現役時代は朝日杯フューチュリティステークスを優勝しクラシックでも好走したリオンディーズ。種牡馬入り後は母・シーザリオ、半兄・エピファネイアということもあり初年度から200頭近い繁殖牝馬を集める人気種牡馬となった。初年度産駒から天皇賞春を優勝したテーオーロイヤルを輩出するなど、今後が期待できる種牡馬となっている。
ここでは、リオンディーズ産駒の特徴を紹介する。
【目次】
血統
Northern Dancer 5+5 x 4 Special 5 x 5
父は説明不要のスーパーサイアー・キングカメハメハ。
母は日米のオークスを制したシーザリオ。
母父は日本ダービーなどGⅠ4勝のスペシャルウィーク。産駒にはブエナビスタなど、母父としてはディアドラなど数多くの活躍馬を輩出している。
きょうだいには
- 半兄・エピファネイア(ジャパンカップ/GⅠなどGⅠ2勝)
- 半弟・サートゥルナーリア(皐月賞/GⅠなどGⅠ2勝)
がいる。
近親にはオーソリティ(アルゼンチン共和国杯/GⅡなど重賞4勝)などがいる。
母・シーザリオは競争成績も優秀だが繁殖牝馬としても優秀で、一大牝系を築きつつある。リオンディーズのきょうだいは12頭が中央でデビューし10頭が勝ち上がっているし、4番仔・ロザリンドからはオーソリティを輩出した。
現役時代
デビューは2015年11月22日、京都芝2000m。1番人気に支持されると、道中は力みながらも5番手前後の外を追走。4コーナーから仕掛けられると、直線では1頭抜けた決め手を繰り出し優勝。なお、このレースは後に若葉ステークスを優勝したアドマイヤダイオウ、新潟ジャンプステークスを優勝したグッドスカイやフォイヤーヴェルクがいるなど、かなりハイレベルであったようだ。
2戦目は朝日杯フューチュリティステークス(GⅠ)に出走。スタートで出負けし道中はほぼ最後方を追走。直線では大外に進路を取ると、上がり3ハロンは2位と0.7秒差となる33.3秒の末脚を繰り出し、先に抜け出した1番人気のエアスピネルを差しきり優勝、キャリア2戦目でGⅠ制覇となった。
3歳初戦は皐月賞トライアル・弥生賞を選択。今回はスタート良く道中は力みながらも4番手を追走。すると直線入り口では先頭に立ち押し切りを狙うが、ゴール前でマカヒキに差されアタマ差の2着に敗れた。
3歳2戦目は皐月賞(GⅠ)に出走。今回は抜群のスタートを切り道中は逃げたリスペクトアースの後ろの2番手を追走。しかし1000m通過58.4秒とハイペースで、しかも向こう正面は強烈な向かい風だったこともあり掛かってしまい、3コーナー入り口ではたまらず先頭に。直線では残り100m付近まで先頭で粘るが、後方からレースを進めたディーマジェスティの4着に敗戦、しかも進路妨害で5着に降着となった。
3歳3戦目は日本ダービー(GⅠ)に出走。今回はスタート後に抑え込み、道中は力みながら後方から3番手前後を追走。最後の直線は馬群の中を突き上がり3ハロン1位の決め手を繰り出すが、マカヒキから0.5秒差の5着に敗れた。
その後は秋に向けて調整されていたが、左前繋部浅屈腱炎、さらに左前浅屈腱の繋部分不全断裂により引退、種牡馬入りとなった。
出走した距離は1600m~2400m。皐月賞以外はすべて上がり3ハロン2位以内の末脚を使っていたが、ほとんどのレースでは力みながら走っていたように、実力をすべて発揮できていなかったとの声がある。
主な勝ち鞍
- 朝日杯フューチュリティステークス(GⅠ/2015)
代表産駒
- 2018年産駒
・テーオーロイヤル(天皇賞春・GⅠ/2024、他重賞3勝、2024年10月末現在)
・アナザーリリック(福島牝馬ステークス・GⅢ/2022)
・リプレーザ(兵庫チャンピオンシップ・GⅢ/2021、2024年10月末現在)
- 2019年産駒
・ジャスティンロック(京都2歳ステークス・GⅢ/2021)
・インダストリア(ダービー卿チャレンジトロフィー・GⅢ/2023)
・サンライズホーク(かきつばた記念・GⅢ/2024、他重賞2勝、2024年10月末現在)
リオンディーズ産駒の特徴
距離適正
若駒戦、芝
2020,6,1~2024,5,31
古馬、芝
2021,6,1~2024,5,31
短距離から長距離まで勝ち鞍はあるが、基本的には1600m前後が中心である。
牡馬は1200mから3400mまでの勝ち鞍があり、データ集計期間内では2200m以上で計10勝しているがそのうちテーオーロイヤルが8勝となっており、基本的には2200m以上は長いのかもしれない。
牝馬は2200m以上の勝ち鞍は無い。データ集計期間内で2000mは2勝しているが新馬と未勝利戦のみで、1勝クラス以上の勝ち鞍は無い。牝馬は牡馬よりも距離適性が多少は短いようだ。ただ、牝馬は適正距離が短いという訳ではなく、1800mの勝ち鞍は牡馬よりも多い。
産駒によってスプリンターだったりステイヤーだったりと幅広く、つかみどころが無い印象だ。産駒ごとにストライクゾーンがあるので注意してチェックしたい。
馬場状態は重と不良の勝率が多少高く、高速馬場よりも多少時計が遅い馬場の方が得意な産駒が多い。
若駒、ダート
2020,6,1~2024,5,31
古馬、ダート
2021,6,1~2024,5,31
ダートも短距離から長距離まで勝ち鞍はあるが、短距離型と中長距離型にわかれる。
牝馬は短距離が中心。勝ち鞍の約3分の2が1400m以下で、1900m以上の勝ち鞍は無い。気性が前向きなタイプが多いためか、逃げ先行押し切りの勝ち鞍が多い。
一方牡馬は短距離から長距離まで幅広い。血統や馬体によって違いは無いが、短距離を走る馬のほとんどが好位差しか後方差しとなっている。中長距離で走る馬は4角3番手以内につける馬が多い。
馬場状態による勝率の違いは少ないが、速い時計が得意な産駒が少し多い。
馬場適正
若駒戦、芝とダートの割合
2020,6,1~2024,5,31
古馬、芝とダートの割合
2021,6,1~2024,5,31
勝ち鞍はデータ集計期間内だと芝が111勝、ダートが86勝となっており、芝ダート兼用である。
血統的には母がシーザリオ、母父スペシャルウィーク、母母父Sadler's Wellsとなっているように、血統は芝向きだ。しかし父がキングカメハメハで、キングカメハメハ系種牡馬は産駒が芝ダート兼用になることが多いことから、この結果になったのだと思われる。
芝で走る馬の多くがノーザンファーム生産馬の母父サンデーサイレンス系、もしくは母母父サンデーサイレンス系。ダートはノーザンファーム"以外"の牧場生産が中心で、母父サンデー系は少ない。
重賞で優勝した馬の多くが芝だが、地方交流重賞ではダートで優勝する産駒も出てきており、上級条件でも芝ダート兼用となっている。
コース適正
若駒戦、芝
2020,6,1~2024,5,31
古馬、芝
2021,6,1~2024,5,31
得意な競馬場はデータ上だと函館と福島。両場とも右回り、小回り、時計が遅くなりやすいという特徴がある。
得意なコースは、中山芝1600m、東京芝1400m、福島芝1200mとなっている。特に中山芝1600mは冬から春にかけての時計が遅くなる時期に勝ち鞍が多いことから、時計が速い馬場は苦手なのだろう。
苦手なコースは、中京芝1600m、東京芝1600m、新潟芝1400mとなっている。すべて左回りだが、全体的に見ると左回りが苦手とのデータは無いので、どうしてこの結果になったのかは不明。
若駒戦、ダート
2020,6,1~2024,5,31
古馬、ダート
2021,6,1~2024,5,31
得意な競馬場は中山となっている。特にダート1200mは14勝、勝率14.1%となっており、特注コースと言ってもいいかもしれない。
苦手な競馬場は福島となっている。特にダート1700mはのべ34頭が出走しデータ集計期間内では勝ち馬は無し。もしかすると小回りで時計が遅くなりやすいのが合わないのかもしれない。
苦手なコースは東京ダート1400m、新潟ダート1800m、京都ダート1400m、小倉ダート1700mとなっている。いずれも勝率は4%以下で、特に小倉ダート1700mはのべ60頭が出走し勝ち馬は無しと散々の結果となっている。東京ダート1400m以外はいずれも時計が遅くなりやすいコースなので、時計が遅いコースは合わないのだろう。
牡牝の勝利数の違い
若駒戦
2020,6,1~2024,5,31
古馬
2021,6,1~2024,5,31
牡牝の勝利数は少し牡馬の方が多いが、おおむね平均並みである。重賞の勝利数は牡馬の方が多いが、まだ産駒が少ないため今後はどうなるか分からない。
クラス別勝利数
芝
2020,6,1~2024,5,31
ダート
2020,6,1~2024,5,31
芝は下級条件よりも上級条件の方が勝率が高くなっている。一般的には上級条件の方がペースが速くなりやすいので、リオンディーズ産駒はスピード勝負が得意なのかもしれない。
ダートは特に特徴は出ていない。
母父の血統
若駒戦、芝
2020,6,1~2024,5,31
ノーザンD系=ノーザンダンサー系 ミスプロ系=ミスタープロスペクター系 ロイヤルC系=ロイヤルチャージャー系
古馬、芝
2021,6,1~2024,5,31
ノーザンD系=ノーザンダンサー系 ミスプロ系=ミスタープロスペクター系 ロイヤルC系=ロイヤルチャージャー系
おおまかに芝は母父サンデーサイレンス系が走る確率が高い。特にディープインパクト、ハーツクライ、ステイゴールドなど、サンデー系の中ではスタミナがある血統との相性が良い。ただ、ダイワメジャーはのべ41回出走し勝ち馬は無しとなっているように、サンデー系の中ではスタミナが無いタイプはあまり走らない傾向だ。
サンデー系以外ではダンジグ系との相性も良い。母父ダンジグ系は短い距離が得意な馬が多い傾向だ。
母父短距離血統との相性は悪く、特に母父ミスタープロスペクター系との相性は散々な数値だ。データ集計期間内ではのべ140回出走し2勝、勝率1.4%だ。リオンディーズ自身の父系がミスタープロスペクター系ということもあり、相性が悪いのかもしれない。
若駒戦、ダート
2020,6,1~2024,5,31
ノーザンD系=ノーザンダンサー系 ミスプロ系=ミスタープロスペクター系 ロイヤルC系=ロイヤルチャージャー系
古馬、ダート
2021,6,1~2024,5,31
ノーザンD系=ノーザンダンサー系 ミスプロ系=ミスタープロスペクター系 ロイヤルC系=ロイヤルチャージャー系
おおまかにダートは非サンデーサイレンス系が走る確率が高い。特にロベルト系との相性が良く、データ集計期間内では勝率11.4%、単勝回収率175%となっている。
非サンデー系では、ダンジグ系との相性は悪い。勝率2.9%、単勝回収率15%と散々な数値となっている。
芝で走る母父とダートで走る母父が真逆で、はっきりしている傾向だ。
成長度
2020,6,1~2024,5,31
2歳の仕上がりは平均的。3歳、4歳につれて勝率が上がり、5歳になると下がる。5歳に勝率が下がるのはまだデータが少ないためだと思われるため、基本的には晩成傾向だ。
2歳の早い時期からガンガン走る産駒は少なく、2歳で初勝利を挙げてもすぐに2勝目を挙げる産駒も少ない。基本的には好走を続けながら叩いて叩いて上昇するタイプが多いことが晩成傾向を感じさせる。
ただ、連勝が無い訳ではなく、テーオーロイヤルは1勝クラスからダイヤモンドステークスまで4連勝したし、ディオは2勝クラスから東風ステークスまで3連勝した。多くは勝ち負けを繰り返しながら上昇するが、一部の産駒は連勝するタイプもいる。
リオンディーズ産駒の特徴まとめ
- 距離適性は幅広いが、芝は1600m前後が中心
- 馬場適正は芝ダート兼用
- コース適正は、得意不得意の差が激しい
- 母父サンデーサイレンス系は芝向きが多く、非サンデー系はダート向きが多い
- 母父は芝とダートで得意な血統がはっきりしている
- 晩成傾向
個人的に考える産駒の特徴
リオンディーズ産駒が得意な芝のバイアスは
- 馬場 軽い、やや軽い、標準、やや重い、重い、極悪
- 上がり 速い、やや速い、標準、やや遅い、遅い、極悪
- 枠 超内、内、フラット、外、超外
- 直線の伸び 内、やや内、フラット、やや外、外
- 前後 超前、前、展開次第、差し、超差し
と想定している。
掴みどころが無い種牡馬と評価することもできるし、産駒ごとにストライクゾーンが狭いとも言える。
馬場は重めの方が良い。高速馬場でも対応できないこともないが、良馬場でも傷みが出ていたり、道悪の方が成績が良い。
上がりはなんとも言えないが、どちらかというと遅めの方が良い。牡馬は速い上がりを使えるタイプは少なく、スローペースからの上がり勝負は厳しい。一方牝馬はキレキレの決め手を使えるタイプがいて、そういったタイプは速い上がり勝負の方が良い。全体的には上がりが遅い方が良いが、産駒を個別に確認するほうが良い。
枠、直線の伸び、前後は産駒を個別に確認する方が良い。産駒ごとにストライクゾーンが狭いので、傾向を確認できれば馬券に繋げられる。
全体的には掴みどころが無い種牡馬で産駒ごとにストライクゾーンが狭い印象だ。ただ、得意不得意がはっきりしており、血統から入ると特徴を掴みやすい。