウィーク、サンデー系以外ではキングカメハメハ、シンボリクリスエスの勝率が高い。

一方、スピードタイプのフジキセキ、ダイワメジャー、サンデー系以外ではアドマイヤムーンは勝率が低い。

ドレフォン産駒が芝を走るためには、母父サンデー系か2代母の父がサンデー系で、かつ、スタミナがあるタイプでなければ今のところ難しい。

 

若駒戦、ダート

2021,6,1~2023,12,31

ノーザンD系=ノーザンダンサー系 ロイヤルC系=ロイヤルチャージャー系

 

古馬、ダート

2022,6,1~2023,12,31

ノーザンD系=ノーザンダンサー系 ロイヤルC系=ロイヤルチャージャー系

 

ドレフォンはサンデーサイレンスの血を含まないので、ダートもサンデー系と配合しやすい。そのため、ダートも勝利数の半分程度がサンデー系となっている。

ただ、芝と違うのはサンデー系の中でもパワータイプとの相性が良いことだ。特に母父フジキセキ、ダイワメジャー、ゼンノロブロイ、ゴールドアリュールなどが勝率が高い。

ミスプロ系の中ではキングカメハメハとの相性が良い。特に上級条件でも勝利を挙げており、単勝回収率も高い。

 

 

成長度

2021,6,1~2023,12,31

まだデータは少ないが、全体的に仕上がりは早め。特に牡馬は2歳から3歳前半までの勝率が高く、もしかしたら牡馬は早熟タイプなのかもしれない。一般的にダート向き種牡馬の産駒は筋肉量が豊富で、筋肉が軟らかい2歳から3歳前半は仕上がりの早さで勝利を量産するが、使い込まれて筋肉が硬くなる3歳後半以降は勝率が下がる傾向がある。ドレフォンはダート向き種牡馬だと思われるので、その通りの傾向になったのかもしれない。

一方牝馬は2歳の勝率はあまり高くないが、3歳になってから勝率が上がる。一般的に牝馬は牡馬と比べると筋肉量は少ないが、軟らかい。そのため、ドレフォン産駒の牝馬は鍛えられた3歳になると勝率が上がるのかもしれない。

 

 

ドレフォン産駒の特徴まとめ

  • 芝の距離適性は、牡馬はマイルから中距離、牝馬はマイル以下
  • ダートの距離適性は、短距離から長距離まで走るが1800mが中心
  • 馬場適正は、勝利数の8割がダート
  • 牝馬優勢
  • 芝で走る馬は母父がサンデー系か、2代母の父がサンデー系
  • ダートで走る馬は母父パワータイプとの相性が良い
  • 仕上がりは、牡馬は早熟、牝馬は晩成か

 

 

個人的に考えるドレフォン産駒の特徴

ドレフォン産駒が得意な芝のバイアスは、

  • 馬場    軽い、やや軽い、標準、やや重い、重い、極悪
  • 上がり   速い、やや速い、標準、やや遅い、遅い、極悪
  • 枠     超内、内、フラット、外、超外
  • 直線の伸び 内、やや内、フラット、やや外、外
  • 前後    超前、前、展開次第、差し、超差し

と想定している。

馬場は軽くても重くても対応できている。ただ、米国ダート血統ということを考えると、どちらかというと重い方がいだろう。基本的には、軽く時計が速い馬場は上がりも速くなることが多いので、ドレフォン産駒には合いにくい。代表産駒のジオグリフも上がりが速くなりにくい小回りの皐月賞では優勝したが、直線が長く上がりが速いダービーでは凡走した。

上がりは遅い方が良い。ドレフォン産駒は上がり33秒台から34秒台の速い決め手を使える産駒が少なく、上がりが遅いレースを得意としている。基本的にはジオグリフと似たようなタイプが多い。

枠は得意不得意のデータがまだ出ていない。逃げ先行タイプが多いので、段々と内枠を得意とする産駒が多くなるのではないか。

直線の伸びは内伸びの方が良い。逃げ先行タイプが多く、速い決め手を使える産駒が少ないので、差し馬が台頭しにくい内伸びの方が好走する確率が上がる。

前後は前有利の方が良い。上記の通り逃げ先行タイプが多く、速い決め手を使える産駒が少ないので、差し馬が台頭しにくい前有利の方が好走する確率が上がる。

 

得意なダートのバイアスは、

  • 馬場    軽い、やや軽い、標準、やや重い、重い
  • 上がり   速い、やや速い、標準、やや遅い、遅い
  • 枠     超内、内、フラット、外、超外
  • 直線の伸び 内、やや内、フラット、やや外、外
  • 前後    超前、前、展開次第、差し、超差し

と想定している。

馬場は軽くても重くても対応できている。ただ、母父サンデー系は軽い馬場を得意としていて、それ以外は標準から重い馬場を得意とすることが多い。ただ、あくまでも傾向ではっきりとしたデータが出ている訳ではない。

上がりも速くても遅くても対応できている。こちらも母父サンデー系は速い上がりを得意としていて、それ以外は標準から遅い馬場を得意とすることが多い。ただ、あくまでも傾向ではっきりとしたデータが出ている訳ではない。

枠は若干内枠の好走が多いというデータが出ているが、今後は分からない。

直線の伸びはどちらかというと内伸びの方が良い。まだ3世代分のデータだが、後方一気で勝つ産駒が少なく、逃げ先行押し切りタイプが多い。そのため、内伸びの方が好走確率が上がる。

前後はどちらかというと前有利の方が良い。上記と同じくまだ3世代分のデータだが、後方一気で勝つ産駒が少なく、逃げ先行押し切りタイプが多い。そのため、前有利の方が好走確率が上がる。

 

全体的な印象は、芝はキズナに近く、ダートはヘニーヒューズを中距離型にしたような感じだ。キズナは母父Storm Catで、ヘニーヒューズはストームキャット系である。ドレフォンもストームキャット系なので、特徴が似ているのかもしれない。

 

 

 

 

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