トラックバイアス&血統研究

トラックバイアス(馬場のクセ)と血統を研究

【2022年度デビュー新種牡馬・前半】活躍が期待される種牡馬16頭の産駒の傾向を予想!!

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2022年度の新種牡馬は例年よりも多い40頭以上が登録されている。例年のように200頭以上の繁殖牝馬を集める大人気種牡馬はほぼいないが、距離適性や馬場適正がバラバラで個性的な種牡馬が多い印象だ。

では、2022年にデビューする新種牡馬の中から厳選した16頭の傾向を予想するが、今回は前半の8頭を紹介する。

【目次】

 

 

 

 

 

サトノクラウン

血統

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Northern Dancer 4 x 5  Mr. Prospector 4+5  Buckpasser 5 x 5  Sir Ivor 5+5

父はセントジェームズパレスS(英GⅠ/芝8F)を優勝したMarju(マルジュ)。産駒には香港ヴァーズ(GⅠ/芝2400m)を優勝しジャパンカップでも2着に入ったインディジェナスなどがいる。

母はアイルランドの8Fのリステッドで優勝したこともあるジョコンダ2。

母父は欧州の短距離重賞を2勝したRossini(ロッシーニ)。

 

全姉にチェヴァリーパークS(英GⅠ/芝6F)を優勝したLightening Pearl(ライトニングパール)。

半妹は札幌日経オープン(OP)などオープン2勝のポンデザール。

 

サトノクラウンの母系を見るとスピードがありそうに感じるが、きょうだいはすべて中長距離で活躍している。産駒には母系本来のスピードが遺伝されるのか、それともスタミナが遺伝されるのか注目される。

 

 

現役時代の主な勝ち鞍

  • 香港ヴァーズ(GⅠ/2016)
  • 宝塚記念(GⅠ/2017)
  • 京都記念(GⅡ/2016,17)
  • 弥生賞(GⅡ/2015)
  • 東京スポーツ杯2歳ステークス(GⅢ/2014)

 

重賞を優勝した距離は1800~2400m。GⅠは2200~2400m。道悪にめっぽう強く、日本国内の重賞では東京スポーツ杯2歳ステークス以外はすべて稍重以上の馬場状態だった。香港も日本の馬場よりはタフだとされているので、時計が遅い方が得意なのだろう。

 

 

産駒の傾向予想

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サンデーサイレンスの血を一滴も含まず、父のMarjuはノーザンダンサー系の中でも異系で、しかも母系はあまり影響力が強くない血統が多い。社台スタリオンステーションにて繋養されているので繁殖牝馬を多く集めているが、当たりはずれが大きい感じがする。

馬場適正は芝が中心だろう。サトノクラウン自身も芝で活躍しているし、血統も芝の本場である欧州系が非常に強い。ただ、意外とこういうタイプはダートもこなす場合がある。例えば凱旋門賞を制したエリシオは芝の重賞馬も輩出したが、パワーがあったためかダートで活躍する産駒も多かった。サトノクラウンもどちらかというとパワー優勢のような感じがするので、芝ダート兼用になるかもしれない。

距離適性は中距離以上が中心だろう。血統的にはスピードがありそうだが、きょうだいがすべて中長距離で活躍していることから、スタミナ豊富だと思われる。ただ、流行血統や遺伝力が強い血統が少ないため、主張が強い繁殖牝馬と配合されると、繁殖牝馬の特徴の方が強く出る産駒も多くなるだろう。

仕上がりは遅めになりそうだ。サトノクラウン自身は2歳から重賞を優勝したが、きょうだいの多くは初勝利が3歳になってからが多い。産駒も本格化するのは古馬になってからではないか。

産駒の傾向としては欧州血統っぽいスタミナやパワーが優れた産駒が多くなりそうで、イメージとしてはハービンジャーか、もう少しパワーがあるエリシオに近い感じになるのではないか。ただ、こういった流行血統が少ない種牡馬は遺伝力が弱いタイプが多く、どこまで自身の能力を産駒に伝えられるのか疑問がある。

サンデーサイレンスを含まない種牡馬で、サンデー系繁殖牝馬を多く集めているようなので、産駒が活躍するためには母父ディープインパクトやハーツクライなどサンデーの血が濃い繁殖牝馬との相性が重要になりそうだ。

 

 

リアルスティール

血統

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Northern Dancer 5 x 4+5

 

父は説明不要のスーパーサイアー・ディープインパクト。

母ラヴズオンリーミーは不出走。

母父は活躍馬を多く輩出し自身の系統を確立しているスーパーサイアー・Storm Cat(ストームキャット)。

 

全妹はBCフィリー&メアターフ(米GⅠ/芝2200m)など世界中でGⅠを4勝したラヴズオンリーユー。

 

3代母のMiesque(ミエスク)は欧米のマイル戦線でGⅠ10勝をした名牝で、産駒にはKingmambo(キングマンボ)、East of the Moon(イーストオブザムーン)きょうだいがいる。そのため近親には世界各国でGⅠを優勝した名馬が数多くおり、リアルスティールは超良血といっていいだろう。

 

 

現役時代の主な勝ち鞍

  • ドバイターフ(GⅠ/2016)
  • 毎日王冠(GⅡ/2017)
  • 共同通信杯(GⅢ/2015)

 

重賞で優勝した距離はすべて1800m。ただ、2,3着が多いタイプで、皐月賞、菊花賞、天皇賞秋で2着に入っている。気性が前向きで折り合うのに苦労することが多く、それさえなければもう少し成績を残していたと思われる。

 

 

産駒の傾向予想

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ディープインパクト系種牡馬は牝系の特徴を伝えることが多い。例えば、キズナは母系がStorm Cat×Damascusなので先行力とパワー、ディープブリランテは母系が重めなのでスタミナやジリっぽさ、リアルインパクトは母系がスピード豊富なので短距離からマイル前後のスピード、という具合だ。

馬場適正は芝が中心だろうが、ダートも得意としそうだ。やはり母系の血統がStorm Cat、Mr. Prospectorとなっており、ダートで走る要素が多い。ディープ系種牡馬なので代表産駒は芝が中心になりそうだが、キズナと同じレベルでダートも走りそうだ。通算の勝ち鞍は芝が6割前後、ダートが4割前後と想定している。

距離適性は短から中距離が中心になりそうだ。母系の血統がStorm Cat×Mr. Prospectorとなっており、スピード十分。牝馬は短距離からマイル、牡馬はマイルから中距離が守備範囲で、2200m以上の長距離は配合牝馬からスタミナのアシストが欲しい。

仕上がりは早めだろう。母系の血統がStorm Cat×Mr. Prospectorで、仕上がりが遅いとは考えにくい。産駒は2歳で初勝利を挙げて重賞を優勝する馬も出てきそうだ。

産駒の傾向としてはスピードとパワーがあり、先行押し切りが得意な産駒が多くなりそうだ。イメージ的には同じディープインパクトを父に持つリアルインパクトや、キズナ産駒をマイラーにしたような感じだ。

2歳から重賞戦線を賑わし、3歳になると桜花賞、皐月賞、NHKマイルカップに産駒を多く送り出しそうだ。リアルスティールは名牝Miesqueの系統であるため、種牡馬として次世代のトップサイヤーとしてかなり期待できる。

 

 

 

 

 

マインドユアビスケッツ

血統

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Deputy Minister 3 x 4  Blushing Groom 4 x 5  Hail to Reason 5 x 4

 

父は米国のダート7Fの重賞を2勝したPosse。産駒にはBCダートマイルを優勝したCaleb's Posse(ケイレブズポッセ)がいる。

母は不出走のJazzmane。

母父は米国の2歳ダートGⅠを2勝したToccet(トセット)。目立った産駒はいない。

 

 

現役時代の主な勝ち鞍

  • マリブステークス(米GⅠ/2016)
  • ドバイゴールデンシャヒーン(GⅠ/2017、2018)

他重賞3勝

 

出走したのはすべて米国ダート。GⅠで優勝したのはダート7F(約1400m)以下だが、ダート9Fの重賞で優勝経験がある。レーススタイルは中団から後方につけ、直線で一気に差し切る形が多い。2018年のドバイゴールデンシャヒーンではレコードタイムで優勝しているように、差し馬ながらもスピードがある。

 

 

産駒の傾向予想

 

マインドユアビスケッツはDeputy Minister(デピュティミニスター)系の種牡馬で、日本ではフレンチデピュティ、クロフネ親子と同じ系統である。フレンチデピュティは短距離から長距離、芝でもダートでも活躍する産駒を輩出したが、クロフネは牡馬は中距離ダート、牝馬は芝短距離が中心だ。ただ、Deputy Minister系は基本的にはダート短距離を得意とするタイプを輩出しやすい。

馬場適正は芝ダート兼用だと思うが、どちらかというとダート向きの産駒が多くなりそうだ。マインドユアビスケッツの現役時代は短距離を中心に活躍したが、米国ダート短距離馬のような筋骨隆々の馬体ではなく、マイルから中距離馬っぽくスラッとしている。勝ち方も差し切り勝ちが多かったことから、芝でも十分走れそう。繁殖牝馬も芝向きっぽいのが一定以上いそうなので、芝の活躍馬もそれなりに出てきそうだ。ただ、米国ダート血統の成分が多いことから、代表産駒はダートからだろう。6対4か7対3くらいでダートの方が多くなるのではないか。

距離適性は短距離から中距離までが多くなりそうだ。米国ダート血統なので基本的には短距離からマイルが中心になりそうだが、サンデー系の繁殖牝馬と配合されると中距離までは守備範囲に入りそうだ。

仕上がりは早めだろう。マインドユアビスケッツ自身は古馬になってから本格化したが、Deputy Minister系は仕上がりが早いタイプが多いため、産駒も仕上がりは早めだろう。

吉田照哉氏が惚れ込んだとされ社台スタリオンステーションにて繋養されているが、一線級の繁殖牝馬はあまり集まっていないようだ。マインドユアビスケッツに世界的な流行血統はあまり含まれていないが、日本競馬はDeputy Ministerとの相性が良い。馬産地での産駒の評価が分かれているらしいが、Deputy Minister系特有のスピードがどれだけ遺伝されるかが注目される。

 

 

サトノダイヤモンド

血統

Halo 3 x 4+5  Hail to Reason 4 x 5  Northern Dancer 5 x 5+5

 

父は説明不要のスーパーサイアー・ディープインパクト。

母はアルゼンチンで芝とダートの中距離GⅠを3勝したマルペンサ。

母父はフランスの2歳GⅠ・モルニ賞を優勝したOrpen(オーペン)。欧州や南米を中心に多くの重賞優勝馬を輩出している。

 

近親にはアルゼンチンのGⅠを含めた重賞を優勝した馬が数多くいるように、名牝系の一族である。血統的には短距離志向が強いように感じるが、近親にはマイルから中距離で活躍している馬が多く、一定以上のスタミナはある。

 

 

現役時代の主な勝ち鞍

  • 有馬記念(GⅠ/2016)
  • 菊花賞(GⅠ/2016)
  • 京都大賞典(GⅡ/2018)
  • 阪神大賞典(GⅡ/2017)
  • 神戸新聞杯(GⅡ/2016)
  • きさらぎ賞(GⅢ/2016)

 

GⅠを優勝した距離は2500m~3000m。重賞を優勝した距離は1800m~3000m。デビューしてからすべて1800m以上の距離で使われ、上記の他に天皇賞・春(GⅠ)で3着に入るなどスタミナはあったが、スローペースの決め手比べのような一瞬のスピード勝負は苦手であった。

 

 

産駒の傾向予想

 

リアルスティールの所でも書いたが、ディープインパクト系種牡馬は牝系の特徴を伝えることが多い。サトノダイヤモンドの牝系は仕上がりが早めで、パワーやスタミナがある傾向だ。

馬場適正は芝ダート兼用だと思うが、どちらかというと芝向きが多くなりそうだ。母のマルペンサは芝とダートの中距離GⅠを優勝しており、スタミナもパワーもある。それが遺伝され芝もダートも活躍馬が出てきそうだが、やはりディープ系種牡馬なので代表産駒は芝からが多くなりそうだ。勝ち鞍は芝が5~6割、ダートが4~5割くらいと想定している。

距離適性は長めが向きそうだ。母系の血統は短距離志向が強めだが、母のマルペンサや全弟のサトノジェネシスは中距離で活躍したようにスタミナがある。配合牝馬が短距離向きだったり、気性が前向きなタイプは力任せに短距離を走る産駒も出てきそうだが、基本的には中距離以上が中心になりそうだ。

仕上がりは早めだろう。アルゼンチンのクラシックは3歳の早い時期に行われるため、アルゼンチン牝系の特徴として仕上がりが早いことが多い。サトノダイヤモンド産駒も早い時期から活躍する産駒が多くなりそうだ。

イメージとしてはネオユニヴァースに近い印象で、どちらかというと広い競馬場が得意なのではないか。クラシックに参戦する産駒は多く出てきそうだが、桜花賞や皐月賞は短く、ダービー、オークス、菊花賞向きが多くなりそうだ。ダートも得意で、地方交流重賞で活躍する産駒もそれなりに出てくるだろう。

 

 

 

 

 

ベストウォーリア

血統

Secretariat 4+5 x 5  Mr. Prospector 4 x 4  Bold Ruler 5 x 5  Broadway 5 x 5

 

父は米国の2歳ダートGⅠを優勝したMajestic Warrior(マジェスティックウォリアー)。2016年から日本で供用されており、ユニコーンステークスを優勝したスマッシャーなどを輩出している。

母のFlirtatious Missは米国1勝。

母父は米国のダート短距離重賞を3勝したMr. Greeley(ミスターグリーリー)。欧米で芝ダート問わず短距離からマイルのGⅠ優勝馬を数多く輩出している。

 

近親には欧米の重賞を優勝した馬が多くいる。

 

母父Mr. Greeleyは種牡馬としては短い距離を得意とする産駒を多く輩出したが、母父としては日本ではマイルから中長距離を得意とする傾向だ。2代母の父Silver Hawk(シルヴァーホーク)は中長距離を得意とする産駒を多く輩出しているため、ベストウォーリアの母系は意外とスタミナ色が強い。

 

 

現役時代の主な勝ち鞍

  • マイルチャンピオンシップ南部杯(GⅠ/2014、2015)
  • ユニコーンステークス(GⅢ/2013)
  • プロキオンステークス(GⅢ/2015、2015)

 

重賞で優勝した距離は1400m~1600m。1800m以上の距離に4回出走したが、いずれも着差をつけられ敗れている。左回りの1400m~1600mに滅法強く、8歳まで長く一線級で活躍した。

 

 

産駒の傾向予想

 

父系のA.P. Indy(エーピーインディ)系は日本ダートの適性が高く、父のマジェスティックウォリアーの他に、パイロ、シニスターミニスターなど人気種牡馬が多い。そのため、ベストウォーリアも日本のダートで活躍する産駒を多く輩出することが期待される。

馬場適正は断然ダート向きだろう。父のマジェスティックウォリアーは中央では9対1でダートの勝ち鞍が多いし、他のA.P. Indy系種牡馬も同じような傾向だ。一部の牝馬で、かつ、母系にサンデー系が配合されると芝で走る産駒も出てきそうだが、基本的にはダートを得意とする産駒が多くなるだろう。

距離適性は短距離~中距離が守備範囲だろう。ベストウォーリアの現役時代はマイルで活躍したし、A.P. Indy系も日本では短めの距離を得意とする種牡馬が多い。ただ、父のマジェスティックウォリアーの産駒は中距離で活躍する産駒が多く、しかもベストウォーリアの母系もスタミナ色が強いため、中距離向きの産駒も一定程度は出てきそうだ。

仕上がりは平均的だろう。ベストウォーリア自身は筋肉量豊富で500kgを超える雄大な馬体をしており、3歳から重賞を優勝するなど仕上がりは早め。しかし父のマジェスティックウォリアーの産駒は古馬になってから活躍する産駒が多く、しかも母系の血統も仕上がりが遅めが多い。配合によって仕上がりが早いタイプも遅いタイプも出てきそうだ。

基本的には父のマジェスティックウォリアーと似たようなタイプが多くなりそうだ。あとはベストウォーリア自身の現役時代と同じように、左回りを得意とする産駒がどれだけ出てくるかが注目される。

 

 

デクラレーションオブウォー

血統

Northern Dancer 3 x 5  Mr. Prospector 5 x 4  Nijinsky 5 x 4

 

父は米国のGⅡを1勝したWar Front(ウォーフロント)。しかし種牡馬入りすると世界中でGⅠ馬を多く輩出し「ダンジグ晩年の傑作」と言われている。

母は米国で3勝したTempo West。

母父は米国のGⅡを1勝したRahy(ラーイ)。種牡馬としては米国を代表する名牝・Serena's Song(セレナーズソング)や欧州年度代表馬・ファンタスティックライトを輩出するなど、世界中で産駒が活躍した。

 

近親にはベルモントステークスなどGⅠ2勝のUnion Rags(ユニオンラグス)など、欧米で活躍する馬が多くいる。

 

 

現役時代の主な勝ち鞍

  • クイーンアンステークス(英GⅠ/2013)
  • インターナショナルステークス(英GⅠ/2013)
  • ダイヤモンドステークス(愛GⅢ/2012)

 

GⅠを優勝した距離は芝8Fから10F。ダイヤモンドステークスはオールウェザーの10F。

 

 

産駒の傾向予想

 

日本で供用される前に北米、欧州、豪州で供用され産駒を送り出しており、すでに世界中で芝ダート、短距離から長距離までGⅠ馬を多く輩出している。日本で供用される前に輸入された馬が16頭いて、勝ち上がりが6頭、重賞を優勝した馬はいない。日本でも芝ダート、短距離から長距離まで活躍する産駒が出ている。

馬場適正は芝ダート兼用だろう。世界や日本で活躍している産駒の傾向を見ると、配合牝馬の特徴通りの産駒が出ている。配合牝馬がダート短距離だと産駒もダート短距離、芝の長距離だと産駒も芝の長距離、というように、配合牝馬の特徴を引き出す種牡馬のようだ。

距離適性は短距離から長距離まで守備範囲が広そうだ。上記のように配合牝馬の特徴を引き出す種牡馬のようなので、配合牝馬次第で距離適性が変わりそうだ。

仕上がりは早いタイプも遅いタイプも出てきそうだ。上記のように配合牝馬の特徴を引き出す種牡馬のようなので、配合牝馬次第で仕上がりは変わりそうだ。

今までの種牡馬としての活躍を見ると、サンデーサイレンスやキングカメハメハのような配合牝馬の特徴を引き出す種牡馬のように感じる。すでに世界中で実績があり、しかも配合牝馬の特徴を引き出す種牡馬であった場合、かなりの可能性を秘めているかもしれない。次世代のリーディングサイアーの可能性がある。

 

 

ビーチパトロール

血統

Mr. Prospector 3 x 4  Dr. Fager 4+5

 

父はベルモントステークスなど米国のGⅠを5勝したLemon Drop Kid(レモンドロップキッド)。産駒にはケンタッキーオークス馬のLemons Foreverや、日本で種牡馬入りしているアポロキングダムなどがいる。

母は米国未勝利のBashful Bertie。

母父は米国のマイルGⅠを優勝したQuiet American(クワイエットアメリカン)。産駒には米国クラシック二冠のReal Quiet(リアルクワイエット)がいる他、母父として東京ハイジャンプ(J・GⅡ)など障害重賞2勝のラヴアンドポップがいる。

 

近親には北米で重賞を複数優勝しているHurricane BertieやAllamerican Bertieなどがいる。

 

父のLemon Drop Kidは芝ダート、オールウェザーを問わずマイルから長距離まで幅広い産駒を輩出し、母父のQuiet Americanは種牡馬としてダートの短距離から中距離までの産駒を輩出している。この配合で誕生したのがビーチパトロールだが、米国では珍しくデビューから引退まで一貫して芝を使われた。

 

 

現役時代の主な勝ち鞍

  • セクレタリアトステークス(米GⅠ/2016)
  • アーリントンミリオン(米GⅠ/2017)
  • ジョーハーシュ・ターフクラシックステークス(米GⅠ/2017)

 

重賞を優勝した距離は芝10F~12F(約2000m~2400m)。スタートが上手く好位につけ、直線では抜け出して優勝したようにセンスがある走りが特徴。道悪は1回しか経験していないが2着に入っている。

 

 

産駒の傾向予想


ビーチパトロールの2代父・Kingmambo(キングマンボ)の系統の種牡馬は日本で大活躍している……と思うかもしれないが、キングカメハメハを経由する系統とそうではない系統では活躍度合いが全く違う。

キングカメハメハは牝馬三冠のアパパネや短距離王者のロードカナロアなど多くの活躍馬を輩出し、種牡馬や繁殖牝馬としても次世代に血を繋げている。しかしキングカメハメハを経由しないKingmambo系種牡馬はエルコンドルパサーが活躍した位で、他は失敗とは言わないまでも成功とも言えない状況だ。ビーチパトロールはキングカメハメハを経由しないため、種牡馬としてどれだけ活躍できるかは未知数である。

馬場適正はダートが中心だろう。ビーチパトロール自身の現役時代はすべて芝に出走したが、父のLemon Drop Kid産駒は日本ではほぼダートで走っているし、母父Quiet Americanも同様だ。血統的にも芝の要素がかなり少なく、ビーチパトロールの馬体も芝で活躍した割には筋肉量豊富で繋ぎも短め。通算の勝ち鞍は芝が2割前後、ダートが8割前後になると想定している。

距離適性はマイルから長距離が中心になりそうだ。ビーチパトロール自身の現役時代は芝2000m~2400mで活躍したように、スタミナが豊富だ。2代母の父・Timeless Nativeはダマスカス系で血統的にもスタミナ要素が強いため、牝馬はマイルから中距離、牡馬は中長距離が中心になりそうだ。

仕上がりは早めだろう。ビーチパトロール自身の現役時代は初勝利が3歳、重賞初勝利が3歳という具合で仕上がりは遅めだったが、馬体は筋肉量豊富で繋ぎも短めである。そのため、米国血統らしく仕上がりは早い傾向だと思われる。

産駒の傾向としては、ダート中距離を得意とするアイルハヴアナザーやディープスカイのような感じになるのではないか。どちらの種牡馬もダート中距離がメインで、一部は芝でも活躍する。

 

 

レッドファルクス

血統

Raise a Native 5 x 5

父はメトロポリタンハンデキャップなど米国のダートGⅠを2勝したスウェプトオーヴァーボード。産駒にはレッドファルクスの他にもオメガパフュームなど、芝ダート問わず活躍馬を輩出している。

母は中央で3勝したベルモット。

母父は説明不要のスーパーサイアー・サンデーサイレンス。

 

近親には

  • スティンガー(阪神3歳牝馬ステークス/GⅠなど他重賞4勝)
  • サイレントメロディ(マーチステークス/GⅢ)
  • アーバニティ(オーシャンステークス/GⅢ)
  • フォーエバーマーク(キーンランドカップ/GⅢ)
  • ハギノハイブリッド(京都新聞杯/GⅡ)
  • サイレントハピネス(ローズステークス/GⅡなど他重賞1勝)

などがいる。

 

2代母・レガシーオブストレングスは米国で1勝のみと競争成績は平凡だが、繁殖牝馬としては非常に優秀で、上記の通り活躍馬を多く輩出し一大牝系を築きつつある。牝系の特徴としては芝ダート問わず馬場不問という印象だが、レッドファルクスやスティンガーのように非凡な決め手がある産駒が多い。

 

 

現役時代の主な勝ち鞍

  • スプリンターズステークス(GⅠ/2016、2017)
  • 京王杯スプリングカップ(GⅡ/2017)
  • CBC賞(GⅢ/2016)

 

重賞で優勝した距離は1200m~1400m。条件戦やオープン戦で勝ち鞍を挙げたのも1400m以下で、1600mは4回出走して3着が1回のみ。芝で6勝、ダートで4勝と馬場不問の活躍をし、非凡な決め手でスプリンターズステークスを2連覇した。

 

 

産駒の傾向予想

 

フォーティナイナー系は日本で多く種牡馬入りしており、短距離を得意とする産駒を多く輩出する。レッドファルクスは母父サンデーサイレンスなので他のフォーティナイナー系と比べると柔らかみがあるが、基本的にはフォーティナイナー系の特徴が多く出そうだ。

馬場適正はどちらかというと芝向きが多くなりそうだ。同じスウェプトオーヴァーボードを父にもつ種牡馬は先にパドトロワがデビューしているが、その産駒はどちらかというとダート向きが多くなっている。ただ、パドトロワは母父がフジキセキなのでそうなっていると思われる。レッドファルクスは母父がサンデーサイレンスで、しかも決め手があるタイプなので代表産駒は芝からが多くなりそうだ。しかしフォーティナイナー系なのでダート向きもそれなりに輩出すると思われるため、芝が多い芝ダート兼用といったところだろう。

距離適性は短い方が良いだろう。フォーティナイナー系種牡馬は総じて短距離向きの産駒を多く輩出する傾向だ。レッドファルクス自身も現役時代はマイルは少し長いようだったので、配合牝馬次第だが短距離が中心になりそうだ。

仕上がりは遅めになりそうだ。レッドファルクス自身は初勝利が3歳の3月。そこから勝ち負けを繰り返し、初重賞、初GⅠ制覇は5歳になってからと晩成傾向だったため、産駒も晩成型が多くなりそうだ。ただ、フォーティナイナー系種牡馬の特徴として気性が前向きなタイプが多く、仕上がりが早い産駒が多い。そのため、レッドファルクス産駒はデビューが早く初勝利は2歳か3歳前半になるタイプもいるだろうが、その後に伸び悩み、本格化するのは3歳後半か4歳になってからになるだろう。

産駒の傾向は同じ父系で似た配合のアドマイヤムーンに近くなるのではないか。アドマイヤムーン産駒は短距離が中心で馬場適正は多くが芝向き、晩成型が多い傾向だ。レッドファルクス産駒はそれよりもダート向きが多くなるだろうが、その他はアドマイヤムーンと同じようになりそうだ。あとはスタートが上手いかどうか、決め手があるかどうかが種牡馬としての成功のカギになるだろう。

 

 

 

 

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