トラックバイアス&血統研究

トラックバイアス(馬場のクセ)と血統を研究

【ダイワメジャー】種牡馬の特徴 牝馬優勢の芝血統でスピード○(2023,8,3更新)

f:id:KITANOKURIGE:20191205023359j:plain

 

「ノド鳴り」に悩まされ一時不振に陥りながらも手術を経て克服し、常に安定したレースを見せてくれたダイワメジャー。GⅠ・5勝と素晴らしい実績を残し2008年から種牡馬入り。初年度産駒からカレンブラックヒルがGⅠを制するなど活躍馬を多く輩出し、大人気種牡馬となっている。

ここでは、ダイワメジャー産駒の特徴を紹介する。

 

【目次】

 

 

 

 

 

血統

f:id:KITANOKURIGE:20200310223908p:plain

Almahmoud 4 × 5  Lady Angela 4 × 5(母系)  Royal Charger 5 × 5

 

父は説明不要のスーパーサイヤー・サンデーサイレンス。

母は重賞4勝し、日本屈指の名牝系一族のスカーレットブーケ。

母父は、これまた説明不要のスーパーサイヤー・ノーザンテースト。

母の母は日本屈指の名牝系"スカーレット一族"の起点となるスカーレットインク。

 

全兄に種牡馬入りしたスリリングサンデー。

全姉に新潟3歳ステークス(GⅢ)を優勝し、阪神3歳牝馬ステークス(GⅠ)でも2着に入ったダイワルージュ。

半妹にGⅠ・4勝のスターホース・ダイワスカーレット。

 

近親の一部には

  • ヴァーミリアン(ジャパンカップダート/GⅠなどGⅠ9勝)
  • ダイワファルコン(福島記念/GⅢなど重賞2勝)
  • サカラート(東海ステークス/GⅡなど重賞4勝)
  • ソリタリーキング(東海ステークス/GⅡなど重賞4勝)
  • ダイワルージュ(新潟3歳ステークス/GⅢ)

などがおり、他にも多数活躍馬がいる。

 

母の母であるスカーレットインクは両前脚が大きく内向していたため1万3000ドルという安値だったが、ダイワメジャーから見て5代母のYour Hostessから活躍馬が多数輩出されているため、吉田善哉氏が購入を決めたとされる。

スカーレット一族はガッチリとした筋肉質になることが多く仕上がりも早めなタイプが多い。ダイワメジャーもその素質を受け継ぎガッチリとした筋肉質体型で、産駒も似たタイプが多くなっている。

 

 

現役時代

デビューは2003年12月28日、有馬記念の日の芝1600m新馬戦。装鞍所から気性的に不安定な面を見せ、パドックでは腹ばいになる珍事をおこした。スタートでも案の定出遅れたが、徐々に追い上げ2着に入り素質の片鱗を見せる。

新馬後はダートで勝ち上がり、皐月賞トライアルのスプリングステークス(GⅡ)で3着に入り、皐月賞(GⅠ)への出走を決める。皐月賞では10番人気で単勝32.2倍と低評価だったが、ミルコ・デムーロが積極的に道中2番手につけると直線ではそのまま押し切り、当時のレコードに0.1秒差の1分58秒6の好タイムで優勝した。

日本ダービー(GⅠ)にも出走したが、距離が長かったからか6着に終わる。

その後は、皐月賞の頃からとされるノド鳴りに悩まされ、不安定なレースが続いたことから手術に踏み切り3歳を終える。

手術後は勝ったり負けたりを繰り返しながら徐々に力を付け、5歳時には天皇賞・秋(GⅠ)、マイルチャンピオンシップ(GⅠ)を優勝。6歳時にはドバイデューティーフリー(GⅠ)を3着、安田記念(GⅠ)とマイルチャンピオンシップ(GⅠ)を優勝するなど活躍。2007年の有馬記念(GⅠ)3着を最後に引退し、社台スタリオンステーションで種牡馬入りした。

優勝した距離は1600m~2000m。速いペースで先行しそのまま押し切るのが好走パターン。しかし有馬記念では2年連続で2着に入っているように、自分のレースさえ出来れば長距離でもこなせた。

 

 

主な勝ち鞍

  • 皐月賞(GⅠ/2004)
  • 天皇賞・秋(GⅠ/2006)
  • マイルチャンピオンシップ(GⅠ/2006、2007)
  • 安田記念(GⅠ/2007)
  • マイラーズカップ(GⅡ/2006)
  • 毎日王冠(GⅡ/2006)
  • ダービー卿チャレンジトロフィー(GⅢ/2005)

 

 

代表産駒

  • 2009年産駒

・カレンブラックヒル(NHKマイルカップ・GⅠ/2012、他重賞4勝)

 

  • 2010年産駒

・コパノリチャード(高松宮記念・GⅠ/2014、他重賞3勝)

 

  • 2012年産駒

・ブルドッグボス(JBCスプリント・GⅠ/2019、他重賞1勝)

 

  • 2013年産駒

・メジャーエンブレム(阪神JF・GⅠ/2015、他GⅠ1勝、重賞1勝)

 

  • 2014年産駒

・レーヌミノル(桜花賞・GⅠ/2017、他重賞1勝)

 

  • 2016年産駒

・アドマイヤマーズ(香港マイル・GⅠ/2019、他GⅠ2勝、重賞1勝)

・ノーヴァレンダ(全日本2歳優駿GⅠ/2018、他重賞1勝)

 

  • 2017年産駒

・レシステンシア(阪神JF・GⅠ/2019、他重賞3勝)

 

  • 2019年産駒

・セリフォス(マイルチャンピオンシップ・GⅠ/2022、他重賞3勝、2023年7月末現在)

 

 

 

 

 

ダイワメジャー産駒の特徴

距離適正

若駒戦、芝

※2011/6,1~2023/5,31

 

古馬、芝

※2012/6,1~2023/5,31

 

基本的には短距離が中心である。

牡馬も牝馬も1200m~1600mの勝ち鞍が多いが、牡馬は1600m前後、牝馬は1400m前後が中心となっている。

若駒戦は1800mまでの成績が良く、2000mを超えると成績が落ちる。古馬は2000mまでは守備範囲だが、2200m以上になると成績が落ちる。

ダイワメジャー産駒は筋肉質なタイプが多く長距離は苦手な場合が多い。長距離のレースでダイワメジャー産駒を買うときは、母系がスタミナ血統なのかを確認したい。

 

若駒戦、ダート

※2011/6,1~2023/5,31

 

古馬、ダート

※2012/6,1~2023/5,31

 

ダートの場合は短距離から中距離まで走る。

1000m~1800mまでの勝率に大きな違いがなく、若駒戦も古馬も守備範囲は1800mまでだが、配合次第では1900m以上もこなせる。

若駒戦の1600mと1700m、古馬の1600mの勝利数と勝率が低い。どの距離も前半から飛ばして粘りきるというコースの特徴があるため、おそらくレース質が合わないのだろう。これが1800mになると道中で息が入るため、距離が持つと考えられる。

1400m以下は芝でも得意距離のため、前半から飛ばしても粘りきれるのだと思われる。

 

 

馬場適性

若駒戦、芝とダートの割合

※2011/6,1~2023/5,31

 

古馬、芝とダートの割合

※2012/6,1~2023/5,31

 

勝利数はどちらも芝の方が倍近く多い。ただ、勝率はどちらもほとんど変わらないため、馬場適性は芝ダート兼用と言える。

しかし、代表産駒の多くは芝馬だ。重賞優勝数は芝が44勝に対し、ダートは4勝となっている。ダートの勝ち鞍のほとんどは下級条件で稼いでいるため、どちらかというと芝馬と思っていいだろう。

ダイワメジャー産駒がダートの上級条件に出走してきても、疑ってかかったほうがよさそうだ。

 

 

コース適正

若駒戦、芝

※2011/6,1~2023/5,31

 

古馬、芝

※2012/6,1~2023/5,31

 

どちらも東京の数字が高い。ダイワメジャー産駒の特徴としてスピードの持続力がある。東京競馬場はコーナーが大きいため、スピードを減速せずにコーナーを回れるというのが理由だろう。

その証拠にどちらも中山競馬場の数字が低め。きついコーナーを回り、しかも直線の急坂は合わないようだ。

あと、若干だが中央の数字が高めでローカルの数字が低めとなっている。中央はローカルに比べコーナーが緩やかで減速しにくいため、スピードが要求される。そのため、ダイワメジャー産駒は時計が速い馬場が得意と言える。

 

若駒戦、ダート

※2011/6,1~2023/5,31

 

古馬、ダート

※2012/6,1~2023/5,31

 

若駒戦はどの競馬場でも走る。ダイワメジャー産駒は仕上がりが早いため、仕上がりの差で勝てているのだろう。

古馬は東京、阪神、小倉の数字が低い。東京競馬場が苦手なのは、コーナーが緩く息が入らないからと思われる。小倉競馬場は向正面が下り坂なので息を入れにくいためだろう。阪神競馬場は、正直よく分からない。

 

 

 

 

 

牡牝の勝利数の違い

若駒戦

※2011/6,1~2023/5,31

 

古馬

※2012/6,1~2023/5,31

 

すべての種牡馬のデータでは牡馬の勝利数は60%前後、牝馬の勝利数は35%前後となっているため、他の種牡馬と比べるとダイワメジャー産駒は牝馬の勝利数が多くなっている。一般的に牝馬の活躍が多い種牡馬はスピードを産駒に伝えることが多いため、ダイワメジャーはスピード型種牡馬ということになる。

重賞の勝利数を見ても、牡馬は23勝、牝馬も21勝となっていて、出走数は牡馬の方が多いことからダイワメジャーは牝馬優勢の種牡馬である。

 

 

クラス別勝利数

※2011/6,1~2023/5,31

 

ダート

※2012/6,1~2023/5,31

 

芝の勝率は平均的に高めだが、特に新馬戦の勝率が高い。その中でも新馬戦が始まる6月は勝率21.8%、単勝回収率168%となっている。ダイワメジャー産駒は仕上がりが早いため、早い時期に勝ち上がり、そのまま1勝クラスや2,3歳重賞を勝つことが多い。

ただ、重賞の勝率は低めとなっている。ダイワメジャー産駒は器用でスタートもいいため下級条件では楽に勝つことが出来るが、上級条件になると詰めが甘く2,3着に敗れるケースが多い。

ダートも新馬の勝率が高いが、クラスが上がるごとに勝率が下がる傾向となっている。基本的には芝向きの産駒が多いためこのようなデータになるのだろう。

 

 

母父別の勝利数と勝率

若駒戦、芝

※2011/6,1~2023/5,31

ノーザンD系=ノーザンダンサー系  ロイヤルC系=ロイヤルチャージャー系

 

古馬、芝

※2012/6,1~2023/5,31

ノーザンD系=ノーザンダンサー系  ロイヤルC系=ロイヤルチャージャー系

 

若駒戦の芝ではロイヤルチャージャー系の勝率が高い。これは、ロイヤルチャージャー系が早熟血統だからだろう。

重賞の母父を見てみると、例えばメジャーエンブレムの母父はサドラーズウェルズ系のオペラハウス、アドマイヤマーズの母父はミスタープロスペクター系のMedicean(メディシアン)となっており、欧州系の血統との間で大物が出ている。

新馬や未勝利戦を勝ち上がるのであれば早熟血統との配合でもいいかもしれないが、重賞を勝つとなるとスタミナがある欧州血統のほうが良い。

古馬もロイヤルチャージャー系の勝率が高めだが、詳しく見てみると母父More Than Ready(モアザンレディ)のナックビーナス1頭がかなり貢献している。それを除くと他よりも低くなる。

重賞の母父を見てみると、例えばコパノリチャードやソルヴェイグのようにトニービンとの相性が良く、他も欧州系のスタミナ血統との相性が良い。下級条件で欧州系との配合の馬が快勝した場合は、上級条件まで追いかけてみるのも良いのかもしれない。

 

若駒戦、ダート

※2011/6,1~2023/5,31

ノーザンD系=ノーザンダンサー系  ロイヤルC系=ロイヤルチャージャー系

 

古馬、ダート

※2012/6,1~2023/5,31

ノーザンD系=ノーザンダンサー系  ロイヤルC系=ロイヤルチャージャー系

 

若駒戦は勝率での大きな違いはない。

ただ、詳しく見てみると米国血統との相性が良い。個別の勝利数上位は、フレンチデピュティ、クロフネ、ブライアンズタイムなど、ほとんどが米国血統だ。

古馬はネイティヴダンサー系とロベルト系の数字が低く、特にミスタープロスペクター系は全体的に相性が悪い。ロベルト系は全体的に走らない傾向だが、特にシンボリクリスエスはのべ73頭が出走し勝ち馬は3頭のみと散々な結果となっている。

相性が良いのは、フレンチデピュティ、クロフネ親子だ。ほとんどが下級条件だが、フレンチデピュティは1200~1400m、クロフネは1700~1800mが得意という面白い傾向が出ている。

 

 

成長度

※2011/6,1~2023/5,31

 

勝利数は3歳が一番多く4歳以降は少なくなっているが、これは標準的である。

勝率は2歳戦が一番高く右肩下がりになっているが、これは早熟の証だ。標準では2~5歳まではあまり勝率が変わらず、6歳以降は右肩下がりになる。

ただ、古馬になってからもそれなりに勝っているため、淡白な早熟血統という訳ではない。これはダイワメジャーの母父のノーザンテーストの影響があると思われる。ノーザンテースト産駒は「3度変わる」と言われることもあり、仕上がりが速く、3歳になっても成長して強くなり、さらに古馬でも成長するため、ダイワメジャー産駒もそのようなイメージでいいだろう。

 

 

ダイワメジャー産駒の特徴まとめ

  • 芝は中距離以上でも走らないこともないが、基本は短距離~マイル
  • ダートは短距離から中距離まで走る
  • 芝ダート兼用だが、どちらかというと芝向き
  • コーナーが大きい競馬場が得意
  • スタミナよりもスピード血統
  • 牝馬優勢の種牡馬
  • スタミナがある母父欧州血統との配合で大物が生まれる
  • 仕上がりが早く新馬戦の勝率が高い
  • 早熟だが成長力もある

 

 

個人的なダイワメジャー産駒の感想

芝コースのダイワメジャー産駒が得意なバイアスは

  • 馬場    軽い、やや軽い、標準、やや重い、重い、極悪
  • 上がり   速い、やや速い、標準、やや遅い、遅い、極悪
  • 枠     超内、内、フラット、外、超外
  • 直線の伸び 内、やや内、フラット、やや外、外
  • 前後    超前、前、展開次第、差し、超差し

と想定している。

馬場は軽くても重くても対応できるが、どちらかというと重い方が良い。勝率も馬場が渋るほど高くなる傾向で、重だと単勝回収率が161%にもなる。ただ、軽い馬場がダメな訳ではなく、代表産駒のレシステンシアが阪神JFをレコードで優勝したようにスピードがあるタイプも多い。

上がりはどちらかというと遅い方が良い。筋肉質なタイプが多いためキレる脚を使えない産駒が目立つ。GⅠを優勝したすべての産駒はスタートが上手く速いペースで押し切るタイプなので、基本的には上がりが掛かった方がいいだろう。

枠は内枠の方がレースがしやすい。先行力と機動力がありレース運びが上手い。タメてキレる訳ではないので、先行力が生かせる内枠の方が良い。

直線の伸びは内伸びの方が良い。基本的には、内伸びは先行馬、外伸びは差し馬が得意とすることが多い。ダイワメジャー産駒は先行力があり決め手がある訳ではないので、内伸びの方がレースがしやすい。

前後は前有利の方が良い。先行力があり決め手が無いタイプが多いため、前が止まらない馬場の方が得意。

2019年のクラシックでは、朝日杯FS(GⅠ)で優勝し期待されたアドマイヤマーズが皐月賞では優勝できなかった。しかし、NHKマイルカップで優勝したことから距離の壁を感じさせる結果となった。

このように、ダイワメジャー産駒はマイルくらいまでが得意で、中距離以上は苦手なことが多い。マイルで強いレースをしたからといって欲をかいて中距離以上に出走してきた場合は、割り引きでよさそうだ。

ちなみに、ダイワメジャー産駒は芝の重賞では2000m以上の勝ち鞍がなく、1800mもカレンブラックヒルが2勝したのみとなっている。

 

ダートの得意なバイアスは

  • 馬場    軽い、やや軽い、標準、やや重い、重い
  • 上がり   速い、やや速い、標準、やや遅い、遅い
  • 枠     超内、内、フラット、外、超外
  • 直線の伸び 内、やや内、フラット、やや外、外
  • 前後    超前、前、展開次第、差し、超差し

と想定している。

馬場はあまり気にしないようだ。不良馬場の成績が若干落ちるが、得意な馬場というのはあまりない。

上がりは少し遅い方が良い。芝と同じく速い上がりを使える産駒が少ないため、決め手比べよりもスピードの持続力で押し切るほうが良い。

枠もあまり気にしないようだが、馬番1番の成績が若干落ちる。基本的には芝血統のため、砂を被ったり揉まれたりするのは厳しい。

直線の伸びは内伸びの方が良い。器用な産駒が多いため、差し馬が得意な外伸びよりも先行してそのまま押し切れる内伸びの方が良い。

前後は前有利の方が良い。器用な産駒が多いため、先行押し切りができる前有利の方が得意だ。

ダートはまだJRAの重賞勝利がない。地方交流重賞の優勝はあるものの、中央では24回出走し3着が2回あるのみである。

ただ、サンデーサイレンス系の種牡馬は晩年になるとダート向きにシフトする場合が多く、2019年のJBCスプリントではブルドッグボスが優勝したようにダートの活躍馬が増えてきている印象だ。配合次第ではそのうちJRAの重賞でも勝負になる産駒も出てくるだろう。

 

 

 

 

にほんブログ村 競馬ブログ 馬場適性理論へ
にほんブログ村

 


競馬・血統理論ランキング