トラックバイアス&血統研究

トラックバイアス(馬場のクセ)と血統を研究

【ノヴェリスト】種牡馬の特徴 芝の中長距離が得意で晩成型が多い(2020,6,11更新)

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2013年のキングジョージⅥ世&クイーンエリザベスSで2秒以上もレコードを更新して優勝したノヴェリスト。引退後は"新車"として社台スタリオンステーションに種牡馬入りし、流行血統やサンデーサイレンスの血を含まないことからかなりの数の繁殖牝馬を集めている。

ここでは、ノヴェリスト産駒の特徴を紹介する。

 

【目次】

 

 

 

 

血統

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Literat 4 x 4  Northern Dancer 4+5

父はドイツの至宝・Monsun(モンズーン)。

母はドイツの2歳GⅢを優勝したNight Lagoon(ナイトラグーン)。

母父はドイツダービーを優勝し、繁殖牝馬の父として評価が高いLagunas(ラグナス)。

 

ノヴェリスト(Novellist)の血統表を見ると牝系の馬の最初の文字が「N」から始まっている。これは通称「Nライン」と言われ、過去にはドイツのクラシック馬や歴史的名馬を多数輩出しているドイツが誇る名牝系である。

ノヴェリストは「2歳から走れるモンズーンの後継馬を作ろう」と配合された。そのため2,3歳からそこそこ活躍することが出来たが、本格化したのは血統通り4歳になってから。後述するが、ノヴェリスト産駒もモンズーンの影響が強いらしく晩成型の産駒が多くなっている。

 

 

現役時代

デビューは2011年8月、芝1500m。重馬場だったが8馬身差の圧勝であった。2歳時はこの1戦で休養に入る。

3歳時は4月から始動し、平場戦(芝1600m)、春季3歳賞(独GⅢ/芝2000m)、ウニオンレネン(独GⅡ・芝2200m)を3連勝。

勢いそのまま圧倒的1番人気でドイツダービー(GⅠ・芝2400m)に出走したものの、ゴール手前で伏兵の強襲にあい2着に敗れてしまう。

2ヶ月の短期放牧後バーデン大賞(独GⅠ・芝2400m)に出走し初の古馬との対戦となったが、4着と完敗。

しかし、イタリアに遠征しジョッキークラブ大賞(伊GⅠ・芝2400m)では2着に4馬身半差をつけ、GⅠ競争初勝利を挙げて3歳シーズンを終えた。

4歳は充実したシーズンとなった。やや重馬場のバーデン企業大賞(独GⅡ・芝2200m)から始動し、頭差の辛勝。

次戦はフランスに遠征しサンクルー大賞(仏GⅠ・芝2400m)に出走。好メンバーが揃い重馬場とタフなコンディションであったが、2着に1馬身4分の1差で快勝。

そしてイギリスに遠征しキングジョージⅥ世&クイーンエリザベスS(英GⅠ・12ハロン)に出走。この日まで数日好天が続き硬い馬場となっていた。

ハイペースを中団につけると手ごたえ良く追走。直線に向くと1頭だげ違う手ごたえで抜け出しそのまま後方を置き去りにすると、2着のTrading Leather(トレーディングレザー)に5馬身差をつけ圧勝。3年前にハービンジャーが記録したレコードを2秒以上も更新した。

その後ドイツに戻り前年4着に敗れたバーデン大賞に出走。好スタートから一時は逃げて引っかかるものの、徐々に落ち着きを取り戻し2着に4分の3馬身差をつけ快勝。

そして凱旋門賞(仏GⅠ・芝2400m)へ出走する予定だったが、前日に熱発し回避。

4歳時は4戦全勝しドイツの年度代表馬に選出されている。

この年で引退することが発表され、社台スタリオンステーションにて種牡馬入りすることとなった。

出走した重賞はすべて2000m以上、GⅠはすべて2400m(12ハロン)以上に出走した典型的な中長距離馬である。馬場状態は"キングジョージ"は堅い良馬場、サンクルー大賞などは重馬場と馬場不問であった。

 

 

主な勝ち鞍

  • ジョッキークラブ大賞(伊GⅠ・芝2400m/2012)
  • サンクルー大賞(仏GⅠ・芝2400m/2013)
  • キングジョージⅥ世&クイーンエリザベスS(英GⅠ・12ハロン/2013)
  • バーデン大賞(独GⅠ・芝2400m/2013)

他重賞3勝

 

 

代表産駒

  • 2015年産駒

・ウォルフ(クーンジーカップ・豪GⅢ/2019、2020年5月末現在)

  • 2016年産駒

・ラストドラフト(京成杯・GⅢ/2019、2020年6月末現在)

 

 

 

 

 

ノヴェリスト産駒の特徴

距離適正

世代限定戦、芝

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2017,6,1~2020,5,31

 

古馬、芝

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2018,6,1~2020,5,31

世代限定戦は短距離から中長距離まで走るが、古馬になると中長距離が中心となる。

ノヴェリストは2歳から走れるモンズーン産駒を意識して配合されたため、産駒は気性が前向きになることが多い。そのため、2,3歳時はその気性の影響で短距離を中心に使われことがあり、短距離の勝ち鞍が多くなっている。

しかし、どこからどう見ても中長距離血統なので、短距離では上級条件になると通用せず、出世できずに頭打ちになることが多い。

本質は血統通り中長距離タイプだろう。代表産駒のラストドラフトは2000m前後で活躍しているし、重賞で好走する馬も中長距離が多い。産駒の傾向が広まると徐々に中長距離の勝ち鞍が増えてくるものだと思われる。

馬場は、ノヴェリストの現役時代と同じく高速馬場でも道悪でも対応できるが、速すぎたりタフすぎたりすると厳しい傾向だ。ほどよく時計が掛かる方が良い。

 

ダート

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2017,6,1~2020,5,31

ダートは芝と比べると勝ち鞍が少ないため、世代限定戦も古馬も一緒にした。

ダートも短距離から中距離まで勝ち鞍を挙げているが、基本的には1600m~1800mが中心となっている。ただ、上記の通り気性が前向きな産駒が多いため、2,3歳を中心に短距離を力任せに走る場合がある。

馬場は湿っても乾いてもあまり数字は変わらないが、どちらかというと湿っている方が良い。

 

 

馬場適正

世代限定戦、芝とダートの割合

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2017,6,1~2020,5,31

 

古馬、芝とダートの割合

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2018,6,1~2020,5,31

ダートは走らないこともないが、基本的には芝血統である。

血統表を見てみるとダートが得意な血統がほぼない。これが遺伝したためこの結果になったのだろう。

ダートが空っ下手とまではいかないが、ノヴェリスト産駒はアドマイヤムーン、ハービンジャー、ディープインパクト、ステイゴールド並みにダートは苦手な部類である。

ちなみに、中央競馬ではノヴェリスト産駒の重賞出走は2020年5月末時点ではまだない。

 

 

コース適正

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2017,6,1~2020,5,31

どこの競馬場が得意ということもないが、強いて挙げるなら直線が長いか、コーナーが緩い競馬場の数字が高めとなっている。ドイツ血統なのでジリジリと長い脚を使える、またはキツイコーナーが苦手なのだろう。

苦手なのは小倉である。2,3着はそこそこ多いが勝ちきれないケースが目立つ。小倉は向こう正面から直線にかけて長い下り坂となっているため、下り坂が苦手なのかもしれない。

 

ダート

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2017,6,1~2020,5,31

ダートもどこが得意というのはない。

ただ、中京がからっきしである。2020年6月末でも勝ち鞍はなく、2,3着に入ることもほとんどない。東京や新潟では勝ち鞍を上げているため左回りが苦手ということはないと思うが、何故ここまで走らないのかは分からない。

 

 

 

 

 

牡牝の勝利数の違い

世代限定戦

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2017,6,1~2020,5,31

 

古馬

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2018,6,1~2019,12,31

おおむね平均的か、少し牡馬優勢傾向である。

一般的に、パワーやスタミナがある種牡馬は牡馬優勢になりやすく、スピードがある種牡馬は牝馬優勢になりやすい。そのため、ノヴェリスト産駒はパワーやスタミナタイプの種牡馬なのだろう。

重賞やオープン馬はまだ少ないが、出走しているのは牡馬が多い。今後出世する馬は牡馬が多くなるかもしれない。

 

 

クラス別勝利数

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2017,6,1~2020,5,31

 

ダート

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2017,6,1~2020,5,31

芝ダートともにおおむね2勝クラスが壁になっている。

ただ、珍しいことに未勝利よりも1勝クラスの勝率が高い。ノヴェリスト産駒はキレる脚が使えないタイプが多いため、クラスが上がってペースが速くなった方がレースがしやすいのだろう。

まだ産駒が少ないため上級条件で使われることが少ないが、今後産駒が増えてくると上級条件の勝率が高くなる可能性がある。

 

 

母父の血統

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2017,6,1~2020,5,31
ノーザンD系=ノーザンダンサー系

ネイティヴD系=ネイティヴダンサー系

ロイヤルC系=ロイヤルチャージャー系

 

ノヴェリストはサンデーサイレンスの血を含まず、飽和するサンデー系牝馬に種付けするため導入されたようなものなので、配合相手はサンデー系牝馬が多くなっている。

その中では、アグネスタキオンとネオユニヴァースとの配合で勝率と単勝回収率が高めだ。アグネスタキオンは勝率10.8%で単勝回収率93%。ネオユニヴァースは勝率11.1%で単勝回収率139%。どちらの産駒もダートを走れるパワーがあることが特徴なので、サンデー系の中ではそういったタイプが合うのかもしれない。

ナスルーラ系ではジャングルポケットとの相性が抜群だ。この配合は4頭しかいないが、3頭が勝ち上がり、計6勝を挙げている。勝率18.8%、連対率37.5%、複勝率53.1%と数字もかなり良いため、今後も注目したい。

全体的に見ると、米国系のスピード血統よりも欧州系のスタミナパワー血統との相性が良いようだ。

 

ダート

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2017,6,1~2020,5,31
ノーザンD系=ノーザンダンサー系

ネイティヴD系=ネイティヴダンサー系

ロイヤルC系=ロイヤルチャージャー系


ダートもサンデーサイレンス系の勝利数が多いが、勝率は低めである。そもそも、サンデー系はダートを苦手とする産駒が多いため、それが遺伝したのだろう。

ダートは全体的に数字が低めだが、その中ではネイティヴダンサー系の数字が高めとなっている。ノヴェリスト産駒はダートが苦手な傾向なので、ダートを走るためにはダートが得意な母父ネイティヴダンサー系など母系からのアシストが必要なようだ。

 

 

成長度

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2017,6,1~2020,5,31

ノヴェリストは「2歳から走れるモンズーンの後継馬を作ろう」と配合されたため、2歳の早い時期から仕上がり、特に気性が前向きな産駒は2歳のうちに短距離で勝ち上がるケースが目立つ。しかし、本質は中長距離なので、そういった産駒はすぐに頭打ちになり伸び悩む。

3歳の4~6月と4歳に勝率が上がっているように本質は晩成傾向なのだろう。特に4歳の勝率の高さが目に付くため、本格化するのは4歳以降になるのかもしれない。5歳勝率が低いのは最初の世代しかいないためだと思われるので、産駒の傾向が把握されてくると晩成血統らしく勝率も上がってくるはずだ。

おそらく、今後出世するタイプは、気性が大人しくデビューから中長距離で使われる馬になるだろう。クラシック向きではなく、使われながら徐々に力を付け、4,5歳で重賞初制覇というパターンが多くなるのではないか?

 

 

ノヴェリスト産駒の特徴まとめ

  • 2,3歳時に短距離を走る産駒もいるが、基本的には中長距離向き
  • 芝向きでダートは苦手
  • 少し牡馬優勢傾向
  • アグネスタキオン、ネオユニヴァース、ジャングルポケットとの配合で良績
  • 2歳からも走るがおそらく晩成型
  • キレる脚はなく締まった流れが得意

 

 

個人的に考えるノヴェリスト産駒の特徴

ノヴェリスト産駒の芝コースの得意なバイアスは、

  • 馬場    軽い、やや軽い、標準、やや重い、重い、極悪
  • 上がり   速い、やや速い、標準、やや遅い、遅い、極悪
  • 枠     超内、内、フラット、外、超外
  • 直線の伸び 内、やや内、フラット、やや外、外
  • 前後    超前、前、展開次第、差し、超差し

と想定している。

馬場は軽くても重くても対応できるが、できれば少しタフな方が良い。現役時代に堅い良馬場でレコード勝ちをしているようにスピードはあるものの、ドイツ血統なので日本の超高速馬場ではスピード負けするケースが見られる。ただ、重不良馬場での勝利は少ないため、速すぎず遅すぎずという馬場が得意そうだ。

上がりは遅い方が良い。基本的にはキレる脚を使えないタイプが多いため、締まった流れの持久力勝負が良さそうだ。

枠はあまり気にしない。ただ、6枠の勝率は13.6%とかなり高いという不思議なデータがあるので注意したい。

直線の伸びは2つのタイプに分かれる。気性が前向きでスタートが上手いタイプは、そのまま押し切れる内伸びの方が良い。バラックパリンカがそういったタイプだ。スタートがあまり上手くないタイプは、外伸びの方が良い。皐月賞以降のラストドラフトはこのタイプだ。

前後も2つのタイプに分かれる。気性が前向きなバラックパリンカのようなタイプは前有利、スタートがあまり上手くないラストドラフトのようなタイプは差し有利の方が良い。

 

全体的な産駒の傾向は、気性が前向きなタイプが多いものの、基本的にはスタミナやパワーがあり決め手はないタイプが目立つ。おおまかにだが、ハービンジャーに近い印象がある。どちらも欧州血統で"キングジョージ"を優勝しているため、産駒の傾向も似ているのだろう。

2020年の5月末時点ではまだ3世代しかデビューしていないため、調教師も使う距離や馬場に手探り感が伺える。ノヴェリスト産駒は晩成型だと思われるので、産駒の特徴がはっきりしてくると成績を伸ばしてくるはずだ。

 

 

 

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